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2023年12月1日更新

【9】サッシのトラブル|窓回り交換し快適・安心[マンション修繕のススメ]

文・あかみね かつじ/一級建築施工管理技士
建物が築20年ほどを経過すると、身近なお悩みの一つとしてサッシ回りのトラブルが出てきます。そこで、最終回となる今回は、サッシの修繕のタイミングや部品交換費用の目安などについて紹介します。

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経年劣化で開閉に支障

開閉頻度が高く、外部に接しているドアや窓サッシは、部品の経年劣化や変形などにより、開閉に支障をきたしたり、すきま風が入り込む場合があります。風を受けやすいマンション高層階などでは、最近だと耐風性のあるサッシが使われていたりするのですが、築年数が古いものだと一戸建て住宅と同じサッシが使われていることもあり、不具合が起きやすくなっていることもあります。

例えば、サッシのレール。ゴミや髪の毛、砂ぼこりがたまって、窓の開閉が重く感じたりします。しかし、ゴミなどを除去しても直らないこともあります。その場合、窓の下側に付いている戸車が破損していることが考えられます。窓を無理に引いたりするとレールを傷める原因になるので、戸車の交換をお勧めします。

また、窓ガラスのゴムパッキンにはガラスとサッシの隙間を埋めて雨風の侵入を防いだり、開閉時の衝撃でガラスが割れるのを防ぐ、気密性を高めるなどの役割があります。

ですが「ゴムパッキンを爪で押したときに弾力性がなく硬い」「縮んで隙間がある」「表面が割れている」などのときは、役割を十分に果たせていない可能性も。これらの症状は交換を検討する目安とも言えます。


従来のサッシ


近年のサッシ。溝が深く、排水口やゴムパッキンがある


足場いらずのカバー工法

台風の多い沖縄でよくあるトラブルといえば、雨風の吹き込みではないでしょうか。タオルや新聞紙を窓の下に挟み、対策をした経験がある方も多いかと思います。

従来のサッシはレール上の排水口や段差が小さく、ゴムパッキンも無かったのですが、近年は排水を考慮した構造で、雨水が浸入しにくいサッシも増えました。

そんな新しいサッシに取り換える場合、一般的には古いサッシを撤去するために、コンクリートを削る「ハツリ作業」など大掛かりな工事が必要となります。しかし、そのような工事を軽減できる「カバー工法」という方法もあります。

これは、既存のサッシ枠の上から新しいサッシをかぶせる工法のこと。ハツリ作業が不要で工期も短縮できるほか、室内から施工でき足場が不要になるためマンションにもオススメ。ただし、窓がやや狭くなってしまいます。

サッシのトラブルは生活に支障をきたすことが多くあります。気が付いたら放置せず早期に解決することが重要です。=おわり



 サッシ回りの修繕にかかる費用の目安 

戸車
窓をスムーズに開閉するためのキャスター(右写真・丸部分)。経年劣化のほか、あまり開閉しない窓の戸車がさびて滑りが悪くなったりする。

【交換費用の目安】
・1カ所あたり5000~1万円




隙間ができてしまっているゴムパッキン

ゴムパッキン
ガラスとサッシの隙間を埋めたり、雨風の侵入を防いだりする。紫外線や、カビ・汚れなどによって劣化する。

【窓サイズごとの交換費用の目安】
・高さ30cm×幅50cm 4000~8000円
・高さ80cm×幅120cm 8000~1万2000円




Before


After

サッシ丸ごと(カバー工法)
「カバー工法」は既存のサッシの上からかぶせる形で新しいサッシを取り付ける工法。既存のサッシを撤去するためのハツリ工事が不要なので、騒音がほとんどなく、建物自体も傷つけずに済む。室内から施工可能なので、高所の窓でも足場は不要。工期短縮やコスト軽減につながる。

ただし「既存のサッシにかぶせて設置するため、窓の広さがやや狭くなる」「雨戸が設置されている場合は、施工できない場合がある」などのデメリットもある。

【費用の目安】
・小窓:高さ90cm×幅70cm 約10万円前後
・腰高窓:高さ110cm×幅170cm 約20万円前後
・掃き出し窓:高さ190cm×幅170cm 約30万円前後
※窓ガラスやサッシの種類・機能などにより費用は変わる




 ひとことアドバイス 

サッシのトラブルは「台風が来なくても水洗いで汚れを落とす」「引き違い窓は片側ばかり使わない」など、日頃の心がけで予防できることもある。

特に、最も外側にある網戸は外からの影響を受けやすいため、外せるなら時々は外して、潤滑剤を戸車にさすようにしよう。





あかみね・かつじ/TNOコンセプト(株)・本気でペイント事業部営業部長、一級建築施工管理技士
電話=0800・2000・486

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1978号・2023年12月1日紙面から掲載

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