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2022年11月11日更新

部屋使いながらリノベできる?[今ある家をバージョンアップ(27)]

文・徳里政俊(リノベーション協議会沖縄支部 支部長)
リノベーションをする際、意外とかかるのが仮住まいの費用。「住みながら」は難しくても、住居以外の使い方であれば、部屋を使いながら工事できることもある。

case27
「アパートの2室」→「ピアノ教室を備えた職住一体型住宅」

◆相談&課題
ピアノ教室のレッスンを止めずに工事を進めたい。

◆リノベのプロが提案!
工事範囲を分けて施工。住居なら仮住まいするのがおすすめ。


ほとんどが仮住まい

物価上昇による建築資材の高騰もあり、新築ではなくリノベーションを求める方が増えてきました。そんな中、工事中の仮住まいの費用を抑えるべく「住みながらの工事は可能ですか」と質問を受けることがあります。

工事内容にもよりますが一戸建てリノベの場合、工期が4カ月ほど掛かる場合が多く、その間、アパートや実家などで暮らす方がほとんど。一方、仕事場や趣味室として使う場合は、工事と並行できることもあります。


賃貸アパートの2室をつなげる

今回は、1階に親世帯、2階に賃貸部分が3室ある建物を活用した事例。ピアノ教室がある職住一体型の住宅にリノベしました。

当初、施主さまは2階中央の部屋の寝室でピアノ教室を開いていたのですが、隣の部屋(外部階段を上った最初の部屋)の退去が決まったことで、2室を一つにつなぐリノベをすることになりました=Beforeの図参考。

ご要望は「ピアノ教室のコンテストが近いこともあり、レッスンを止めずに工事をしたい」というもの。レッスンには幼児からシニアまで幅広い年齢層の生徒が通っており、主に放課後から夜まで行われていました。

Before(赤斜線部は1期工事の範囲)

 

After

工事完了後の様子。写真右側はキッチン、左側はピアノ教室として使工事完了後の様子。写真右側はキッチン、左側はピアノ教室として使う


教室の配置と工事手順を工夫

そこで、新しいピアノ教室を外部階段の近くへ配置することで生徒の動線を短くしつつ、工事を1期と2期に分けることに。

まず、寝室のピアノを和室に移動し、仮設間仕切りを設置。和室でレッスンを続けながら、1期工事で新しい教室を先に完成させました。部分的に引き渡した後、ピアノを移動させ、2期工事で住宅部分を施工。最後までレッスンを止めずに工事を進められました。


「住みながら」はおすすめしない

「工事と並行して空間を利用したい」という相談に対し、住居として使用するのであれば、工事期間中はできるだけ仮住まいをおすすめします。なぜなら、生活していく中で、工事中の騒音やほこり、業者の出入りは、想像以上にストレスを感じやすいからです。そのほかにも、電気や水道、特にお風呂などの生活に欠かせない部分の配管工事などがある場合はより暮らしにくくなります。

また、家財などの防犯の観点からも、業者としては責任を負えない部分もあります。お互い、トラブルを避けるためにも、できること・できないことはしっかり確認しておきましょう。




執筆者
とくざと・まさとし
1978年嘉手納町出身。西日本工業大学建築学科卒業。2016年にLa.fitを立ち上げ、20年に(株)アーキラボ ラフィットとして法人化。建築士、宅地建物取引士など多数の資格を有する。(一社)リノベーション協議会沖縄支部長を務める。


◆(株)アーキラボ ラフィットの強み
考え方や好みは、十人十色。既成概念にとらわれず、住む人、使う人にとことん向き合い、「デザイン」「住み心地」「価格」のバランスを大切に一緒に作り上げます。
沖縄市明道1-3-2(2階)
電話098-988-5128
https://al-lafit.co.jp/




リノベーション協議会とは 消費者が安心して既存住宅を選べる市場をつくり、既存住宅の流通を活性化させることを目的に、2009年7月に発足したリノベーション業界団体。全国1000社弱の企業等が参画し、優良なリノベーションの統一規格「適合リノベーション住宅(R住宅)」を定め、普及推進している。その年のリノベNo.1を表彰する「リノベーション・オブ・ザ・イヤー」も年々注目が集まっている。https://www.renovation.or.jp

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1923号・2022年11月11日紙面から掲載

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