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2022年2月25日更新

【沖縄】若手建築士の設計競技|気になるコト調べます![73]

若手建築士の育成を目的に県が主催する、40歳以下対象の設計競技「ティーダフラッグス2021」最終審査が2月9日に行われた。

若手建築士の設計競技 金賞に大城さん・仲川さん

大度園地の内外つなぐ新施設

若手建築士の育成を目的に県が主催する、40歳以下対象の設計競技「ティーダフラッグス2021」最終審査が2月9日に行われた。題材は糸満市大度園地のトイレと休憩所の建て替え。応募35作品の中から金賞に選ばれたのは、大城良介さん(32)と仲川凜さん(25)の作品で、来年度から工事に向けた設計を進める予定だ。学生賞は安谷岳さん(24)・比嘉龍一さん(24)・比嘉志緒里さん(21)の作品。受賞者から提案のポイントを聞いた。

大度園地(糸満市)

大度園地の鳥瞰写真。赤い屋根が既存の休憩所(東屋)、その背後の木に隠れてトイレがある(糸満市撮影)

大度園地は海岸線にある沖縄戦跡国定公園。シュノーケリングやダイビングを楽しむ人などでにぎわう。園内の既存のトイレと休憩所は鉄筋コンクリート造で、築27年がたち塩害などにより老朽化。建て替えにあたりティーダフラッグスで案を募った。園の西側に海岸へ下りる道、東側にはジョン万次郎上陸記念碑へつながる道があり、北側には住宅地が広がる。

金賞
  園路上に休憩所 彫り下げて変化する眺め 
 仲川凜さん  大城良介さん(アトリエ・門口)


大城さんと仲川さんは、園内中央にあったトイレと休憩所を分散させ、園路でつなぐよう計画。西側には休憩所、駐車場に近い東側にはトイレを配置し、中央を開けることで園の背後にある住宅地から海への景観を邪魔しないようにした。

休憩所は園路の上に屋根をかけるような形に=園全体パース(右上)の手前の建物。床は園路と一続きだが、掘り下げて屋根の高さを抑えることで、休憩所の外に立つ人が屋根越しに海を望めるようにした。「休憩所内からは水平線と同じ目線で景色が見え、立つ場所によって変わる景色が楽しめるようにしている」と仲川さんは話す。

園路は既存のものを残しつつ、8の字のように新たにつなぐことで園内の回遊性を高めた。また、園路の東西の端にベンチスペースを設け、海岸やジョン万次郎上陸記念碑から来る人が休憩できるようにした。大城さんは「景観や園周辺からのアクセス性など、周りの環境に配慮したことが受賞につながったと思う」と話した。
園全体のパース。手前の休憩所は園路の上に屋根をかけたような形になっており、掘り下げて屋根の高さを抑えた。奥に駐車場とトイレがある


休憩所内のイメージ。階段がベンチ代わりになり、ステージのようにも利用できる


トイレの外観イメージ。海側に向かってベンチを設けた

学生賞
  光遮りウミガメ導く 

比嘉志緒里さん 安谷岳さん 比嘉龍一さん
(琉球大学4年)(琉球大学大学院1年)


園付近の海岸はウミガメの産卵場所。安谷さんらは、ふ化したウミガメが光につられて海へ帰る道を間違えないよう、海岸線に沿ったアーチの壁でトイレの照明が海に漏れないようにした。審査員からは形にするまでのアプローチがしっかりしていると評価された。

龍一さんは「リサーチで時間をかけた部分が報われた」と受賞を喜ぶ。志緒里さんは「次はコスト面もしっかり固めたい」。2年にわたり一人で挑戦してきた安谷さんは「チームを組んでようやく学生賞。次は実際に建てられるような提案をしたい」と語った。
 

【その他の受賞者と審査員】

銀賞 玉城力さん(根路銘設計)=前列右から4人目
銅賞 豊崎孟史さん(GAB)=前列右端

審査員は伊礼智審査員長=後列右から5人目=をはじめ、県や市の担当課、公園管理団体、建築3団体の代表者が務めた。


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取材/川本莉菜子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1886号・2021年2月25日紙面から掲載

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川本莉菜子

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編集者
好奇心が行動源。まち歩きで面白いことを発見した時に興奮し、脇目振らずに追いかけて迷子になること多し。人が住む・暮らす場所にある歴史、知恵、繋がりの面白さを見つけて発信していきたいです。よく県外出身かと聞かれますが、生粋のウチナーンチュです。

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