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2024年11月8日更新

27年末で蛍光灯は生産中止に!|知っておきたい!補修・改修のキホン⑧

今ある家に住み続けるには定期的なメンテナンスが欠かせない。が、何から手をつけていいか分からない人も多いのでは? 外装を中心に建物全般の補修改修を手掛けるタイズリフォームの赤嶺雄一郎さんに、ポイントを解説してもらう。今回は、蛍光灯の生産が禁止となる「2027年問題」と、予想される事態、巷で出回っている工事不要LEDを使う際の注意点について。


文・赤嶺雄一郎 ㈱タイズリフォーム代表取締役
 

27年末で蛍光灯は生産中止に!

 
2027年問題とは

「水銀による水俣条約」をご存じでしょうか? 2013年10月に熊本県水俣市などで、人体に有害な水銀による環境汚染を防ぐ目的で、水銀の採掘やこれが使われた製品の製造・流通に段階的な規制を行うことを、関係各国で採択決議したものです。

この水俣条約により、水銀灯については既に製造や輸入が禁止されています。また1980年以降に住宅の洗面脱衣室や廊下で使われていることが多い「電球型およびコンパクト型蛍光灯」も、26年末での禁止が確定しています。さらに昨年には、現在店舗やオフィス、住宅のキッチンなどで一般的に使われている「直管型蛍光灯」も27年末までに禁止されることが決定しました。つまり28年以降は蛍光灯は生産されなくなるというわけです。

 
メリット多いLED

現在使われている代表的な照明は、白熱電球=写真1、蛍光灯=2、LED=3=が挙げられます。白熱電球には水銀は使われておらず安価ですが消費電力が多く、耐用時間は1500時間程度です。蛍光灯の耐用時間は1万2000時間と比較的長いものの、照明器具本体に内蔵されている「安定器」と呼ばれる部品の寿命は4万時間程度。そのため寿命が近づくと蛍光灯がチラついたり交換が頻繁になったり、電気料金が上がったりします。


① 白熱電球。点灯が早く、安価で演色性が高いメリットあるが寿命が短い。消費電力が多い、発熱するなどのデメリットがある。



② 蛍光灯照明器具。ランプ内の放電により発生する紫外線を蛍光物質に当てることで可視光線を発生させる。光は360度の向きで拡散するため、明るさが安定している。



③ LED照明器具。部屋の雰囲気やシーンに合わせて光の色や明るさを自在に調整できるが、光の拡散が一方向であるため場所によっては明るさが異なる場合がある。


LEDとはLight Emitting Diodeの頭文字で、「光る半導体」の略称です。トランジスタやIC(集積回路)などの半導体と同じ仲間であるLED照明は、同じ明るさであれば蛍光灯に比べて最大約70%も消費電力が少なく、寿命は3倍以上の約4万時間。即時点灯が可能で発熱量が少ないほか、紫外線量が少ないため虫が集まりにくい、樹脂製なのでガラス管のように落下破損しても危険性が低い、近年では新型コロナウイルスなどに対する除菌効果を有するなど多くのメリットがあります。

 
値上げ・施工待ちも

既に国内大手メーカーでは蛍光灯の生産ラインを縮小しており、価格は40~90%も値上げされています。また現在主流になっているLED照明器具も、原材料である樹脂や鋼材価格自体が高騰しているため、各メーカーとも15~30%値上げしており、これもさらに値上げされる可能性があります。また、駆け込み需要が大きくなると、相当期間施工を待たされることも想定されます。

 
安定器破損で発火

ネットを中心に、既設の照明器具の蛍光管と取り換えるだけで即LED化できる「工事不要LED」商品が大量に販売されていますが、いくつか注意する点があります。

本来、蛍光灯照明をLED化するためには、電気工事士により安定器を取り外す「バイパス工事」が必要ですが、安定器を残したままLED化した場合でも、安定器に通電しているために余計な電力を使うことになります。また、蛍光灯照明器具には3種類の点灯方式があり、この方式の違いで安定器とランプの構造が変わるため、その方式に合う商品を正確に選ぶ必要があります。

一番問題なのは、この安定器が破損すると発火し、火災事故に至るリスクが高まることです。

いずれにしても、安定器は必ず劣化するため、LED器具を導入する際は専門知識を有する有資格者に器具ごと取り換えを依頼されると良いでしょう。また、足場を設置する外壁塗装工事や内装のリフォーム工事を実施する際には、古くなった照明器具も同時にLED化しておくと安心です。

なお、水銀を使わず、安定器を必要としない白熱電球は規制の対象外で、従来通り使用可能です。




【教えてくれた人】
あかみね・ゆういちろう/㈱タイズリフォーム代表。1級建築士、マンション維持修繕技術者、既存住宅状況調査技術者、宅地建物取引士

◆㈱タイズリフォーム
電話=098·975·7815

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2027号・2024年11月8日紙面から掲載

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