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2023年2月3日更新
今月は「ナスタチウム」|葉や種に辛み 花に甘み[見て食べて楽しむ野草⑪]
文・写真/比嘉正一(県営中城公園所長)
今月は「ナスタチウム」葉や種に辛み 花に甘み
採取した葉
別名/キンレンカ、ノウゼンハレン
南米原産でノウゼンハレン科の一年草
“持続可能”な草花
ナスタチウムは半つる性の1年草本です。日本にはオランダ人が1800年代に持ってきたとされています。花色は赤だいだい色のほか、黄色、桃色、朱赤があり、八重咲きの花もあります。沖縄では野生化していて、畑の周囲、民家周辺の路傍などあちこちで見ることができます。葉は直径5センチほどの円形です。10月中旬ごろから種の発芽がはじまり、11月中旬には開花、年明けになると群生し花数も多くなります。4月に入ると株が枯れ始め、5月には姿を消すことが多いです。種は発芽力が強く、乾燥させて保存しておけば花壇などにじか蒔(ま)きすることができます。プランターで栽培しているときも、こぼれ種で毎年のように育てることができました。
葉・花・若実など幅広く食べることができ、花もきれいで観賞価値があります。さらに勝手に育つので、“持続可能”な草花です。
ナスタチウムのコブサラダ。葉だけでなく花も使ってカラフルに。さわやかな辛みがアクセントになっている
葉をたっぷり使った親子丼。普通の野菜と同じように鶏肉や卵と一緒に加熱する
サラダの彩りにも
葉、種はピリッとした辛みがあります。花には甘みがあって、いずれもおいしいです。えぐみなどもほとんどなく生で食べられるのでサラダの彩りにもぴったり。最近では、観賞用だけでなく食用で栽培する方も増えています。種や苗を配布すると、もらっていく方も増えてきました。特に対策する病害虫はありませんが、モンシロチョウの幼虫がよく食べるので、注意が必要です。特にプランターなどで栽培していると、葉がモンシロチョウの幼虫だらけになることもあります。
ただ、視点を変えるとモンシロチョウの卵から、幼虫、蛹(さなぎ)と見ることができ、昆虫の完全変態を観察するよい教材でもあります。
ナスタチウムの五目ずし。葉の緑とオレンジ色の花を酢飯に混ぜ込んで華やかに
葉のごまドレッシングあえ。ゆがいたナスタチウムの葉にドレッシングをかけるだけの簡単メニュー
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2月の公園情報
【コザ運動公園】◆さくら花見と食べられる野草の観察会
日時/2月4日(土)午前9時30分~同11時
集合場所/コザ運動公園 陸上競技場駐車場
料金/1000円 定員/10人(大人対象)
講師/比嘉正一氏 (学芸員)
見ごろを迎えたヒカンザクラの花見をしながら園内を散策、食べられる野草を観察し、特徴や利用方法を解説する。
電話=098・932・0777
【中城公園】
◆春の観察会「食べられる野草」と試食会
日時/2月11日(土)午後1時30分~同4時
集合場所/中城公園「会議室」
料金/2000円 定員/15人(大人対象)
講師/比嘉正一氏(学芸員)
園内を散策しながら食べられる野草の観察をし、調理法や採取の仕方、特徴を解説。その後、スタッフが料理したメニューを試食する。
電話=098・935・2666
【名護城公園】
◆春の観察会「食べられる野草」と試食会
日時/2月18日(土)午後1時30分~同4時
場所/名護城公園
料金/2000円 定員/15人(大人対象)
講師/比嘉正一氏(学芸員)
中城公園の内容と同じ
電話=0980・52・7434
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執筆者
ひが・まさかず/1956年生まれ 月刊誌「緑と生活」、東南植物楽園勤務を経て現職。沖縄昆虫同好会会長、NPO法人沖縄有用植物研究会理事
毎週金曜発行・週刊タイムス住宅新聞
第1935号・2023年2月3日紙面から掲載