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2023年4月21日更新

梅雨前に知っておきたい防水工事の基本(上) 費用対効果を考え材と工法選ぶ|そろそろ補修・改修①

住まいも人間と同じで年月を重ねるとあちこち不具合が出て、放置すると取り返しの付かないことになる。当コーナーでは、家の補修やプチリフォーム、メンテナンスに関する情報を紹介。今回は梅雨前にやっておきたい「防水工事」について。材料・工法の種類や特徴について㈱タイズリフォームの赤嶺雄一郎代表に教えてもらった。


 

下地整えてから塗布

防水工事は建物を保護するのにとても重要だ。特に鉄筋コンクリートの場合、建物表面が劣化することで内部の鉄筋をサビさせ、崩落事故につながることも。

その重要性は一般的に広く浸透しているが、防水工事をためらう理由の一つが「相見積もりを取ってみたら、業者ごとに費用の違いが大きくて、どこにお願いすればよいのか分からない」ということ。

県内で防水工事を手掛ける㈱タイズリフォームの赤嶺雄一郎代表は「防水工事の工法・工程(塗る回数など)や保護(仕上げ)材のグレードを知れば、金額の妥当性も分かってくると思います」と話す。

防水工事の流れは、足場を組んだのち、高圧水洗浄機などで施工部分の洗浄を行う。「汚れが付着した状態では、防水層が密着しづらい。まずはきれいに掃除をします」と話す。

そしてひびや割れなどを補修(下地処理)してから、接着剤(プライマー)を塗る。その上から防水主材、保護材と塗り重ねていく。「防水工事はお化粧と同じ。丁寧に下地(肌)を整えてから、施工することが大事です」と力を込める。

次に材料について。一般的には耐久性が高いほど高価になる=下グラフ。「だからといって、安い塗料を使うのが悪いわけではありません。建物をいつまで、どんな状態で維持したいか考えて選びましょう」とアドバイスする。
 

防水保護材の種類とグレード防水主材として一般的に使われているウレタンゴム(防水層)。その防水層を保護する仕上げ材はグレードが高いほど耐久性が高く、長持ちする。安価なウレタン系を使用すると、部位によっては5年前後で塗り替えが必要になることもあります。維持費も考えて選ばなければ、損をしてしまうことになります。プロに相談しながら選びましょう。




防水工事は、「お化粧と同じく、下地を整えてから行うことが大事」と赤嶺さん。まずは建物を洗浄して汚れやごみを取り除いた上で、ひびや割れなど傷んだところを補修(下地処理)する。さらに防水主材を密着させるために「プライマー」と呼ばれる接着剤を塗布する。その上から防水主材を最低でも2回、保護材を最低でも2回塗布する。保護材は使用した材の耐久年数に合わせて定期的に塗り替えをする

 

他の改修もまとめて

屋上やベランダの防水工事で最もポピュラーなのが、防水主材にウレタンゴムを使ったウレタン塗膜防水だ。

ひとくちにウレタン塗膜防水と言ってもさまざまな工法がある=下記参照。特別な資材や工程を要する工法ほど値段も高くなる。

「ヒビ割れが多い築古の建物や、漏水の発生している建物は『通気緩衝工法』を提案しています。また、アパートの階段や廊下などは『超高速硬化吹付工法』にして、通行できない時間を短くするなど、場所に合わせた工法を提案しています」と赤嶺さん。

防水保護材も、場所に合わせて使い分けることを勧める。「先にも説明しましたが、保護材にはグレードがあります。屋根や庇など、過酷な条件にさらされる部分は耐久性の高いシリコンやフッ素系の材を、外階段や廊下、バルコニーなど長時間直射日光にさらされず、踏まれる部分は安価なウレタン系にするなど、使い分けることで限られた費用を有効に使うことができる」。

もう一つ、コスパよく防水工事を行うポイントとして、「せっかく高額な足場を組むのだから、ほかの部分の補修・改修もまとめて行いましょう」と赤嶺さん。

足場を組むにも、2階建て住宅で数十万円掛かる。「外壁改修や塗装だけでなく、いつかやろうと考えていた水道管の改修や照明器具の取り換えなど、足場が必要な工事を一緒にやれば、費用と時間の節約になります」とアドバイスした。
 
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次回(4月28日発行)は、見積もり書のチェックの仕方や業者選びのポイントを説明します。



ウレタン防水の代表的な工法(防水主材にウレタンゴムを用いた工法)

◆密着工法
一番ノーマルなウレタン防水の工法。コンクリート面にプライマー(接着剤)を塗り、ウレタンの防水主材を塗る。通常は防水主材と保護材はそれぞれ2回塗る。ウレタンの厚みを一定にして塗るのに技術が必要。


◆密着補強布入り工法(メッシュ工法)
防水主材の間に補強布(ガラスクロス)を入れる工法。補強効果だけでなく、適正な膜厚を確保できる。また布が液ダレを防止してくれるため立上や勾配屋根にも適した工法。


◆通気緩衝(絶縁)工法
プライマー(接着剤)と防水主材の間に通気緩衝シートを入れた工法。コンクリートに防水主材が直接触れないため「絶縁工法」とも呼ばれる。脱気筒も設置することでコンクリートに含まれた湿気や水分を拡散でき、防水主材や保護材の膨れを抑制できる。耐久性は非常に高いが最も高価。下地が含水し、ひび割れや漏水が発生している建物などに適する。


◆超高速硬化吹付工法
◆超高速硬化吹付工法
ウレタンの防水主材と硬化材を機械で混ぜながら吹き付けていくことで、数分で歩行が可能な工法。耐久性も非常に高いが、吹き付けて施工するため飛散防止の対策が必須。工期短縮が求められる共同住宅などに適する。



場所に合わせて材料・工法を選ぶ
防水主材は、平らな「平場」と垂直な「立上」で使い分けることが重要です。立上に平場用の主材を使うと適正な膜厚が付かず、早期に劣化します。立上用の主材を使ったり、メッシュ工法=上参照=を採用するのも効果的です。

また、厚みの付きにくい入隅(コーナー)や継ぎ目は、目地を埋める「シーリング」という作業=写真=をしてから防水施工をすることで長持ちします。こうした工法・作業を知っておくと、業者への指示もしやすくなりますよ。




【教えてくれた人】
あかみね・ゆういちろう/(株)タイズリフォーム代表取締役。一級建築士、一級建築施工管理技士、既存住宅状況調査技術者などの資格を持つ。タイズリフォーム/電話=098・975・7815

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1946号・2023年4月21日紙面から掲載

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この記事のキュレーター

スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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