相続
2025年5月30日更新
「相続サイクル」で子や孫まで豊かに[相続計画始めよう!地主・家主の生前対策 番外編]
家族がもめないための「幸せ相続計画」の普及・啓蒙をしている(一社)全国幸せ相続計画ネットワーク。60を超える士業や企業が名を連ねる。当連載では、同ネットワークの共同代表・亀島淳一氏が生前にやっておくべき相続計画を解説。今回は、「相続サイクル」を紹介する。

「相続サイクル」で子や孫まで豊かに
家族がもめないための「幸せ相続計画」の普及・啓蒙をしている(一社)全国幸せ相続計画ネットワーク。60を超える士業や企業が名を連ねる。当連載では、同ネットワークの共同代表・亀島淳一氏が生前にやっておくべき相続計画を解説。今回は、「相続サイクル」を紹介する。相続サイクルとは
実は、相続サイクルという考え方を知ることによって、もめない相続の実現に近づくのだ。相続サイクルは、上の図にあるように、相続を「資産形成」「運用」「保持」「承継」の四つのゾーンに分類。いつか起こる相続に向けて、サイクルの流れに沿って、準備を進めていく。その期間は10年~25年。準備期間に余裕があると、さまざまな対策を着実に展開していくことも可能だ。
相続サイクルでは、相続でもめる原因の最大要因となっている、もらう側の「将来のお金の不安」について、誰が、どれだけ不安なのかを把握して将来、子や孫がお金で困ることのないようにライフプランを考える。
次に、相続税評価額だけで考えられがちな財産の価値を多面的に分析。流動性や収益性が低くく、重荷になる「負動産」は整理・組み換えも考えながら対応する。さらに、相続税の納税資金が不足していないか、加えて将来起こる二次相続の納税資金の準備を進める。
これらの対策を行った上で、親が分け方を決めておくことが大切。その際、ポイントとなるのは相続人の将来を見据えた財産の分け方にすること。それによって「もめない相続」がより一層、実現に近づく。

資産形成
◆目的 子や孫をお金で困らせない
◆計画 相続人の平均余命までのマネープランを立て、老後資金の将来不安を減らす
対策/アパート建築や収益不動産の取得、株式投資や債権、養老保険、年金保険、
外貨建保険、変額保険など

相続人の平均余命のマネープランを立て、「将来の不安」を払拭する
資産運用◆目的 資産価値(収益)を下げない
◆計画 収益性や流動性を見直し、資産価値を下げない
対策/空き室対策・家賃値上げなどの収益管理、修繕計画などの建物管理、
ポートフォリオ最適化などの財産管理、リフォーム、外壁塗装など

不動産の場合、相続税評価額だけでなく収益性や流動性(売買しやすさ)も含めて価値を見直す
資産保持
◆目的 相続で優良財産を減らさない
◆計画 優良財産を守るための節税・納税資金準備
対策/贈与・養子縁組、法人化・納税資金対策、アパート建築(債務控除)、
不動産小口商品、終身保険

納税資金がいくらかかるか計算し準備しておく
資産承継
◆目的 相続で家族をもめさせない
◆計画 相続人の将来を見据えた財産の分け方
対策/相続税計算、身元保証、遺言書、家族信託、死後事務委任契約、後見制度、
死因贈与、遺贈寄付など
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「全体最適」でもめさせない

(一社)全国幸せ相続計画ネットワーク共同代表
「相続サイクル」の開発者・亀島淳一氏が語る
相続の相談で司法書士を訪ねれば「遺言書の作成」など、税理士やアパートメーカーを訪ねれば「節税対策」などを提案されるケースが見られる。亀島代表も「アパートメーカーなどに勤務していたころは、相続の一部だけに目を向け、商品を売るための提案を行っていた」という。しかし、「それが『もめさせない』『子や孫の代まで幸せであり続ける』相続につながっているのかは疑問があった」。
決定的になったのは、実家の相続トラブル。「遺言書があったのにもめてしまった。おばあちゃんが天国に行った後から父親兄弟がいがみ合う姿を見て、無力さを感じた。家族をもめさせないためには広い視野で相続をとらえる必要がある」と考えた。
決定的になったのは、実家の相続トラブル。「遺言書があったのにもめてしまった。おばあちゃんが天国に行った後から父親兄弟がいがみ合う姿を見て、無力さを感じた。家族をもめさせないためには広い視野で相続をとらえる必要がある」と考えた。
相続計画からつながる未来

