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2024年9月20日更新

目的や内容を考慮して 正しく活用「家族信託」[相続計画始めよう!地主・家主の生前対策⑥]

家族がもめないための「幸せ相続計画」の普及・啓蒙をする全国幸せ相続計画ネットワーク。60を超える士業や企業が会員に名を連ねる。今回は、同ネットワークの共同代表・亀島淳一さんが「家族信託」について説明する。「メリットの多い制度ではあるが、仕組みを知らないと税金が増えたり、トラブルにつながったりすることもある」と話す。

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目的や内容を考慮して
正しく活用「家族信託」

家族がもめないための「幸せ相続計画」の普及・啓蒙をする全国幸せ相続計画ネットワーク。60を超える士業や企業が会員に名を連ねる。今回は、同ネットワークの共同代表・亀島淳一さんが「家族信託」について説明する。「メリットの多い制度ではあるが、仕組みを知らないと税金が増えたり、トラブルにつながったりすることもある」と話す。
 
家族信託は仕組みを知って、適切に用いれば、効率的に財産管理ができる制度です


次の相続の指定も可能

最近、よく耳にするようになった「家族信託」。前回(8月16日号)に引き続き、活用方法と正しく活用されていないケースについて説明します。

家族信託は、前回紹介した「認知症対策」「分割対策」のほかにも「親亡き後の子どもを守る」「次の相続の指定」などの活用法があります。

「親亡き後の子どもを守る」は、例えば一人娘に障害があり、自立して生活するのが困難な場合。家族信託を活用して財産を親戚に託しておき、常に一定の収益が娘のために使われるように指定しておくのです。そうすれば、親が亡くなった後も娘の生活を支えることができます。近年では、この手法でペットのために家族信託を組む方もいます。

「次の相続の指定」は、先祖代々の土地を一族で守っていきたいとの思いが強いA家を例に説明します。長男には子どもがおらず、長女には息子がいます=下家系図。長男に相続させると、長男亡きあとは長男の奥さまに相続されます。それを避け、ゆくゆくは長女の息子に財産を引き継いで守ってほしいと思っているのですが、その子はまだ3歳です。そこで、家族信託を活用します。まず長男に財産を託し、長男が亡くなったら、財産の名義と管理権限を長女の息子に移すという指定を、お父さんが元気な内に定めておくのです。
家族信託では、例えばA家が先祖代々受け継ぐ土地を、まず長男に引き継ぎ、長男が亡くなったら長女の子に引き継がせる「次の相続の指定」ができる


税金増やもめる場合も

一方で、正しく活用されていないケースもあります。

一つは「節税できる」と勘違いしているケース。家族信託は税金対策のための制度ではありません。仕組みやルールを正しく知らないまま、さまざまな財産を信託すると贈与税、相続税、所得税など結果的に税金が増えてしまうこともあります。

「他の家族に知らせないまま信託契約を結んだ」場合も要注意です。家族信託は相続とは異なり、全員の同意は必要ありません。親と子どものうちの1人という、一対一でも契約できます。そうなると、他の家族から不満が出ることも予想されます。

さらに「信託する必要のない財産を信託した」というケースもあります。遺言書や任意後見などで十分なのに、わざわざ高い手数料を払って家族信託をするケースも見受けられます。詳しい分析をせずに家族信託を進めようとする専門家は避けた方が良いでしょう。

本来、家族信託はとても良い制度です。目的によっては複数の種類の信託を同時に組むこともあります。

信託が必要かどうかも含めて、どのような目的のためにどのような信託を組むのか、しっかり考えてくれる専門家に相談してください。

 
【今回のポイント】
・自分が亡き後の対策ペットに使う事例も
・ほかの家族に内緒にしたりやみくもな信託は避けよう
・目的や内容を分析をした上で判断する専門家に相談しよう



全国幸せ相続計画ネットワーク


【執筆】
全国幸せ相続計画ネットワーク
共同代表・亀島淳一

士業(税理士、司法書士、弁護士)を中心に、全国の相続の専門家が集う組織。「相続で家族をもめさせない」「相続で優良財産を減らさない」「子や孫を将来お金で困らせない」という信念を持ち、「相続計画」という新しい考え方の普及・啓蒙活動を行っている。

相続相談窓口:電話=050・1809・0106
https://souzoku-planning.org/

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2020号・2024年09月20日掲載

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