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2023年4月28日更新

梅雨前に知っておきたい防水工事の基本(下) 信頼できる会社は見積書も明確!|そろそろ補修・改修②

梅雨前に知っておきたい「防水工事の基本」第2弾。今回は、見積書の見方や信頼できる会社の見極め方について、㈱タイズリフォームの赤嶺雄一郎代表取締役に教えてもらった。


 

Q1 見積書のチェックポイントは

A・金額だけでなく、工事範囲、工法や使う材料、数量、単価がしっかり書かれているかを見る!

見積書は、発注者が取引の内容や費用を確認するための書類。契約をするかどうかの判断材料になる。そのため、防水工事における見積書ならば、「工事の内容、使う材料、数量などがきちんと記載されていなければいけません」と赤嶺さん。ごく少量の工事や雑工事などは「一式」と表記する場合もあるが、下記のように「『屋上防水工事一式』だけの見積書はトラブルの元。他社との比較もできないので無意味です」と説明する。
 




 

Q2 信頼できる会社の見極め方は?

A・会社は建設業許可を保有しているか、現場スタッフが国家資格を持っているかなどをチェック

通常、防水工事事業を営むには国や県から建設業許可を得る必要がある。「しかし、軽微な工事(一件の請負金額が税込み500万円未満)であれば、許可を得る義務はありません。許可を取得するには、専任の技術者を有していること、請負契約について誠実性を有していることなど、一定の要件をクリアする必要があるため、建設業許可=右が許可票=を有しているかどうかは、信頼できる会社を選ぶ基準になります」と赤嶺さんは話す。

また、現場スタッフが建築士や施工管理技士、防水施工技能士などの国家資格を持っているかどうかも技術力を測る目安になる。



ここもポイント!
設備の知識もあると◎

築古の場合、建物だけでなく設備が劣化しているケースも多々あります。例えばコンクリートを貫通している給水管やバルコニーの避難ハッチなどです。これらの取り換えにはコンクリートに穴を開ける「ハツリ」作業が必要なため、改修後に防水をするのが理想的です。

建物の修繕・改修について、総合的な視点から診断・提案できる業者を選ぶとコストの無駄もなくなりますよ!


 

Q3 ウレタン防水工事の流れは?

建物調査・診断
建物の調査をして診断書・見積書を製作する。赤嶺さんは「当社では2~3階建ての戸建てで約2~3時間、アパートなどの大型案件では数日要する場合もあります。調査の際は必ず設計図面や過去の修繕資料を確認(借用)します。建物の構造や納まり、現在の仕上げなどを把握することが非常に重要だからです」と話す。

契約

近隣へのあいさつ

足場組み立て工事

下地補修・高圧水洗浄

下地とは建物の素地のこと。「既存の劣化した塗膜を剥がしたり、ひび割れや爆裂などを補修します。劣化が発生している部位や状況により補修の方法が異なるため、その見極めが重要です。この下地補修をしっかり行わないと、性能の良い塗料を使用しても早期に劣化が進んでしまいます」。
下地補修後、建物の汚れを業務用の高圧洗浄機で洗い落とす。洗浄を行わず塗装をすると、健全な塗膜が形成されず早期の剥がれなどのさまざまな不具合が生じるそうだ。

シーリング工事

ひび割れやコンクリートのコーナー部には必ず「シーリング(隙間を埋める作業)」で先行防水をする。これを行わないと、早い段階で防水層に切れや剥がれが発生する恐れがある。

防水工事(外壁工事)

防水工事の際、外壁塗装工事も一緒にやることが多いが、その場合は外壁塗装をしてから防水工事を行う。「防水工事で見過ごされがちなのが、高架水槽、大小の庇(ひさし)、出窓の上の防水。足場設置時に同時にメンテしておくと、漏水や爆裂リスクを大幅に低減できます」と赤嶺社長。防水の施工は、下塗り材(プライマー)を塗った後、防水主材(中塗り材)を2回塗布し、紫外線等から主材を保護する目的で防水保護材を2回塗布する。

完了検査~アフターメンテナンス






【教えてくれた人】
あかみね・ゆういちろう/(株)タイズリフォーム代表取締役。一級建築士、一級建築施工管理技士、既存住宅状況調査技術者などの資格を持つ。タイズリフォーム/電話=098・975・7815

取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1947号・2023年4月28日紙面から掲載

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スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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