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2021年7月9日更新
[沖縄・移住]暮らしをサイズダウン シニアから楽しむ沖縄移住[4]
[文・写真/青木 容子]
60代後半で沖縄に移住した青木容子さん。本連載は、青木さんが移住に伴って、資産整理や断捨離などの暮らしをサイズダウンした経験と、沖縄で生活する中での楽しみを紹介します。
ゲストも招ける住まい求めて
アパートで仮暮らし
静岡県富士宮市の自宅とギャラリーの引き渡しを終え、沖縄の住まいが決まるまで、同市内のアパートで荷ほどきもしないままの仮暮らしをしていました。ギャラリーを閉める手続きが一段落したところで、沖縄の住まい探しがスタート。移住したら、生計を立てるためにゲストハウスを営もうと考えていました。友人や仕事仲間などをよく家に招いてもてなしていましたので、無理なく楽しくやれるのではないかという夫の提案がきっかけです。なので、私たち夫婦が住みながら、ゲストも招けるよう、住まいは3LDKで、80平方㍍くらいの広さが理想でした。
まずはどの辺りに住むかを決めなくては前に進まない。沖縄本島からもう一歩“旅感”を味わえて、交通の利便性もいい「橋でつながっている離島」ということにして、古宇利島に行ってみました。立ち寄った島内のカフェで情報を探ってみたところ、「人気が高いので売り物件もほとんどなく、あったとしても高い。賃貸なんてほぼないよ」とオーナーさんから教えてもらいました。
ほかの離島も探してみようと、その翌日は、沖縄で生まれ育った友人の案内で伊計島へ。ゲストがより沖縄らしい時間を過ごしてもらえる古民家もいいのではと思い、島の商店で古民家の空き家がないか聞き込みをしました。ですが、空き家でも仏壇があって借りるのは難しいという沖縄独特の事情があることが分かって断念…。なかなか条件に合う物件に出合えないまま、3泊4日住まい探しの旅は時間切れになり、富士宮に戻りました。
住まい探しの旅中に撮った、沖縄らしさを感じる風景。瀬底島や伊計島のほか、名護市や沖縄市なども巡った
立地に魅力感じ即決
短い滞在期間で探すのは難しいので、とりあえずアパートを借りて、沖縄に住みながら条件に合う物件を探そうかとも考え始めた頃…。不動産屋さんから「希望に添えそうな家が沖縄市に見つかりました」と連絡がありました。資料に目を通すと間取りのほか、庭付きの平屋で駐車場2台分と、ゲストハウスができる条件はぴったり! でも実際に見てみなくては決められないので、早速チケットを取って再び沖縄へ。案内された家は、近くに遊歩道が通る住宅地にあり、泡瀬漁港まで徒歩5分という立地の良さが気に入り、夫も私も、「ここにしよう!」と即決しました。こうして富士宮のアパートで約2カ月の仮暮らしがようやく終わったのでした。
【こぼれ話】
暮らしの中に感じるアート
丸くて青いメーターが集まっているのがかわいらしい。沖縄に来て初めて見た光景
沖縄の住まい探し中に立ち寄った商店街の裏道で見つけた、水道メーターの集まり。静岡と違って、配管までむき出しになっているのは「珍しい!」と目がくぎ付けになりました。ただその土地の暮らしぶりが表れているだけなのに、外国で見慣れない風景に抱くあこがれのような、アートを感じる瞬間でした。
あおき・ようこ/1948年、長崎市生まれ。夫・嘉一郎とともに、90年から静岡県富士宮市で企画アートギャラリー「芸術空間あおき」を経営。2016年に沖縄移住し、北中城村瑞慶覧のカフェ「沖縄物語」内でアートショップを営む。
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1853号・2021年7月9日紙面から掲載