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2025年12月12日更新
[沖縄アイデアデザインコンテスト2025]新たな那覇の「町屋」を計画|総合資格学院沖縄校
専門学校3校が参加した「沖縄アイデアデザインコンテスト2025」(主催・総合資格学院沖縄校)が11月14日、那覇市の同校で開かれた。今回の課題は「那覇の町屋」。6チーム、29人の学生が観光業でにぎわいを見せる那覇市牧志に、新たな都市型住宅の案を提案した。職住一体の新たな町屋の提案から、住宅建築だけではなく、沖縄の都市についても考えを深めた。
Okinawa Idea Design Contest 2025
新たな那覇の「町屋」を計画
新たな那覇の「町屋」を計画
専門学校3校が参加した「沖縄アイデアデザインコンテスト2025」(主催・総合資格学院沖縄校)が11月14日、那覇市の同校で開かれた。今回の課題は「那覇の町屋」。6チーム、29人の学生が観光業でにぎわいを見せる那覇市牧志に、新たな都市型住宅の案を提案した。職住一体の新たな町屋の提案から、住宅建築だけではなく、沖縄の都市についても考えを深めた。

参加したインターナショナルデザインアカデミー(I.D.A)、サイ・テク・カレッジ美浜、パシフィックテクノカレッジ(PTC)の学生ら29人と審査委員ら
審査委員長:伊良波朝義さん(義空間設計工房代表取締役)
審査委員:照屋明日香さん(東設計工房スタッフ)
審査委員:我如古和樹さん(琉球大学大学院生)
一面化する街並みに一石
今回で5回目の開催となる「沖縄アイデアデザインコンテスト2025」には、専門学校3校が参加。インターナショナルデザインアカデミー(I.D.A)、パシフィックテクノカレッジ(PTC)、サイ・テク・カレッジ美浜校から計29人の学生が6チームに分かれて、図面や模型などを作成。作業時間は前日と発表当日の午前中と限られる中で、設計力や表現力、プレゼン力を競った。
設計課題は「那覇の『町屋』」。国際通り近くの敷地に、都市型住宅の提案が求められた。この課題は、観光業が盛んな沖縄ならではの都市問題から設定された。

学生らは模型・図面などで設計案を細部まで説明した
国際通りは昔と今では、その街並みが大きく様変わりした。かつて県民の多くが暮らしたエリアが徐々に、観光客向けの繁華街の姿に。お土産店が建ち並び、地元住民の住まいが郊外化している。実際、県内出身の学生からは「敷地調査のために、久々に国際通りに足を運んだ」、「滅多に行くことがない」との声が上がった。
現在進行形で進む「街の一面化」という問題に対して、学生らは「施主が営む店舗兼2世帯住宅」という新たな町屋の形を計画した。

審査前日の13日と14日午前中に提出物一式を作成した
1位 都市の隙「間」生む案
最優秀賞に輝いたのはチーム「スペース」。高層建築物が建ち並ぶ街中に、余白のある2階建ての住宅を計画。分棟形式を採用し、1階中央部に町屋の通り土間さながらのフリースペース、2階中央部にテラスを配置し、人の交流を誘発するプランを提案した。チームリーダーの新垣沙綾さんは「フリースペースは南北それぞれにある道路をつなげ、通りから人を誘い込み、2階テラスは世帯間の絆を育む場としました」と説明した。審査員からは「即日設計とは思えないほどの完成度。実際に建っていても不思議ではないほどの仕上がりだ」と驚きの声がもれた。
感性も磨き 活躍に期待
惜しくも最優秀賞を逃した他のチームからも、個性的なアイデア・プランの提案があった。
住宅中央の中庭にシンボルツリーを植栽したり、琉球畳やミンサー模様など琉球文化に多く見られる四角形をデザインに反映したり。建物が乱立する都市部のため、吹き抜けを生かして空間の抜け感を演出するなど、各チームは敷地・法規など前提条件と格闘しながら、思い思いの「那覇の『町屋』」を設計した。
発表後の質疑応答では、「なぜその素材なのか」、「高さと幅の寸法比を少し変えるだけで、見え方は変わる」など学生らの意図を審査員らが深掘りしたり、助言したりした。
総合資格学院沖縄校の田中宏和 校長は「コンテストで競った技術のほかにも、建築物の空間を多く体験し感性も磨くことも重要。沖縄建築を盛り上げ、牽引していく存在になってもらいたい」とエールを贈った。
最優秀賞「間(あいだ)」
チーム「スペース」

