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2021年10月29日更新

【第7回沖縄建築賞】奨励賞 住宅建築部門/「4世代が住む家」(那覇市)/濱元宏氏(58)/豊崎孟史氏(36)/ ㈱GAB+濱元宏建築設計事務所

沖縄県内の優秀な建築物・建築士を表彰する「沖縄建築賞」(主催/同実行委員会)。全16作品(住宅部門9件、一般部門7件)の中から、第7回の入賞作品が決定した。奨励賞には住宅建築部門で、濱元宏氏・豊崎孟史氏設計の「4世代が住む家」(那覇市)が選ばれた。

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前面道路側に大開口を設けた大胆な造り。木スクリーンでゆるく遮る。夜は室内の光が道を照らす
前面道路側に大開口を設けた大胆な造り。木スクリーンでゆるく遮る。夜は室内の光が道を照らす


奨励賞 住宅建築部門
「4世代が住む家」(那覇市)


スクリーンや植栽でやわらかく目隠し

開放的で明るい室内

「4世代が住む家」は首里の住宅密集地に建ちながら道路側に大開口を設け、木製スクリーンと植栽を這わせて目隠し。昼は緑で目を楽しませ、夜は室内の光が道まで照らす。スクリーンと住居の間には水盤を設置。雨水が循環するそこでグッピーが泳ぐ。

「建物自体は開放的にし、スクリーンや植栽などで“重ね着して”開口をコントロールしている。実に沖縄的であると同時に、挑戦的でもある」と評された。

3階建ての室内は、道路側の大開口のおかげで開放的で明るい。特に1階LDKは2階までの吹き抜けになっていて、ホテルのロビーのよう。

審査員からの質問が多かったのは、3階の窓が道路側に傾いている理由。濱元さんは「室内から外を見たときに、視線が下に落ちるので目の間にある電線の印象がやわらぐ。また、室内の圧迫感を軽減している」と説明した。
 

1階LDK。道路側の大開口のおかげで開放的
1階LDK。道路側の大開口のおかげで開放的
 

木製ルーバーの内側には雨水を利用した水盤が設置されている。水音が涼を呼ぶ

木製ルーバーの内側には雨水を利用した水盤が設置されている。水音が涼を呼ぶ


設計者/(写真上から)濱元宏氏(58)、豊崎孟史氏(36)
㈱GAB+濱元宏建築設計事務所



(濱元)施工屋の僕が、こんな賞を頂けるのはとても光栄です。今後の励みになります。家主をはじめ、携わっていただいたすべての職人の方々に感謝申し上げます。

 


審査講評・大嶺亮氏 奨励賞

「昔ながら」現代的に

この建物は那覇市首里の、古くに区画整理された住宅地にあります。

周辺の住宅は2階建てが多い中でこの建物は3層の構成ですが、敷地両側に駐車場を設け隣地との距離を確保し、1層あたりの階高を抑え勾配屋根とすることで周辺への配慮が見られました。また、建物正面の木製スクリーンと緑化が圧迫感をなくす役割をしています。

内部は、道路側のスクリーンから奥に行くにつれてパブリックからプライベートへとグラデーションがかかり、空間のボリュームも天井の高い大きな空間から列柱のある通路、小さな諸室空間へと変化してゆく構成となっており、昔ながらの民家の間取りの現代的な新しい表現として高く評価されました。特に1階LDKは、高天井のおおらかで開放的な空間。住宅ではなかなか味わえない快適さを生み出しています。

入賞者の中で一番若々しく挑戦的な建物の作者が、一番のおじさんだったのが印象的でした。(第6回沖縄建築賞 住宅部門正賞受賞者)

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1869号・2021年10月29日紙面から掲載

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