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2025年12月12日更新
リフォーム工事の見積もり、正しいやり方は? 会社社長が教えるポイント3つ|知っておきたい!補修・改修のキホン㉑
今ある家に住み続けるには定期的なメンテナンスが欠かせないが、何から手をつけていいか分からない人も多いのでは? 外装を中心に建物全般の補修改修を手がけるタイズリフォームの赤嶺雄一郎さんにポイントを解説してもらう。今回は建築工事の成否を大きく左右する「見積もり」について。

文・赤嶺雄一郎 (株)タイズリフォーム代表取締役
工事左右する見積もり
リフォーム工事を検討する際、数社から相見積もりを取られる方が多いと思います。正しい相見積もりはコスト削減と品質向上の両方を実現し、後悔しないための有効な手段です。数社の提案を比較することで、金額の内訳・提案力・対応の丁寧さ・アフターサービスなどの違いが明確になり、最適な業者を見つけられるメリットがあります。同一条件でプラン検討
公平な比較検討のため、全ての業者に対して「必ず同じ条件」で依頼しましょう。具体的には、①最初に相見積もりであることを伝える、②依頼内容や仕様を定め、書面で伝える。事前に決まっている場合は、③予算の上限や納期を開示するなどです。また、価格以外の要素(調査報告書や見積書の精度、担当者の力量、保証内容やアフターサービスの有無)も重要な検討項目となります。
注意したいのは、他社の見積書などを特定の業者に開示したり、金額交渉のツールとして使わないということです。また、選ばれなかった業者には見積もり作成への謝意を伝えることも大切です。
有益な情報は共有
前述の②「依頼内容や仕様」は具体的に言えば、材料・製品・サービスなど明確に満たさなければならない要求事項です。見積もり依頼を受けた業者は現地調査を行いますが、見方はさまざま。発注者は依頼した内容だけに限らず、隠れた劣化部位や今後の予防保全を含めた有益な提案を受けられるかもしれません。
この提案を採用する際は、追加の依頼事項として各業者に共有することをお勧めします。このように専門業者からの有益な提案を関係者で共有することで、リフォーム計画の精度が向上します。
見積もり 本来なら有償
工事の成否は「段取り8分」と言われる通り、修繕計画(プラン)と監理業務で8割方決まります=図1。

図1 工事の成否は、資材・工法の選定や優れた設計・プランとその工事監理で8割が決まる。段取りが良ければ、施工管理も円滑に進むことは言うまでもない
建物調査では外壁や屋根の劣化だけではなく、電気・ガス・水道などのライフラインの点検、共同住宅や事務所ビルの場合には消防・避難設備なども調査の対象となります。高額な足場を設置した際、同時に複数の工種を実施することでコスパに優れた工事となります。
報告書・見積書を作成するには、建物の現況や発注者の意向からプランを煮詰め、高度な専門知識や多くの時間と労力を要します。これらの「見積もり作成業務」は役務提供に該当するため、本来有償で提供されるべきものですが、現在の日本の商習慣では多くの企業が競争戦略として「無償」で提供しているのが現状です=表1。

無償の弊害 丼勘定の計画
見積もり依頼者が建物を「どのような状態」で「どのくらいの期間所有したいのか」などに応じて、プランは変化します。本来なら見積もりは当事者である依頼者も積極的に参加する必要がありますが、残念なことに、最初から業者の提案や見積書を利用する目的で、見積もり依頼をされる方がいらっしゃいます。
事業側からすると、苦労して詳細な資料を作成しても対価が得られず、ましてや工事発注につながりません。そのためか、「一式見積もり」に代表される丼勘定な見積書を提出してしまう事業者がいる、というのが現状だと思います。「無償の弊害」とも言える、一式見積もりは内容が浅いプランのため、不適切な工事になりがちです。
利益・恩恵を相互に
一例として、近年、弊社では特に手間を要する分譲マンションや大型アパートの見積もりを有償としています=写真1。

写真1 調査報告書では各部位写真とともに、劣化の原因と対策を詳細に解説。また、各階の現況図面を作成し、部位ごとに正確な積算を行う。見積書は調査結果から決定した仕様書に基づき、工法や使用材料を明記することで、金額の根拠を明確にしている
有償とすることで、より詳細なプランと細かい見積書をご提供できるだけでなく、依頼者側も見積書を多くの場面で有効活用することができるため、思いのほか好評です。

【教えてくれた人】
あかみね・ゆういちろう/(株)タイズリフォーム代表。1級建築士、マンション維持修繕技術者、既存住宅状況調査技術者、宅地建物取引士
(株)タイズリフォーム
電話=098・975・7815
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2084号・2025年12月12日紙面から掲載