I.D.A(インテリア・建築デザイン科2年)新垣沙綾、伊豆味航、髙橋凜起、(同1年)安慶名華穂、大城和花
設計概要と評価ポイント
設計の軸となった「間」は、対象敷地によって分断された南側と北側の道路と、分棟形式を採用した建物をつなぐための「あいだ」だ。西側の建物は1階、2階それぞれにLDKや水回りを配置し、東側の建物は1階を店舗、2階を子ども室とした。建物の中央部分には都市の「隙『間』」が生まれ、1階は地域住民や店舗利用者が憩うフリースペース、2階は家族が集うテラスとなっている。角度が違う二つの屋根は合掌するかのように勾配をつけて、雨水を受け流しつつ、テラスに開放感を与えた。審査員から「間(あいだ)というコンセプトを見事、形に落とし込んでいる。合理的に造られる都市の建築において、余白を生み出す空間構成・積極力が見事」と評され、満場一致で最優秀賞に輝いた。


優秀賞「ゆんたく屋」
チーム「まちゃあぐわぁ〜」

I.D.A(インテリア・建築デザイン科2年)永吉美莉、山内新奈、(同1年)嶺井汐梨、宮里紗彩、浦崎ティアラ
設計概要と評価ポイント
1階に八百屋・飲食カウンターなどを併設した2世帯住宅。2・3階を各世帯の生活空間とし、沖縄の食材を生かした1階の店舗が街のにぎわいを生むよう計画。周囲の環境に対して、大小の開口部の取り方を工夫した。審査員からは「空間にグラデーションが生まれていた。パブリック、セミパブリック、プライベート空間ときれいに順序立てられていた」と評された。
3階のテラス部は孤を描いた屋根をかけ、手すり部に植栽を施した。周囲からのプライバシーを確保し、効果的に日差しの熱も遮っている。また外構含め緑化することで、コンクリートで埋め尽くされた景観に、彩りを添えた。

プレゼン優秀賞「都心のまちぐゎー」
チーム「ちゃっぴー」
I.D.A(インテリア・建築デザイン科2年)仲本正真、田場典親、(同1年)翁長かりん、桑江ほのか、志村香琳
設計概要と評価ポイント
国際通りややちむん通りなどにアクセスしやすい環境ではあるが、敷地周辺は人通りが少ない。この気付きから、マルシェを開催できる貸し店舗を1階に設置し、東側の広々とした半屋外空間から建物内へ。プレゼンシートには陽光が半屋外空間からもれる様子や、夜の室内の明かりが街をほのかに照らす情景が、描かれていた。審査では発表作品の中で唯一、夜の環境も考慮して計画がなされていた点も評価された。「適切な場所に光源が配置され、居心地の良い建築空間をつくる上で欠かせない『光』の扱い方が考えられた」とも付け加えた。

伊良波審査委員長賞「風と光と人が繫がるゆくり場」
チーム「Storm Bringers(嵐を呼ぶ人)」
I.D.A(インテリア・建築デザイン科2年)呉屋花梨、佐々木美唯、(同1年)仲本香愛、久林楓花、長山紅杏

気軽に立ち寄れるよう、中央にシンボルツリーの中庭を配置し、テラス(茶色の外壁部)を隣接させて、地域のコミュニケーションの場を創出
照屋審査委員賞「島影の家」
チーム「インターナショナルテクノカレッジ」

I.D.A(インテリア・建築デザイン科2年)山本煌、與那覇太蔵、PTC(建築学科1年)東恩納清道、花城聖、長野咲希

我如古審査委員賞「矩形の家」
チーム「トライアングル」

サイ・テク・カレッジ美浜(環境建築学科2年)仲宗根望、大山凛人、名護宏道、古堅乃愛

直方体とシンプルな形態ながら、外壁には花ブロックを多用し、デザイン性にも配慮。屋上は庭園としての利用を提案した
伊良波朝義審査委員長の総評

伊良波朝義委員長
力作が一堂に会したコンテストでした。敷地・製作時間が同じであっても、提案はチームごとに違う。同一の前提条件から生まれる「プランの多様性」こそ、建築が持つ本質の一つであり、設計の面白さです。今後の活躍を期待して、学生の皆さんには「疑うことを習慣化してほしい」。もちろん締め切りという時間的制約はありますが、「この設計で本当にいいのだろうか」「先生やあの建築家が言っていることは正しいのか」など、常に問いかける姿勢で、建築に打ち込んでほしい。


■インターナショナルデザインアカデミー https://www.ida.ac.jp/
■パシフィックテクノカレッジ https://www.ptc.ac.jp/
■サイ・テク・カレッジ美浜 https://www.sci-tec.ac.jp/
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2084号・2025年12月12日紙面から掲載









