【沖縄】抵当権が抹消されていない?|今ある家をバージョンアップ[29]|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

リノベーション

リノベ

2023年3月10日更新

【沖縄】抵当権が抹消されていない?|今ある家をバージョンアップ[29]

文・嘉手苅麗子(リノベーション協議会沖縄支部 会員)

case29
「リノベで発覚した前所有者の抵当権」

住宅ローンを利用すると対象の不動産に抵当権が設定され、登記簿謄本にもその旨が記載されます。ローンを完済すると抵当権は抹消できますが、手続きが必要。そのため、まれに前所有者の抵当権が設定されたまま、などということもあります。

◆相談&課題
前所有者の抵当権が残ったままになっている。どうしたらいい?

◆リノベのプロが提案!
金融機関で完済を確認し、書類をそろえて法務局で抹消登記申請をする

自動的には抹消されない

抵当権とは、何らかの事情で返済ができなくなった場合に備えて不動産を担保にする権利のことです。ほとんどの金融機関の住宅ローンの条件の一つとして、第一順位の抵当権設定が求められます。債務不履行の場合には、順位番号の順に優先的にお金を返してもらうことができるからです。

ローンを完済すれば抵当権を抹消できますが、自動的に抹消されるのではなく、自身で法務局に抹消登記の手続きをしなければなりません。しかし、手続き自体には期限がないため、面倒だと放置したり、時間がたって忘れたりと、抹消登記がされていないことも珍しくはありません。


売買できないはずなのに…

実家のリノベーションをしたいというご相談の事例では、その実家(比嘉太郎さん宅)の登記簿を確認した際に、約40年前に売買契約した当時の前所有者(売り主:大城次郎さん)の抵当権がいまだに抹消されていないことが分かりました=下イメージ画像参照。

基本的には、抵当権が残ったままでは第三者への売買はできません。しかし、当時、買い主の比嘉さんはその家を購入し所有権を移転。ローンも利用していたのですが(現在は完済)、その時の抵当権が設定された記録もありませんでした。

前所有者の大城さんとも連絡の取りようがないため、大城さんにお金を貸した抵当権者の金融機関に連絡し、状況を相談しました。担当者もあまり例がないと驚いた様子でしたが、大城さんの債務完済を確認した上で、「比嘉さんの購入時の住所が確認できる書類」「謄本内容をリノベ施工業者と一緒に確認した旨の書類」などを提出し、約2週間後に抹消登記に必要な前所有者の弁済証書を再発行することができました。その後、書類をそろえて抹消登記申請し、無事登記を完了させました。



登記簿の一部のイメージ。上の甲区には所有権に関する情報、下の乙区には所有権以外の権利に関する情報が記載される。左の例では、大城さんの抵当権が残ったまま、所有権が比嘉さんに移転していることが分かる=赤線部分。また、比嘉さんが購入時にローンを利用した際の、抵当権の設定登記の記録もない


ローン完済後はすぐ抹消手続きを

先にお伝えしたとおり、完済した借入金の抵当権などが抹消されずにそのままというケースはとても多いです。普段の生活に支障はありませんが、先延ばしにすると「相続発生時に名義人の変更が必要」「金融機関の合併や代表者の変更で準備しなければいけない書類が増える」など、時間の経過とともにさまざまな弊害が出てくると考えられます。

抵当権抹消手続きは自分で行うか、司法書士に依頼することになります。金融機関のローン完済後は速やかに抵当権抹消登記の手続きをするようおすすめします。



執筆者
かでかる・れいこ
かでかる・れいこ (株)アーキラボ ラフィット取締役。お客さまの一番身近な存在になることを目指し、一緒に楽しみながらおうちづくりをサポート。お金に関する資格も複数取得。マイホームの資金計画もおまかせください。


◆(株)アーキラボ ラフィットの強み
昨年11月にリノベーション事業部『RENOBEES』を立ち上げました。既成概念にとらわれず、住む人にとことん向き合い「デザイン」「住み心地」「価格」のバランスを大切にした空間を一緒に作り上げています。沖縄市明道1-3-2(2階)  電話098-988-5128
https://al-lafit.co.jp/


リノベーション協議会とは 消費者が安心して既存住宅を選べる市場をつくり、既存住宅の流通を活性化させることを目的に、2009年7月に発足したリノベーション業界団体。全国800社強の企業などが参画し、優良なリノベーションの統一規格「適合リノベーション住宅(R住宅)」を定め、普及推進している。その年のリノベNo.1を表彰する「リノベーション・オブ・ザ・イヤー」も年々注目が集まっている。https://www.renovation.or.jp

■2月までの記事はこちらから
 
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1940号・2023年3月10日紙面から掲載

この連載の記事

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

これまでに書いた記事:2138

沖縄の住宅、建築、住まいのことを発信します。

TOPへ戻る