防災
2019年4月5日更新
自主防災組織とは? 住民協力し安心なまち|みんなの防災計画[1]
文・長堂政美
地震や津波、台風、高潮、大雨・洪水、土砂災害、火災、救急患者の発生など、いつ起きてもおかしくない非常事態。どう備えればいいのかをNPO法人防災サポート沖縄の長堂政美理事長に執筆してもらう。初回は自主防災組織について。
県内結成状況は全国最下位
自助あっての共助
災害時や救急患者が出た時など、地域内の住民同士で、互いに協力しながら災害防除活動(共助)を自発的に行う組織のことを「自主防災組織」といいます。ただし、自分と家族の命が最優先です。それらを守る「自助」あっての共助です。
設立する最大のメリットは、安心なまちづくりにつながること。というのも、大規模な自然災害が発生したとき、消防・警察(公助)などの公的機関はすぐに駆けつけることはできません。また、大規模災害でなくても、現場に公助が駆けつけるのには時間がかかり、2016年の救急車の全国平均到着時間は8.5分といわれています=グラフ1。この8.5分の間に何もしなければ死に至るケースもあります=グラフ2。
自治会や団地などが中心となって組織された自主防災組織では、大規模災害に対応する他、初期消火・応急手当てなどを積極的に実施することを目的としています。そのため安心なまちをつくるための大切なコミュニティーとなっています。
自主防災組織の活動としては、災害情報を住民に知らせる警戒広報、暴風対策、初期消火、救急救命、災害時に自力避難が困難な「災害時避難行動要配慮者・要支援者」の安否確認、避難誘導、被災時の避難所運営などがあります。
特異な例としては、不発弾が発見され、一定の区域内に避難命令が発令されたときの避難誘導と一時避難所での避難住民の対応もあります。
24年で巨大地震6回
日本は世界有数の地震国(世界で発生するマグニチュード6以上の地震の約20%が日本で発生)であり、いつどこで大地震が発生しても不思議ではありません。
実際、1995年1月17日の阪神淡路大震災から、2004年10月23日の新潟中越地震、11年3月11日の東日本大震災、16年4月14日と16日に2度発生した熊本地震、沖縄よりも発生確率が低いとされてきた北海道で18年9月6日に起きた北海道地震と、最大震度7クラスの巨大地震が、この24年の間に6度発生しています。本県にも津波の影響があるといわれる南海トラフ巨大地震の切迫性も指摘されています。
一方、18年7月の台風第7号の記録的大雨による西日本豪雨災害、13年11月8日にフィリピン中部に襲来し、未曽有の被害をもたらしたスーパー台風のハイエン(台風30号)などのように、台風の被害に遭う可能性もあります。そのため、特に台風が通過することの多い本県では、常に自然災害のリスクにさらされているものと考えます。
そんな中、本県で大きな課題となっているのが、自主防災組織の結成状況。消防庁が発表した「自主防災組織の結成状況」によると沖縄県は最下位の25.2%となっています=表。
本県は島しょ県であり、大規模な災害が発生すれば他府県からの応援もすぐに来られません。そのため自分たちの地域は自分たちで守るための自主防災組織の設立は喫緊の課題となっています。
ながどう・まさみ/NPO法人防災サポート沖縄理事長、元沖縄市消防長
自助あっての共助
災害時や救急患者が出た時など、地域内の住民同士で、互いに協力しながら災害防除活動(共助)を自発的に行う組織のことを「自主防災組織」といいます。ただし、自分と家族の命が最優先です。それらを守る「自助」あっての共助です。
設立する最大のメリットは、安心なまちづくりにつながること。というのも、大規模な自然災害が発生したとき、消防・警察(公助)などの公的機関はすぐに駆けつけることはできません。また、大規模災害でなくても、現場に公助が駆けつけるのには時間がかかり、2016年の救急車の全国平均到着時間は8.5分といわれています=グラフ1。この8.5分の間に何もしなければ死に至るケースもあります=グラフ2。
自治会や団地などが中心となって組織された自主防災組織では、大規模災害に対応する他、初期消火・応急手当てなどを積極的に実施することを目的としています。そのため安心なまちをつくるための大切なコミュニティーとなっています。
自主防災組織の活動としては、災害情報を住民に知らせる警戒広報、暴風対策、初期消火、救急救命、災害時に自力避難が困難な「災害時避難行動要配慮者・要支援者」の安否確認、避難誘導、被災時の避難所運営などがあります。
特異な例としては、不発弾が発見され、一定の区域内に避難命令が発令されたときの避難誘導と一時避難所での避難住民の対応もあります。
24年で巨大地震6回
日本は世界有数の地震国(世界で発生するマグニチュード6以上の地震の約20%が日本で発生)であり、いつどこで大地震が発生しても不思議ではありません。
実際、1995年1月17日の阪神淡路大震災から、2004年10月23日の新潟中越地震、11年3月11日の東日本大震災、16年4月14日と16日に2度発生した熊本地震、沖縄よりも発生確率が低いとされてきた北海道で18年9月6日に起きた北海道地震と、最大震度7クラスの巨大地震が、この24年の間に6度発生しています。本県にも津波の影響があるといわれる南海トラフ巨大地震の切迫性も指摘されています。
一方、18年7月の台風第7号の記録的大雨による西日本豪雨災害、13年11月8日にフィリピン中部に襲来し、未曽有の被害をもたらしたスーパー台風のハイエン(台風30号)などのように、台風の被害に遭う可能性もあります。そのため、特に台風が通過することの多い本県では、常に自然災害のリスクにさらされているものと考えます。
そんな中、本県で大きな課題となっているのが、自主防災組織の結成状況。消防庁が発表した「自主防災組織の結成状況」によると沖縄県は最下位の25.2%となっています=表。
本県は島しょ県であり、大規模な災害が発生すれば他府県からの応援もすぐに来られません。そのため自分たちの地域は自分たちで守るための自主防災組織の設立は喫緊の課題となっています。
ながどう・まさみ/NPO法人防災サポート沖縄理事長、元沖縄市消防長
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1735号・2019年4月5日紙面から掲載