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2025年12月26日更新

[沖縄県内の住宅補修・改修例から考える]自分で歩けるが補助必要な祖母の家 孫の理学療法士、改修で入念に確認した点は?|安心して暮らすために「できること」

持ち家に安心して長く暮らし続けるためには、どうしたらいいのか。今号では鉄筋コンクリート造の補修事例や高齢者に優しい室内の造り方、安心・安全に暮らすためのサービスを展開する各社の取り組みを紹介する。


老いても弱っても自宅で暮らしたい

 理学療法士・島袋みちるさん祖父母宅の介護改修 

理学療法士・島袋みちるさんの祖父母宅の介護改修事例を紹介。島袋さんは、今までも〝動作のプロ〟として介護改修のアドバイスをしてきた。祖父母宅でも動線や家具の見直し、手すりの設置、段差解消などを行った。「祖母は足腰は弱っていたが歩けていました。自力移動をサポートしつつ転倒リスクを低減することを重視しました」と話す。


物を片付けて転倒リスク減

島袋さんの祖母が、脊柱管狭窄(きょうさく)症や骨折の手術を終えて自宅に戻ることになった。軽度の認知症もあり、要介護3。自分で歩けるが支え(補助)が必要なため、島袋さんは祖父母宅の生活空間の見直しやバリアフリー化を行った。

「最初にやったのは、物をどけて空間を確保すること」。高齢者の家は物が多く、移動や動作の妨げになっているケースが多々見られるという。「今後、車椅子になったり、介助が必要になったときにもスペースが必要です。介護に備えて早い段階で片付けておくことをお薦めします」と話す。

また、足腰が弱っているとカーペットやコンセントなど、わずか数ミリの段差で転倒することも少なくない。「ささいなことですが、コンセントを動線の外に差し替えたり、カーペットは撤去したりしました。長く住んでいると、この状態が当たり前になって『転倒リスク』として目に入らなくなっているので注意しましょう」と警鐘を鳴らす。


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布団など「低い」生活 立ち上がるのに負担

高齢者の住まいでよく見る布団や座卓など「低い家具・寝具」にも危険が潜んでいるという。「要介護者などにとって、立ち上がるという動作は結構、負担が大きい。立ち上がりやすくするために、座卓・座椅子からダイニングセットに変える、布団からベッドにするなどを検討してもいいかもしれません」と島袋さん。

家の改修だけでなく、片付けをしたり体の状態に合わせた家具に替えたりなどの工夫も、安心・安全に暮らすためには大切だ。


段差や方向転換時 手すりで安全確保

祖父母宅の介護改修では、「手すりの設置」が大きなポイントだった。「実際に、祖母に歩いてもらって、家のどこを支えにしているかを確認。そこに印を付けて、手すりの位置を検討しました。本人の特性や動作に合わせた改修がなによりも大切です」と島袋さん。

廊下など水平移動をする場所は横型手すり、段差や方向転換が必要な場所には、縦型の手すりを設置した。「方向転換する場所は、双方向から握りやすいよう手すりを柱の角に設置しました」と話す。

トイレは敷居を撤去し段差を解消した。「正直、段差解消の工事までやるお宅は少ないと思う。金銭的な負担を考えると、優先順位は①福祉用具の使用②住宅改修。段差の解消であれば簡易スロープを設置したり、すのこでかさ上げするという方法もあります」と説明する。


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ケアマネ等に相談し補助金も活用しよう

介護改修は、介護保険による補助金や各市町村の助成金などを利用できる。「ただし、支給にはそれぞれ条件があり、介護保険は事前申請が必須。必ず、改修する前にケアマネジャーなどに相談してください」

介護保険は、要支援・要介護の認定を受けていることが前提。手すりの取り付け、段差の解消、床材変更、扉の取り換え、便器などの取り換えといった改修に対し、20万円を限度額として費用の9割(18万円)を上限に支給される。
 
◆   ◇   ◆   ◇   ◆

島袋さんは、改修後の祖母の生活を見て感じたことがいくつかあった。「段差を解消したのに長年の習慣から、段差があるように動いてしまい、逆にふらつくことがあった」。「寝室からトイレまで距離があるので、ベッドのそばにポータブルトイレを置いたけど、あまり使わなかったみたい」と話す。

「やはり、なるべく新築時から、老後を見据えて造ることがベスト」と話す。島袋さんは、改修の経験などを自邸の建築に生かした。将来、体が不自由になっても自宅で暮らし続けられるよう工夫をちりばめた島袋邸は、2026年1月4日の配信記事で紹介する。

 
島袋みちる/理学療法士として、機能訓練事業所「ジョブトレ」に勤務。脳卒中認定理学療法士、両立支援コーディネーター、脳卒中当事者会おきなわ主催、心のバリアフリーステッカー沖縄代表

[解説]本人の家での動きを確認
介護改修は、本人の特性・動作に合わせることが重要です。祖父母宅の改修では、実際に祖母に動いてもらい、どこを支えにして移動や作業をしているか確認。それを基に手すりなどの設置場所を決めました。

[解説]まずは片付けをして「空間」を確保
安心・安全な住まいづくりは、まず「片付け」から。物を整理することで、動作スペースが広がり、転倒リスクを減らすことができます。特に生活動線である廊下や玄関、使う頻度の高い水回りや寝室などは片付けておくと、車椅子になったり介助が必要になったりしたときも助かります。
 
不要な電化製品のコードや長年、敷きっぱなしのカーペット、マットなどが転倒につながることもある。動線外への差し替えや撤去も検討しよう

[解説]手すりは「行き来」を考えて設置
住まいの角、つまり方向転換する場所の手すりは両方向からつかむことを考えて、柱の出隅(角)に設置しました。1本の設置でも両方向から見え、しっかり握ることができます。



[解説]トイレは段差を解消したが‥


トイレは段差を解消。しかし祖母は長年の習慣で段差があるように動いてしまい、逆にふらつくことがありました。また、寝室にもポータブルトイレを設置しましたが、夜間は暗いのもあり、そばにあるのを見過ごしてトイレまで行ってしまっていたようです。

編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2086号・2025年12月26日紙面から掲載

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