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2021年3月5日更新

コロナ禍の避難所設営②| みんなの防災計画 拡大版[22]

文・長堂政美
2011年に起きた東日本大震災から今年で10年。大きな節目を迎える。そこで今回は「拡大版」として、コロナ禍における避難所設営のポイントについて紹介する。

ここでは避難者が滞在するスペースのレイアウトについて解説。パーテーション(仕切り)があれば、感染対策をしながらプライバシーも守れる。

■避難者スペースのレイアウト

仕切りで飛沫と視線遮る

常に視線がある状態
避難所における大きなストレスの一つが「プライバシーの確保が難しいこと」。避難所によっては、パーテーションがないところもあります。そうなると、広い体育館などで周りの視線がある状態のまま眠ることになり、気持ちも落ち着きません。

また、何も指示がなく、体育館などに案内された場合、到着した人から自由に場所を確保して座ることになると思います。その場合、避難所内を把握しにくくなり、運営にも支障をきたしてしまいます。

そこで、避難所をより安心できる空間にするため、区画を整理しながら簡単な仕切りを作ります。

■一般避難者スペースのレイアウト例
第1段階はテープ等で区切り、資材が集まれば第2段階として段ボール製のパーテーション等で仕切っていく。

第1段階


第2段階



■高齢者・障がい者スペースのレイアウト例
段ボールベッドや車いすを使うため、一般避難者よりも広いスペースで区切る。



塩ビパイプが活躍
まず、できるだけ早い段階の応急的な対応として、養生テープなどを使って区画を仕切りましょう。広さは大人1人につき1畳程度。4人家族であれば4区画分のスペースとなります。感染症予防のためにも、家族間の距離は2㍍以上空けましょう。

次に、段ボールなどの資材を調達できるようになれば、それらを使ってパーテーションを組み立てて、家族と家族の間に設置していきます。このとき、高さを1㍍以上にするのがポイント。座ったときに他の人と目線が合わなくなるだけでなく、飛沫感染も防げます。

寝たきりの高齢者や車いすを使う障がい者などの場合は、ベッドやポータブルトイレなどを置くためのスペースも必要となります。そのため、広さは3㍍×3㍍程度はあるといいでしょう。車いすやベッドの上でもプライバシーを守れるよう、パーテーションの高さも1・5㍍以上が望ましいです。

また、段ボールがなければ、安価な塩ビパイプや薄いブルーシートでパーテーションを作成することも可能。段ボールを切って組み立てるより、時間的にも早く作ることができます。




ワンタッチテントを活用した例。周りにブルーシートを巻くだけで更衣室や授乳室など、さまざまな用途に使える
【設営協力:北中城村社会福祉協議会】



資材は事業者の協力で

被災直後、そのような資材を迅速に得るためには、地域事業者の協力が欠かせません。今回、設営に使った資材も、大きな段ボールは家具店や電器店などから、塩ビパイプは水道事業者からの提供でした。

「災害対策基本法」においても、地域の自主防災組織と事業者との間で協定を結ぶことは可能とされています。

発災前である平時から、地域事業者を巻き込んで避難所設営や運営の訓練を行うことで、資材をはじめとした避難所における物的資源の確保もよりスムーズになります。

行政や医療・保健・福祉分野、ならびにボランティア・NPO団体等と同様に、地域事業者とも、万が一の災害時に備えた共助関係を築いておきましょう。

それが、避難者にとって少しでも良い環境の避難所生活へとつながります。




コロナ禍の避難所設営③▶︎



長堂政美
ながどう・まさみ/NPO法人防災サポート沖縄理事長、元沖縄市消防長 ☎098・923・4442
 

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1835号・2021年3月5日紙面から掲載

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