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2024年10月11日更新
足場組んだら配管も取り替え!|知っておきたい!補修・改修のキホン⑦
今ある家に住み続けるには定期的なメンテナンスが欠かせない。が、何から手をつけていいか分からない人も多いのでは? 外装を中心に建物全般の補修改修を手掛けるタイズリフォームの赤嶺雄一郎さんに、ポイントを解説してもらう。7回目は、問題が起こると生活に即、支障が出る設備配管の種類とメリット・デメリット、リフォーム時の注意点について。
文・赤嶺雄一郎 ㈱タイズリフォーム代表取締役
足場組んだら配管も取り替え!
建物には多くの設備系の配管が設けられていて、具体的には給水管・給湯管・ガス管・電気配管・排水管などがあります。人体に例えるならコンクリート構造物の場合、コンクリートが肉、鉄筋が骨、ポンプが心臓、給水管や給湯管が血管、電気配管が神経、排水管が小腸や大腸といった具合。どの配管も、とても重要であることが分かりますね。
給水は塩ビ管が主
給水配管は1965年ごろまでは鉄管に亜鉛メッキを施した「亜鉛メッキ鋼管(白ガス管)」が使われていましたが、塩素に弱くさびやすいため赤水や漏水がよく発生しました。
その後に鉄管の内部に塩化ビニール樹脂が塗布された「硬質塩化ビニールライニング鋼管」が使われ始めましたが、配管継手ネジ切部の鉄下地が露出しており、この部分が水に触れることでさびやすい欠点がありました=写真①参照。
対策として、継手の内部にもビニール樹脂が施された「管端防食継手」が開発され、耐候性が飛躍的に向上するようになりました=写真②。この管端防食継手は非常に優れた継手ですが、高額なため現在でも指定されなければ使われないことがほとんどです。そのため、現在は安価で施工性に優れ、衝撃にも強く、さびない硬質塩化ビニール管が多く使われています。この塩ビ管は異種金属接合(異なる種類の金属が接触することで一部の金属が腐食する現象)による影響が少ないメリットもあります。
① 管端防食継手が使われていない塩ビライニング鋼管。鉄下地が露出した継手部分に大量に錆(さび)コブが発生している
② 左は内面コーティング継手、右は管端防食継手。耐候性は管端防食継手が勝る
給湯は耐熱樹脂管
給湯配管も給水配管と同様に亜鉛メッキ鋼管が使われていましたが、1975年ごろから本格的に「被覆銅管」が使われ出しました。銅管は比較的耐候性が高いと言われていますが、さまざまな理由で配管内部に穴が空き、漏水事故に至るケースがあります。そうしたこともあり近年は、比較的安価でさびない耐熱樹脂管が主流になっています。
ガス管は塩害注意
埋設部分を除くガス管には今日でも亜鉛メッキ鋼管が多く使われています。風雨にさらされない部分であれば給水管のように内部腐食も無いため、比較的長持ちしますが、塩害などにさらされる部位では腐食が著しく進行し、ガス漏れに至ることも多々あるため、注意が必要です=写真③。
③ 築40年の2階建て住宅の外壁に設置されたガス管。足場を組んだ際に軽く接触しただけでガス漏れが発生した
漏水する排水管も
戸建などの小規模住宅では以前より排水管に塩ビ管が多用されていますが、1990年ごろまでの共同住宅では鉄管が使用されていることが多く、配管内部の腐食が進行して漏水事故に至るケースが非常に多くみられます=写真④。現在は、腐食に強い樹脂コーティング管やさびない塩化ビニール管が主流となっています。
④ 築35年の鋼製排水管の内部腐食。長期にわたり、床下漏水が発生していた
壁床張り替え時に
建物の外壁塗装や防水工事を実施する際は、足場が設置されているため効率良く設備配管の取り換えを行うことが可能です。また、内装リフォーム工事で劣化した壁床材を張り替える際は、耐用年数が近づいた埋設配管を取り換えるチャンスです。
ライフラインが機能しなくなると即、生活に支障が生じます。そうならないためにも、日々のセルフチェックに加えてご自宅の設備配管の種類や耐用年数も調べておくことをお勧めいたします。
【教えてくれた人】
あかみね・ゆういちろう/㈱タイズリフォーム代表。1級建築士、マンション維持修繕技術者、既存住宅状況調査技術者、宅地建物取引士
◆㈱タイズリフォーム
電話=098·975·7815
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2023号・2024年10月11日紙面から掲載