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2024年1月12日更新
群れ咲きが美しい|シナクズ・アメリカセンナ|身近で見られる帰化植物(10)
文・写真/比嘉正一
海外から入ってきて、今では県内で普通に見られる帰化植物を解説。今回はマメ科の「シナクズ」と「アメリカセンナ」を紹介します。二種とも美しい花を咲かせます。
群れ咲きが美しい
「シナクズ」「アメリカセンナ」
青紫色の花咲かす
マメ科のシナクズ(別名/シナノクズ)は中国やインド原産で、県内には最近、帰化したと考えられています。浦添市やその他の地域で群生している様子を見ることができます。
県内各地にすでに分布しているタイワンクズに比べると大型で、花も大きめで美しいです。開花は秋頃で、タイワンクズ同様に甘い芳香があり、朝夕に香りを放ちます。
タイワンクズとの違いはシナクズの葉は、矛のような形で切れ込みが入っていることです。
タテハチョウ科リュウキュウミスジの食草です。
アメリカセンナ(北アメリカ原産)
枝先に黄色の花がいくつも付く
アメリカセンナはウラナミシロチョウの食草なので、プランターで育てて利用している
瞬く間に繁殖
同じくマメ科のアメリカセンナは、北アメリカ原産です。
高さは50~150センチに成長する常緑小低木で、県内には1970年頃、庭園花木として導入されました。種子での繁殖が容易で、乾燥にも強く、花の群れ咲きも美しいことから、瞬く間に沖縄中に広がりました。刈り込み後にもすぐ小枝が出てくるほど回復も早いです。その繁殖力から、野生化している株を見かけることもあります。
直径5センチほどの鮮やかな黄色の花が、枝先に数多く付きます。
シロチョウ科ウラナミシロチョウの食草です。これまではウラナミシジミの食草である「ハブソウ」を毎年種を採取して、育てていましたが、アメリカセンナの方が容易に育つので、便利な食草として利用しています。
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1月~2月の公園情報
【名護城公園(名護市)】
◆サクラ自然観察会
1月20日(土)午前9時30分~同11時
料金/1000円 定員/10人(対象大人)
講師/比嘉正一氏(学芸員)
名護の「サクラ」の生育状況と今年の開花の状態を解説。生育地を散策しながら、サクラとともに生きる生物たちも紹介する。
(電話=0980・52・7434)
【沖縄県 県民の森(恩納村)】
◆有用植物自然観察会
1月27日(土)午前9時30分~同11時
料金/1000円
講師/比嘉正一氏(学芸員)
県民の森の散策路沿いに育つ植物たちは少し前まで、生活の中で使っていたものばかり。方言名、利用の仕方などについて解説する。自然を学びながら、絶景も見られる両得の観察会。
(電話=098・967・8092)
【中城公園(中城村)】
◆食べられる野草の観察と野草料理の試食会
2月3日(土)午後1時30分~同4時
料金/2000円 定員/15人(対象大人)
講師/比嘉正一氏(学芸員)、下地富士枝氏、岩田亜久里氏(野草料理人)
園内を散策しながら、食べられる春の野草、毒植物の観察をし、野草の知識を得つつ自然の魅力を体感してもらう。観察会後は野草料理の試食会を行う。
(電話=098・935・2666)
【浦添大公園(浦添市)】
◆食べられる野草の観察と野草料理の試食会
2月10日(土)午後1時30分~同4時
料金/2000円 定員/15人(対象大人)
講師/比嘉正一氏(学芸員)、下地富士枝氏、岩田亜久里氏(野草料理人)
※左記、中城公園の内容と同様
(電話=098・873・0700)
※諸事情で日時が変更になる場合があります。問い合わせ先にご確認ください。
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執筆者
ひが・まさかず/1956年浦添市生まれ。月刊誌「緑と生活」、東南植物楽園勤務を経て沖縄県県民の森(恩納村)の所長、沖縄昆虫同好会会長、NPO法人沖縄有用植物研究会理事
第1984号・2024年1月12日紙面から掲載