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2016年8月26日更新

「いいかげん」が味わい 中古マンションの壁・床・扉をDIY

塗りムラのある壁や家具、板の欠けた棚。家主の石川美玲さんのお手製だ。築20年以上たつ中古マンションを購入。壁を塗り替え、床を張り、ドアなどの建具はペンキを塗り直して古さを「味」に変えた。「こつは、手本通りにしようとせず、いいかげんに」とおおらかに語る。

石川美玲さん宅

「玄関は家の顔」と言われるが、石川さん宅の玄関も住まいの雰囲気が凝縮されている=下写真。
まず目に飛び込んでくるのはアンティーク調の靴箱。もともとマンションに付いていたものに、クリーム色のペンキを塗ってリメークした。その上に鎮座するさびたミシンは、叔母の家の庭で野ざらしになっていたもの。頭上にある、箱のまま収納された靴さえ温かな雰囲気の一端を担っている。
築23年ほどの中古マンションを約7年前に購入。壁は白いクロス、床はつやのあるフローリングだったが、「マットで(つやの無い)、使い込まれた感じにしたい」と荷物を入れる前、2週間ほどかけて手を入れた。
壁はクロスの上からクリーム色の塗り壁材を塗布。床はもともとのフローリングの上からつやのないビニール樹脂のフローリング材を張った。
「材料費は30万円かからなかったと思う。素人仕事だけど、それが味わいになっている」と笑う。

「ヘタ」を生かす
使い込まれた風合いは、傷や何度も塗り直されたようなムラから生まれる。石川さん宅の扉や壁も、傷やムラが味わいを醸す。
「ムラを出す塗り方のこつ? 一定方向に塗ることかな。あとはざっくり塗っちゃう」と笑う。
さらにもう一つ、裏技がある。「ペンキの2色使い」だ。扉や建具はクリーム色と黄みがかった白色を重ね塗りし、ムラを際立たせている=下ページ「おおらかテク」参照。
石川さん宅にある家具は、もらってきたものや拾ってきたものに少し手を加えたものばかり。一から自分で作るときは、あえて古材を使用することも多いと言う。「古材や中古品は板が欠けていたり、ガラスにひびが入っていたりする。それが新品にはない味。安く買えるし、わざわざ古く見せる加工をしなくても良いのだからお得でしょう?」
もともとの姿を生かしつつ、自分好みに手を入れて楽しむ石川さん。おおらかさが、温かな空間の源になっていた。


石川さん宅の玄関。靴箱は、もともと付いていものをペンキを塗ってリメークした。家具や建具にインパクトがある分、インテリアは多くないが、人を迎える玄関だけは例外。アンティークなミシンやドライフラワーを飾っている。


ドライフラワーを生けているのは使い終えたペンキの缶。


「つやの無いマットな感じが好み」の石川さん。もともとの床はつやがあるフローリングだったため、その上からマットな塩ビ製のフローリング材を張った


石川流「おおらか」テクニック

【2色使いで「ムラ」際立たせ】


家具やドアなどにペンキを塗る際は、木目に沿って一定方向に塗るとムラがキレイに出るそうだ。さらに、裏技として石川さんはペンキを2色使いしている。靴箱はクリーム色と黄みがかった白色=上写真。中学生の娘たちの部屋の扉はクリーム色と水色=下写真。こうすることでムラが際立ち、使い込まれた感じが出る。

【照明はシンプルに】

石川さん宅の照明は、暖色の裸電球が多い。「もともと付いていた照明機器を外してシンプルなものに変えた」。温かなオレンジ色の光がアンティーク調の家具や建具にマッチしている。

【ひびもあえて目立たせ楽しむ】

ガラス部分にひびが入っているとの理由で安く譲ってもらった棚。石川さんは本棚として活用。ひび部分は透明なビニールテープで補強。さらに「あえて割れ目を目立たせるためにマスキングテープをぺたぺた張った」と話す。古いものならではの「味」をなるべく生かすようにしているそうだ。

【古材で簡単にアンティーク調】​

欠けた古材を使って作った棚。「加工せずとも、古材なら味が出せる。強度がさほど必要ないアイテムに使うならお勧めです」


◆インフォメーション/石川美玲さんが内装を手掛けたカフェ「milk dai(みるくだい)」が平成28年8月25日、沖縄県宜野湾市真志喜2-15-1 1階にオープンした。調理師免許も持つ石川さんが、卵や牛乳を使わない料理を提供する。
 
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1599号・2016年8月26日<愛しのわが家・まち>紙面から掲載

 

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この記事のキュレーター

スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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