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2025年2月28日更新

多肉植物を型染めで描く|アートを持ち帰ろう(47)

文/本村ひろみ

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多肉植物を型染めで描く

「脈打(みゃくうつ)」
H894×W1303ミリ 20万円(税込み)
 

ミクロの世界に命を吹き込む

染織作家・児玉麻由は鮮やかな紅型の顔料に興味を持ち、型染めの紅型を学ぶため4年前に沖縄へ移住してきた。現在は筒びきやシルクスクリーンの技法を用いて制作している。モチーフは植物。その中でも多肉植物をメインに制作をしている。

材料や彩色方法工夫し制作


「リトープス」
H180×W180ミリ 1万1000円(税込み)
筒引きと刷毛による染色。
多肉植物であるリトープスの脱皮している途中の様子を描いている。

 
きっかけは大学院のときに育て始めたこと。岡山県立大学大学院で造形デザイン学を専攻していた彼女にとって多肉植物の独特な形状はひかれるものがあったに違いない。生態を調べると、がぜん興味が湧いたという。その魅力に取りつかれた彼女は「多肉植物は内部に水をため込んでいてぷっくりとした形がかわいらしく、光の取り入れ方や成長の仕方など他にもたくさん魅力が詰まっています」と話してくれた。また植物の細胞を顕微鏡で観察し、それを活かしながら制作している。その作業を続けるうちに「存在するための分岐点があり、植物によって存在していくためのそれぞれの形がある」と気付いたそうだ。なので、児玉の作品には生命力があふれている。作品「脈打」はミクロの世界をカラフルでリズミカルに描いている。材料に熱で発泡する樹脂バインダー(顔料を固着する接着剤)を使用することで多肉植物の膨らみを表現し、透明感のある反応染料を用いてぼかしや色の重なりを活かしながら彩色をし、モチーフの植物に命を吹き込んでいる。

大学時代は花粉をモチーフに制作していたそうだ。「花粉は運ばれる対象によってカタチや性質が異なり、それぞれに意味があるんです」と話す彼女の探究心はとまらない。
 

「個体」
H894×W1303ミリ 20万円(税込み)


「赤備え」
H606×W727ミリ 10万円(税込み)


「非我1」
H652×W803ミリ 11万円(税込み)
 
作家近況
染織作家・児玉麻由
https://www.instagram.com/kdmmy_512/
11月にグループ展「The dots Ⅲ」に参加
詳しくはKiyokawa Galleryまで

本村ひろみ
もとむら・ひろみ
那覇市出身。清泉女子大学卒業。沖縄県立芸術大学造形芸術研究科修了。ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2」でパーソナリティーを務める


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2043号・2025年2月28日紙面から掲載

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本村ひろみ

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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。

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