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2023年10月6日更新
【7】シーリング補修|ひび割れ注意 雨水浸入阻止[マンション修繕のススメ]
文・あかみね かつじ/一級建築施工管理技士
あまり目立つことはないが、建物のさまざまな部分に使われているシーリング。建設時にどうしてもできてしまう隙間を埋め、雨水などの侵入を防ぐことで建物を守っている。
コーキングも同じ意味
「シーリング」とは、隙間を埋めるために使われるゴム状のパッキンを指します。屋外なら、コンクリートの打ち継ぎ部分にできる目地や、窓・玄関などのサッシ回り、フード・パイプ類の周囲など、室内であれば台所や浴室で使われています。
「コーキング」という言葉もよく耳にしますが、同じ意味として用いられることが多いです。地域や会社、職人の年代によって違うようですが、隙間を埋める役割は同じです。
沖縄は3~5年で劣化も
シーリングの役割は、隙間を密閉し、雨水や湿気が浸入しないようにすること。これにより建物を保護し、コンクリートの劣化や内部の鉄筋の腐食、雨漏りなどを防ぎます。
逆に言えば、シーリングの劣化が進むと、上記のような症状につながってしまいます。
そこで必要なのが定期的な点検や補修。一般的に5~7年でシーリング材の劣化が進むとされていますが、強烈な紫外線や高温多湿、飛来塩分量が多い環境の沖縄の場合、3~5年で劣化してくるとも言われています。
補修の目安となるのは、ひび割れなどの発生です。経年劣化や温度差による伸縮などが原因で、ひび割れが進行すると、シーリング材がはがれたり切れたりしてしまいます。
補修工事の金額は、500~980円/㍍が相場ですが、シーリング材の種類や充てんする幅などにより変わってきます。特にマンションの場合、外壁の補修などであれば足場の設置を要することがほとんどなので、足場の料金もかかります。業者によって、補修方法や足場の金額が異なるので、複数業者に相談することをおすすめします。
いろいろな場所で使われるシーリング
サッシ回りのシーリング。大きくひび割れており、水分の侵入を防ぐ役割はほとんどない。すぐに補修が必要
健全な状態のシーリング
外壁タイルの目地
コンクリートの打ち継ぎ部分
フード回り
非常ベル設備の周囲
シーリング補修の方法と費用
・補修方法は、まず劣化した シーリングを除去=上写真。次に、接着剤を塗り、シーリング材を充填=下写真。ゴムへらで整えて1~2日ほど乾燥させれば完了。
・費用の相場は、500~980円/㍍。ただしシーリング材の 種類や充填箇所の幅によって変わる。足場代は別途必要。
ひとことアドバイス
サッシ回りのシーリング。一番上左の写真と同じ建物で、同じ日に撮影したものだが、上写真より劣化が進行していない
・劣化の進行具合はシーリングが設置され ている日当たりなどによって異なる。右 写真は、一番上左の写真と同じ建物の別の場所で、同じ日に撮影したが劣化具合 が違う。そのため点検時は1カ所だけ見て判断しないようにしましょう。
あかみね・かつじ/TNOコンセプト(株)・本気でペイント事業部営業部長、一級建築施工管理技士
電話=0800・2000・486
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1970号・2023年10月6日紙面から掲載