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2025年12月26日更新
マイホームで安心して暮らし続けたい…沖縄県内の補修・改修の事例から考える「できること」
持ち家に安心して長く暮らし続けるためには、どうしたらいいのか。今号では鉄筋コンクリート造の補修事例や高齢者に優しい室内の造り方、安心・安全に暮らすためのサービスを展開する各社の取り組みを紹介する。

質感損なわず 再劣化を抑制
沖縄県那覇市に建つ築49年の住宅兼店舗「てんtoてん」。天井や壁からの雨漏りなどにより、施主の真喜志亮さんは補修工事することを決めた。鉄筋コンクリート(RC)打ち放しの質感を損なわないよう、「表面含浸材」を採用。部位ごとで防水塗装と使い分けながら、劣化抑制と美観維持を両立させて、建物をよみがえらせた。



青丸部のひび割れを補修後、防水・遮熱塗料を塗布した

植物が生え放題だった屋上が奇麗な状態によみがえった 内と外のひび 発生部が一致
屋上も壁面も緑化された「てんtoてん」は目視で劣化状況を確認できなかったが、施工を行った(有)TOP企画の泉川寛彰さんは「築年が経った建物で室内側に亀裂などがあると、外壁の経年劣化による亀裂から雨水が浸透し、鉄筋が膨張している場合が多い。そのまま放置すると劣化が進行していきます」と説明する。植物や土を撤去後、確認したところ、ひび割れの位置は「内側と外側でほぼ一致していました」。
植物撤去を含む工期は約5カ月間。重機搬入が難しかったため、手作業で植物を剥がし、下地補修や表面含浸材・塗料などで再劣化を防ぐよう、補修した。
コンクリート劣化の代表的なひび割れは幅・深さなどにより、呼び方も深刻度も異なる。例えば、幅0.3ミリ未満のひびは「ヘアクラック」、幅0.3ミリ超のひびは「構造クラック」と呼ばれ、後者の方が深刻だ。強度や水密性などの低下につながる。
予防保全で長寿命化
同建物で最も被害が深刻だったのは、屋上面にあった幅1ミリのひびだ。外壁面には0.2ミリ程度のひびのほか、水の浸入などが原因で起こるコンクリートの浮きが見られた。ヘアクラックなど微細なひび割れも放置しておくと、「将来の劣化につながることもあります。建物の寿命を縮めてしまう原因となるため、補修による早め早めの予防保全が大切です」と泉川さん。
RC造の補修で大切なのが、コンクリート内の鉄筋に劣化要因である「水」「酸素」などが触れないようにすること。鉄筋がさびて体積が大きくなることで内側から外側に力が伝わり、建物表面にひび割れが入ったり、コンクリートが剥落したりする。

鉄筋コンクリートの劣化メカニズム。ひび割れから水や酸素などが浸入することで、鉄筋がさびて膨張。内側から破壊する
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築100年以上を目指し
補修にあたり、真喜志さんは鉄筋腐食を抑制しつつ、美観も損なわない方法を模索。目を付けたのが「表面含浸材」=下記詳細=だ。「国の重要文化財保全だけではなく、沖縄県建築士会もRC造の補修法として使用していたため、自宅の工事でも使ってみようと思いました」と振り返る。
てんtoてんの防水処理で使ったのが表面含浸材「プロテクトシル」だ。県内では今帰仁村中央公民館の補修などに使われた。販売元であるシーカジャパン(株)の太田純一朗さんは「含浸材を吹き付けることで、鉄筋抑制成分が浸透し、さびにくい環境をつくります」と説明する=図①。

水を防ぐメカニズムが異なるほか、防水塗料の種類によってはコンクリートの質感を損なってしまう場合がある。
ひび割れなどを補修した後、外から見える外壁に含浸材、熱の影響を受けやすい屋上やバルコニーは防水・遮熱塗料を塗布。部位ごとに使い分けながら、建物の美観と強度、住み心地などを高めた。
真喜志さんは「雨漏りはなくなり、コンクリート打ち放しの質感は維持できて満足。鉄筋の腐食を抑える効果によって再劣化などを防いで、築100年が経っても問題なく使える建物になってほしい」と話した。


コンクリートの浮き。建物東側の外壁に見られ、浮いた部分を撤去し、防さび処理後のモルタルで補修した

表面含浸材を塗布直後(右)と10分後の様子。外壁塗装と比べて内部浸透しやすく、乾くスピードが速い

施工風景。スプレー吹き付けを3回繰り返し、工事完了。施工性にも優れている
編集/市森知
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2086号・2025年12月26日紙面から掲載









