沖縄建築賞
2021年10月29日更新
【第7回沖縄建築賞】奨励賞 住宅建築部門/「風と生きる花ブロックの家」(沖縄市)/松田まり子氏/松田まり子建築設計事務所
沖縄県内の優秀な建築物・建築士を表彰する「沖縄建築賞」(主催/同実行委員会)。全16作品(住宅部門9件、一般部門7件)の中から、第7回の入賞作品が決定した。奨励賞には住宅建築部門で、松田まり子氏設計の「風と生きる花ブロックの家」(沖縄市)が選ばれた。
真っ白い花ブロックの外観が印象的。同物件は「令和2年度国土交通省サステナブル建築物等先導事業(気候風土適応型)」に採択された
奨励賞 住宅建築部門
「風と生きる花ブロックの家」(沖縄市)
風と光誘う 沖縄に適したRC造
省エネかつ快適
松田まり子さんが手掛けた「風と生きる花ブロックの家」は、その名の通り道路側からの視線をゆるく遮り、強い日差しから住居を守る花ブロックが印象的。
「防ぐ」だけでなく、室内には涼風や光をもたらす。敷地に吹く風の向きや日の当たり方、熱環境などを緻密にシミュレーションした上で、花ブロック壁や遮熱ブロックを採用。窓の位置なども調整し、省エネルギーでも快適な住宅を実現した。
現地審査は午前中の暑い時間だったが、審査員は「室内は風が流れて涼しかった。設計の効果を実感した」と話す。
西日を利用して洗濯物を乾かしたり、天窓を効果的に用いて明るさも確保。「太陽の恵みも大切に考えた」と松田さん。
沖縄に多い鉄筋コンクリート造で省エネを実現していることが評価され、奨励賞を受賞。審査員は「沖縄における省エネ住宅の道筋を照らしてほしい」と期待を込めた。
花ブロックのおかげで、レースカーテンのみで生活している
天窓が効いて明るい玄関
設計者/松田まり子氏(44)
松田まり子建築設計事務所
施主と共に、新しい挑戦ができたおかげです。関わったすべての方々に感謝します。今後も沖縄の気候風土に向き合う環境建築を心掛けます。
審査講評・武岡光明氏 奨励賞
自然を分析し快適に
北東側に面する玄関を入ると正面の白い壁に天窓からの光が注ぎ、北側玄関の暗いイメージを一新する。居間は花ブロックとテラス上部の開口により自然の光と風がそそぎ、開放感を感じる心地よい場となっている。
沖縄型気候風土適応住宅を念頭において、機械設備は極力使わず、自然の力で対応していることは高く評価できる。特に、花ブロックの活用、遮熱ブロックによる床、壁、天井の空気層を設けない工法の利用、外皮にふく射熱が伝わらない遮熱塗料の使用、開口部近くへの香りを発する植物の植栽など新たな試みがいくつかなされており、今後、その定量的なデータ分析が楽しみな住宅である。(県建築士事務所協会会長)
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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1869号・2021年10月29日紙面から掲載