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2025年9月12日更新

第22回沖縄県不動産市場DI値レポート|取扱数が減 不動産価格は高水準

同レポートは県内の不動産関連事業者のアンケート調査を基に作成されている。地価動向や取引件数・賃貸物件の賃料水準の動向などをグラフ化。県不動産鑑定士協会によるコメントも交えながら、沖縄の不動産市場の動向や今後の見通しなどを解説している。

 第22回沖縄県不動産市場DI値レポート 

取扱数が減
不動産価格は高水準


(公社)沖縄県不動産鑑定士協会(濱元毅会長)はこのほど、2025年5月1日時点の「第22回沖縄県不動産市場DIレポート」を公開。県内の不動産事業社276社対象のアンケートでは、今期(24年11〜25年5月)は建築費高騰などにより不動産の価格は上昇傾向を示し、不動産の取扱件数は減少。契約完了までの期間は長くなっている現状が浮かび上がった。
 

成約までの期間「長くなった」

 調 査では県内の地価動向や賃貸物件の賃料水準、物件の売り出しから成約までの期間などについて回答を得た。今回、一段と際だったのが市場の活況度をはかる「不動産取扱件数」の実感値が全てのカテゴリーでマイナス(▲)を記録したこと=グラフ1
 
※出展:公益社団法人 沖縄県不動産鑑定士協会HP。グラフなどは加工・作成し使用
 


宅地は「▲4.9㌽」、一戸建ては「▲12.9㌽」、マンションは「▲27.0㌽」、軍用地は「▲48.5㌽」だった。前回の調査(2024年11月)から大幅に下落した。

これまで調査でも減少傾向は見られたものの、全ての項目でマイナス傾向を示すのはコロナ禍の3期(20年5月~21年5月)以降となる。沖縄の不動産市場の冷え込みと捉えることもでき、その背景には「建築費・人件費、地価の高騰などに伴い、物件の価格水準も上昇」したことが考えられる。



25年11月の予測値
宅地のみ上昇傾向


取引件数の減少に加え、「成約までの期間(市場滞留期間)は長くなっている」というのが第一線の実務者の肌感覚だ。市場滞留期間に関して、回答者のうち、成約までの期間が「長くなった」と答えたのは、宅地で約50.0%、一戸建てで約60.0%、マンションで約54.0%、軍用地で約62.0%。半年前と比べて、「売れにくくなっている」現況がうかがえる。

実務者のフリーコメントでは「金利の上昇により、住宅ローンの審査が通らない方が増えている」、「住宅地について県民所得からして土地相場は高すぎる」などの声が寄せられた=下図参照

 

沖縄県不動産市場DI値レポート(一般公開用)
https://www.fudousan-kanteishi.okinawa/doukou.php#d02

県不動産鑑定士協会は「次回(25年11月)の調査は一戸建て、マンション、軍用地は引き続きマイナスのまま。宅地のみプラスを示すと予測している」と見解を示した。

 

地価動向|宅地・商業地 上昇感和らぐ

  内の地価動向について、同協会は「宅地・商業地は上昇傾向を示しているが、前回調査に引き続き、上昇感の『勢い』に落ち着きが見られる」としている。 今回の地価動向DI値(平均値)は宅地=グラフ2=が「37.1㌽」で8期連続、商業地=グラフ3=が「45.8㌽」で7期連続でプラスを維持。一方、軍用地は「▲66.3㌽」で11期連続でマイナスを記録した。
 



半年後の次回調査の見通しについては、宅地・商業地の上昇感が更にやわらぐ一方で、軍用地は引き続き下落傾向が続くと予測している。
 

宅地で50㌽台
本島北部が唯一


宅地は全8地区でプラスを維持している。中でも、今年7月に大型観光施設が開業した本島北部は「53.1㌽」と県平均値の37.1㌽を大幅に上回るDI値を記録した。唯一の50㌽台となった。

同協会は半年後の宅地DI値(予測値)について、引き続き全エリアでプラスを維持。平均値は「19.2㌽」との見通しを立てた。なお、予測値は実感値よりも控えめに示される傾向があるため、「見通しは慎重に判断する必要がある」としている。



共同住宅の賃料も
上げ幅緩やかに


共同住宅の賃料は4期連続(23年5月~24年11月)最高値を更新していたが、今期は上昇感のポイントが緩やかに。過去最高値を記録した前回の「58.1㌽」から大幅に下落し、「29.0㌽」=グラフ4。全8エリアのDI値は全てプラスとなった。
 

ただし、前回調査との比較では全てのエリアで「上昇感の落ち着き」がうかがえる。特に那覇市周辺部は「前回の66.7㌽から30.9㌽」、本島南部は「60.0㌽から18.9㌽」、本島中部は「55.7㌽から22.7㌽」とほかのエリアと比較して、上昇感の落ち着きが顕著に現れている。

半年後の予測値では特に、那覇市西部と本島北部は上昇感の高まりが見込まれている。


 
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2071号 2025年09月12日紙面から掲載


 

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