リノベ
2023年1月13日更新
住まいの買い替えの流れとポイント[今ある家をバージョンアップ(28)]
文・森岡瑞穂(リノベーション協議会沖縄支部 会員)
暮らし方や家族構成が変わり、今の家を売って別の中古物件を購入したい。でも何から手をつけたらいいか分からないという人も多い。そこで今回は家の買い替えの流れやポイントをお伝えします。
case28「住まいの買い替えの流れとポイント」
◆相談&課題「家の売却」と「中古物件を購入してリノベ」をするなら何から始めるべき?
◆リノベのプロが提案!
売却が先か、購入が先かを明確に。今の家のリノベも一度考えてみよう。
売却と購入の同時進行は困難
まずは今の家の査定。インターネットなどの簡易査定ではなく、売却を依頼したい会社に室内まで確認してもらい、なるべく正確な金額を出してもらいましょう。そして、購入する新居の条件や金額も決めておきます。
ここまで準備できたら、売却と購入の全体スケジュールを決めます。住まいの買い替えには大きく分けて①新居の購入を決めてから今の家の売却を進める方法(後売り)と②売却の予定が決まってから新居の購入を進める方法(先売り)があります。自分に合っている方法で進めていきましょう。
家の売却と新居購入を同時に進めたくなりますが、いつ家が売れるか、いつ良い物件が出てくるかも未確定な状況では、同時進行は至難の業。どちらかのスケジュールを整えてからもう一方を進めるのが現実的です。
後売りと先売り
今の家の住宅ローンを完済もしくは残債が少ない場合など、「残債」と「新居で組む予定の借入額」の合計が、年収から算出した借入可能額に収まる場合は後売りがおすすめ。引っ越しが1回で済んだり、空き家の状態で売却できる半面、住宅ローンの二重払いの期間があるなどのデメリットもあります。
一方、先売りは、今の家の売却資金を新居の購入に充てられるなどのメリットがあります。しかし住みながら売却するため、内見対応が大変と感じる人もいるかもしれません。
また、新居の購入が決まり、今の家をとにかく早く手放したい時などは、不動産業者による買い取りを利用する方法もあります。ある程度希望に合わせて買い取ってくれる場合が多いですが、不動産業者はリフォーム後に再度販売する予定で購入するので、一般顧客に売却するより買い取り金額はぐっと低くなる傾向があります。
今の家のリノベも選択肢の一つ
今の家をリノベするのも一つの手です。エリアの大幅な変更やマンションから一戸建てに引っ越したいなど、住まいの条件を大きく変えたい場合は買い替えが必須。ですが、今の家の近くで新居を探したい場合などは、買い替えせずに、間取り変更などのリノベで不満や悩みを解決できるかもしれません。
また、今の家の住宅ローンにリノベ代金分の追加借り入れができることもあります。借り増しした方が、金利が下がり、月々の支払いをそれほど増やさずにリノベできることもあります。まずは、買い替えと今の家のリノベ、それぞれの流れなど、不動産とリノベーション双方の知識を持つ会社に相談してみてください。
執筆者
もりおか・みずほ
大阪の堺で育った関西人。立命館大学卒業後、Arts&Craftsへ入社。住宅系資格を有するが資格には頼らない仕事ぶりで、毎日奮闘中。沖縄で嫁入りし、地元精通ももう間近! リノベーションした自宅に住む。
◆Arts&Craftsの強み
1994年設立、日本におけるリノベーションの黎明(れいめい)期から活動。個人住宅のリノベから空室が目立つビルやアパートの再生コンサルティングまで手掛ける。沖縄事務所は老朽化したホテルを再生し運営もするSPICEMOTEL内。北中城村喜舎場1066 電話098-975-8090
https://www.a-crafts.co.jp
■リノベーション協議会とは 消費者が安心して既存住宅を選べる市場をつくり、既存住宅の流通を活性化させることを目的に、2009年7月に発足したリノベーション業界団体。全国1000社弱の企業等が参画し、優良なリノベーションの統一規格「適合リノベーション住宅(R住宅)」を定め、普及推進している。その年のリノベNo.1を表彰する「リノベーション・オブ・ザ・イヤー」も年々注目が集まっている。https://www.renovation.or.jp
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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1932号・2023年1月13日紙面から掲載