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2022年3月25日更新
[鳩さんのつぶやき]⑪|宮古島ならではの不動産事情|沖縄県宅地建物取引業協会
沖縄県宅地建物取引業協会の広報啓発委員会のメンバーが、日々の業務で感じた、よもやま話をつづります。
協力/沖縄県宅地建物取引業協会
鳩さんのつぶやき ⑪
協力/沖縄県宅地建物取引業協会
砂川幸男さん
(株)ひろし不動産代表取締役
沖縄県宅地建物取引業協会会員
宮古地区宅地建物取引業者会会長
宮古島ならではの不動産事情
宮古ブルーと称される透明度の高い海に満天の星空、人情味あふれる島民気質から、観光客や移住者が急増した宮古島。伊良部大橋開通を機に拍車がかかり、新築ラッシュで「宮古バブル」と言われたほどでした。
そんな宮古島で父の代から不動産業を営んで35年。コロナ前に比べ落ち着いたとはいえ、移住希望者や、アパート建築を予定する事業者からの問い合わせは現在も。取引の際は、他府県とは違う、宮古ならではの不動産事情を丁寧にお伝えしています。
第一に宮古島はウガンジュと呼ばれる拝所が点在。神聖な場としてあがめられ、むやみに出入りする場ではないことから、仮に付近の土地を購入しアパートを建築しても島民の入居が見込みにくいことをお伝えします。
第二に、宮古島市内とその近郊は、下水道が普及しているのは3割余であること。それ以外の地域で集合住宅を建てる場合は合併浄化槽を設けなければならず、工事費用は20世帯で約1千万円です。
また宮古島市は県内で最も耕作面積が広く、島の5割が農地です。約15年前までは、農業振興除外地であれば農地転用の許可を簡易に得ることができましたが、現在は、農振除外地であるにも関わらず、農地転用許可を得るのが難しくなっています。背景には、前述のバブルにより土地の転売で利益を得るケースが増えたことが挙げられます。
これらが分からないまま契約するとトラブルに発展してしまうため、取引に当たっては、われわれ宅建業者が入念に事前調査を行うことは言うまでもありません。加えて、宅建業協会主催のセミナーで学ぶことも多く、例えば賃貸契約の際の重要事項説明といった宅建業法上のトラブル対応についても、会員皆で知識を深めています。
昨今の課題は、深刻化する空き家問題への対応。相続が絡むケースも多く、司法書士や土地家屋調査士、建築士や行政との連携も不可欠です。
暮らしに密着する不動産の窓口を担うのが宅建業者。自然・歴史・文化といった宮古らしさを大切に、島の発展に貢献できれば幸いです。=おわり
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1890号・2022年3月25日紙面から掲載