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2018年6月29日更新

手掛けるのは構造デザイン「疑問を持ち 突き詰める」末松信吾さん[エスエヌジーデザイン]

7月1日は建築士の日。通常紙面では仕事のみにスポットがあたるが、建築士の素顔は? アイデアの素は? 掘り下げると、建築への熱い思いや豊かな個性が見えてきた。

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末松信吾さん(46)  エスエヌジーデザイン


常に骨格をイメージ。目指すは「何を着てもキマるスーパーモデルのような骨格の家」


疑問持ち 突き詰める

骨組みから考える

まるでピノキオの鼻のように2階フロアが延びた家(写真①)、屋根だけの家(写真②)など、末松信吾さんの発想は大胆で自由だ。「特別なことをやっているつもりはない。思えば子どものころから『ねばならない』が嫌いで、逆に『なんで?』と疑問が湧くタイプ。あまのじゃくなのかな」と屈託なく笑う。
前述の2軒も、フロアの先端や屋根を支えるために、通常ならありそうな柱や壁がない。「1軒目は軟弱地盤。コストとの兼ね合いで基礎が必要な面積は減らしたいけど人が集まれる大きめの部屋が欲しいとの話から、『じゃあ、その場を外にはみ出させてみよう』と、2階フロアを思い切って延ばしたもの。もう1軒は、予算がなかったので『いっそ屋根だけで作る?』と提案。実はガウディのサグラダファミリアと同じ手法で、自然にたわんだ電線をひっくり返しているだけだから、無理がない=右」と話す姿は楽しげだ。
設計を始める時は「骨組みから考える」のが常。それでいて、プランが固まるまでは、施主とは平面的な話しかしない。「施主が無意識のうちにカタチに引っ張られ、生活をあわせようとしてしまう」のを避けるためだ。徹底してフォーカスするのは、施主の暮らしぶりと「こうしたい」と思い描く理想。突飛に思えるカタチは、そこを突き詰めた結果なのだ。



写真① 突き出た2階の下は柱のないオープンなスペース


写真② 「屋根だけの家」。天井が高い所がLDKで、端は狭い所が好きな愛猫のスペース。屋根は将来飼う犬のドッグランに


上の家のヒントは自然に垂れた電線。重力とバランスの取れたその角度を描き、屋根を合わせた


建築にタブーなし

建築士だった父の楽しそうな背を見て育ち、物心ついた時から「夢は建築家」。構造は「知らないと行き詰まる」との父の助言から、大学時代に専攻。卒業後、第一線で活躍する師匠2人の下でもまれたことで「面白さにハマった」。
そもそも建築は、いくら良いデザインを提案しても、構造計画で安全性が担保できなければ絵に描いた餅で終わる。構造はデザイン実現の要となるわけだ。末松さんの手掛ける「構造デザイン」は、その一歩先。安全性を担保しつつ、デザインにも積極的に関わり幅を広げる。素材使いや空間構成の是非を問い、必要とあらば工法さえも作り出す。まさに「制限はコストだけ。建築にタブーはない」。




末松信吾(すえまつ・しんご)
1971年、名護市出身。東京電機大学工学部建築学科卒業。今川憲英氏、池田昌弘氏に師事。2001年、sngDESIGN設立。住宅や店舗を主に、構造デザイン、構造設計管理、耐震補強などを手掛ける。一級建築士、構造設計一級建築士。

(株)sng DESIGN Inc.
0980-51-0322
http://sng-design.com/index.html


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編集・取材/徳正美
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1695号・2018年6月29日紙面から掲載

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