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2022年1月21日更新

【沖縄】階段って架け替えられるの?|今ある家をバージョンアップ[21]

文・森岡瑞穂(リノベーション協議会沖縄支部 会員)

case21
「階段で区切られ狭く感じる空間」→「つながりを感じる空間」

一戸建てのリノベーションを考えている方からいただく「空間を広くするために階段を架け替えたい」というご要望。木造2階建て以外だと架け替えのハードルは高いですが、工夫次第で空間を広く感じさせることができます。

◆相談&課題
建物の真ん中にある階段によって、空間が分断されている

◆リノベのプロが提案!
木造以外での架け替えはハードル高めなので、壁の撤去などで一体感を演出


階段は主要構造部

「階段が建物の真ん中にあるせいで、空間が分断されて狭く感じる」といったことから、リノベーションを機に階段を架け替えたいという声をよく聞きます。

工事をする建物が木造2階建てであれば、階段の架け替えはそれほど難しくはありません。しかし、木造2階建てではなく、木造3階建て、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等の場合、ハードルは一気に高くなります。

そこには建築基準法で定められた、「建築確認申請」という手続きが立ちはだかるためです。実は階段は、梁(はり)や柱などと同じく主要構造部に含まれます。木造2階建て以外の建物では、主要構造部の過半を超える修繕・模様替えに該当する場合、この建築確認申請が必要となります。

ただ、この手続きは大変煩雑ゆえ費用も時間も要し、結果的に架け替えを断念せざるを得ないということになりがち。また、新築時の検査済証の取得履歴がない場合、そのままでは建築確認申請を出すこともできません。

架け替えせずとも広く見せる

階段の架け替えが難しいからといって、すぐに諦めないでください。工夫すれば、広く感じる空間を作り出すことができるかもしれません。その事例をご紹介します。

一つ目=事例1=は、鉄骨造3階建ての事例です。設置されていたのは木階段だったため、過半に当たらない範囲で一部だけ架け替えを行いました。架け替えできない部分は階段の両サイドの壁をできる限り撤去することで、圧迫感をなくし、リビングとダイニングのつながりをできるだけ作り出しました。

事例1

Before

After
階段の位置はそのままだが、階段の壁を撤去することで奥の部屋まで空間がつながり、広く見えるようにした。



二つ目=事例2=は、鉄筋コンクリート造4階建ての一戸建て。階段の両サイドの壁も鉄筋コンクリートで造られていたので撤去が困難でした。そこで、階段の近くにあった扉やふすまなどの建具を撤去し、床や壁の内装材もはがして両隣の部屋と素材を統一。階段で仕切られた空間と、両隣の部屋に一体感を持たせることで広く見えるようにしました。

事例2


Before 奥の部屋の手前に階段室がある


After 建具を撤去し、素材を統一することで、階段室と両隣の部屋を一体的な空間にした。
扉を撤去し、内装材もはがして、素材をコンクリートで統一した


After(階段室)

このように、階段を架け替えられるかどうかは個別の判断が必要なので、まずはプロに相談しましょう。もし架け替えができない場合や難しい場合でも、工夫次第で問題点を解決し、理想の空間を手に入れることができます。



執筆者
もりおか・みずほ
大阪の堺で育った関西人。立命館大学卒業後、Arts&Craftsへ入社。住宅系資格を有するが資格には頼らない仕事ぶりで、毎日奮闘中。沖縄で嫁入りし、地元精通ももう間近! リノベーションした自宅に住む。


◆Arts&Craftsの強み
1994年設立、日本におけるリノベーションの黎明(れいめい)期から活動。個人住宅のリノベから空室が目立つビルやアパートの再生コンサルティングまで手掛ける。沖縄事務所は老朽化したホテルを再生し運営もするSPICEMOTEL内。北中城村喜舎場1066 電話098-975-8090
https://www.a-crafts.co.jp



リノベーション協議会とは 消費者が安心して既存住宅を選べる市場をつくり、既存住宅の流通を活性化させることを目的に、2009年7月に発足したリノベーション業界団体。全国1000社弱の企業等が参画し、優良なリノベーションの統一規格「適合リノベーション住宅(R住宅)」を定め、普及推進している。その年のリノベNo.1を表彰する「リノベーション・オブ・ザ・イヤー」も年々注目が集まっている。https://www.renovation.or.jp

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1881号・2022年1月21日紙面から掲載

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