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2023年4月14日更新

【沖縄】一戸建てなら水回り移動OK|今ある家をバージョンアップ[30]

文・岩脇達磨(リノベーション協議会沖縄支部会員、(株)リノベース)

case30
「お風呂の位置を変える」

リノベーションの際、多くの人が「できない」と思い込みがちな水回りの移動。今回はお風呂を中心に、水回りを移動するメリットやデメリット、気を付けるべきポイントなどを紹介する。
 

◆相談&課題
家事動線を良くしたいけど、水回りの場所って動かせるの?


動線短くなり家事ラクに

決まった箱の中で理想の暮らしを実現するリノベーションでは、既存の間取りにとらわれない発想が必要になります。その中で水回りの移動を検討するケースも出てきますが、特に「移動した方がいいか、しない方がいいか」と悩むお客さまが多いのがお風呂です。

近年、家族が集まりやすい広いリビングとともに、家事動線も重要視するお客さまが増えてきています。洗濯機を脱衣所に置く場合、お風呂(脱衣所)→干し場→収納スペース(ウオークインクローゼット等)が近くにある間取りは、洗濯から片付けまでの動線を短くできるので、暮らしの満足度を上げる第一歩になります。

そのためにもお風呂の場所を移動させるかどうかがカギになってきます。

 Before 

洗面脱衣室が行き止まりになっているため、クローゼットや各部屋に行くときは、一度キッチンに戻る必要があった
 After 
浴室を中央に移動し、回遊性のある間取りにした。キッチン→ランドリールーム→ウオークインクローゼットまで短い動線で移動できる。通路は洗面室も兼ねている=写真


マンションでは要注意

「そもそもお風呂は移動できるのか?」

結論からいうと一戸建て住宅の場合は移動可能です!

「一戸建て住宅の場合は」としている理由は、分譲マンションでは住民が守るべきルールが記載されている「管理規約」に水回りの大きな移動を禁止しているマンションもあるからです。さらに、直接的には禁止していない場合でも、水回りの移動の際に発生する可能性のあるコンクリートへの穴あけ工事を禁止しているマンションが多いので、必ず管理会社や管理組合に確認をしながら検討することをおすすめします!


間取り自由だが費用大

一戸建て住宅で水回りを移動した際に発生しうるメリットとデメリットはなんでしょうか? 1番大きいメリットは「プランニングの制限がなくなる」ことです。これにより既存のお風呂(脱衣所)にとらわれることなく、間取りを考えることができるようになります=上事例。ますます理想のおうちづくりが実現しやすくなりますね。

ただ、やはりデメリットもあります。まずは既存の位置でお風呂を取り換えるよりも「費用がかさむ」ことです。場所を変えることで給排水管やガス管、電気配線の移設・延長など追加の工事が発生します。その他にも左官工事や防水工事も必要になります。

また水は高いところから低いところに流れるため、床下の排水管は必ず勾配(傾き)を作る必要があり、この勾配には基準もあります。その基準を守るために床下にある程度の空間を作る必要があり、床の高さが上がることで居住空間の高さ(床~天井)に制限が出たり、家全体がフラットな床にできない可能性もあります。

理想の間取りを実現するために必ず発生する機能的・金銭的なメリットとデメリット。これらの優先順位をつけ、整理することで、すてきなリノベライフを手に入れましょう。



執筆者
いわわき・たつま
2018年に沖縄に移住し、沖縄の古き良きものを残すためにリノベーション事業に従事。(株)リノベースに所属。電話=098・917・4205


リノベーション協議会とは 消費者が安心して既存住宅を選べる市場をつくり、既存住宅の流通を活性化させることを目的に、2009年7月に発足したリノベーション業界団体。全国800社強の企業などが参画し、優良なリノベーションの統一規格「適合リノベーション住宅(R住宅)」を定め、普及推進している。その年のリノベNo.1を表彰する「リノベーション・オブ・ザ・イヤー」も年々注目が集まっている。https://www.renovation.or.jp

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1945号・2023年4月14日紙面から掲載

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