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2023年1月6日更新

今月は「クチナシ」|食欲そそる黄色[見て食べて楽しむ野草⑩]

文・写真/比嘉正一(県営中城公園所長)




今月は「クチナシ」食欲そそる黄色



熟した実。野鳥も食べるので、熟したらすぐに採取しよう

【方言名】
別名/カジマヤー【アカネ科、東海地方~先島諸島に分布】


熟した果実で色づけ

クチナシは、高さ5メートル前後に成長する常緑小高木です。花は初夏に咲き、ジャスミンに似た甘い香りを漂わせます。花の形は風車に似ています。かつては子どもたちが真ん中に棒を差して遊んでいました。それが方言名「カジマヤー」の由来になっています。

山野に普通に自生していますが、樹形がよく香りもよいので庭園、街路樹、公園などに植えられています。また、熟した果実は鳥が好んで食べるので、こぼれ種から庭にいつの間にか生えていることがあります。

料理に使うのは果実です。10~12月にかけて果実が黄色みを帯びたころが採取適期。採取した果実は日陰で干して乾燥させます。乾燥した果実は密閉できる食品保存容器などに入れて保管しておけばいつでも使えます。

クチナシご飯を炊くときは、乾燥した果実を割り、茶こしで水に浸しながら色を出します。色を薄めにしたい時は4合で実1個、濃いめにしたいときは3~4個使います。通常、ご飯を黄色く色付けるにはターメリックやサフランを使いますが、クチナシでもきれいに染まりますし、独特の臭いもありません。ダイコン、カブや餅などの色付けにも適しています。
 
クチナシ染めご飯のお弁当。ご飯自体が彩りになり、いつもの弁当がカラフルに
 
クチナシ染めご飯の手まり寿司。野草料理試食会でも人気の一品

虫や鳥に注意

クチナシの実は、イワカワシジミの幼虫がよく食べます。穴があれば食べられた跡なので使わないようにしましょう。また、熟した実は野鳥も好むので、採取時期を遅くすると人が食べる分がなくなってしまいます。

地植えでも、鉢植えでもよく育ちます。注意するのは、オオスカシバの幼虫の食害です。幼虫は早めに見つけて、除去してください。気付くのが遅れると葉が1枚もない!なんてことになりますので気を付けてくださいね。

 

 クチナシ染めご飯 

【材料】
乾燥させたクチナシの果実と米
※薄めの色にしたい場合は米4合に実1個、濃いめの場合は米4合に実3~4個使う

【作り方】
1.
乾燥させたクチナシの実を割り、中身を茶こしなどに入れて、米を浸した釜の中に入れて色を出す。

2.色づいたら普通のご飯と同じように炊く
 


1月の公園情報

【中城公園】
◆アダン根の筆づくり体験

日時/1月14日(土)午後1時30分~同3時
場所/中城公園会議室   
料金/1500円 定員/10人(7歳以上対象) 
講師/岩田亜久梨氏(デザイナー) 
 アダン根をトンカチでたたいて繊維をほぐし、オリジナル筆を作り、半紙に書や絵を描く。自分で作ったアダン根筆は、世界に一つで繰り返し使え、記念の作品として残る。お子さんから年配者まで楽しめる。
中城公園/電話=098・935・2666

【名護城公園】
◆サクラ自然観察会

日時/1月21日(土)午前9時30分~同11時
集合場所/名護城公園 天上展望台駐車場  
料金/1000円(資料込み) 定員/10人(大人対象) 
講師/比嘉正一氏(学芸員)  
 名護市内に「サクラ」がいつから植えられ、現在の様子になったか解説する。満開になる前に、生育地を巡りながら生育状況と花をめでて観察。また、「サクラ」とともに生きる生物たちも観察する。
名護城公園/電話=0980・52・7434




比嘉正一さん
執筆者
ひが・まさかず/1956年生まれ 月刊誌「緑と生活」、東南植物楽園勤務を経て現職。沖縄昆虫同好会会長、NPO法人沖縄有用植物研究会理事
 
毎週金曜発行・週刊タイムス住宅新聞
第1931号・2023年1月6日紙面から掲載

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