相続人の不安を払拭する
数々の相談を受けるうちに分かったのは「もらう側が、漠然とした将来への不安から『良い財産を1円でも多くもらっておきたい』という気持ちがあること。もめさせないためには、その不安を払拭する必要がある」とし、相続計画では「相続人である子や孫の平均余命までの収支を可視化。全員の相続人が将来、お金で困らないようなライフプランを立てる(資産形成)。そして財産の収益性や流動性を分析し重荷になる財産を整理して良い財産へ改善(資産運用)。その良い財産を減らさないよう納税・節税対策をして(資産保持)、分け方を決める(資産承継)」。
これは、従来行われている「部分最適」とは全く異なり「全体最適」を重視。そのノウハウを凝縮したのが「相続サイクル」だ。「財産を渡す相続の瞬間(承継)だけを重視するからもめる。生前から10年、20年かけてしっかり計画を立てることが大切」と力を込める。さらに「ライフプランや分析した内容を数値や図表で可視化することも重要。そうすることでご家族に納得してもらえる」
この相続サイクルを用いた相続計画支援システムは、ことし3月に特許を取得。「相続人の納得感や満足感を得られやすく、これまでになかったシステムだと評価していただいた。同特許などを用いた相続コンサル業務ではさまざまな企業と提携しており、ことしは大東建託や京阪電鉄不動産とも提携を結んだ」と話すなど、そのノウハウは全国に広がっている。
数々の相談を受けるうちに分かったのは「もらう側が、漠然とした将来への不安から『良い財産を1円でも多くもらっておきたい』という気持ちがあること。もめさせないためには、その不安を払拭する必要がある」とし、相続計画では「相続人である子や孫の平均余命までの収支を可視化。全員の相続人が将来、お金で困らないようなライフプランを立てる(資産形成)。そして財産の収益性や流動性を分析し重荷になる財産を整理して良い財産へ改善(資産運用)。その良い財産を減らさないよう納税・節税対策をして(資産保持)、分け方を決める(資産承継)」。
これは、従来行われている「部分最適」とは全く異なり「全体最適」を重視。そのノウハウを凝縮したのが「相続サイクル」だ。「財産を渡す相続の瞬間(承継)だけを重視するからもめる。生前から10年、20年かけてしっかり計画を立てることが大切」と力を込める。さらに「ライフプランや分析した内容を数値や図表で可視化することも重要。そうすることでご家族に納得してもらえる」
この相続サイクルを用いた相続計画支援システムは、ことし3月に特許を取得。「相続人の納得感や満足感を得られやすく、これまでになかったシステムだと評価していただいた。同特許などを用いた相続コンサル業務ではさまざまな企業と提携しており、ことしは大東建託や京阪電鉄不動産とも提携を結んだ」と話すなど、そのノウハウは全国に広がっている。

相続サイクルに沿って資産を分析し、課題を解決して次世代へ引き継ぐ
相談者は「あれこれ相続対策を提案され、どうしたらいいか分からない」「なにから手を付けていいのか…」という方が多く、「相続サイクルに沿って現状を分析し課題解決策を提示すると、『道筋が見えた』とほっとされる」。
最後に、「相続計画の先にはまだまだ豊かな人生が待っている。お金に余裕ができた分で、家族で旅行を楽しんだり、寄付などの社会貢献をするのも良い。最期に『幸せな人生だった』思える人が1人でも増えるよう、サポートしていきたい」と力をこめた。
(一社)全国幸せ相続計画ネットワーク

【執筆】
(一社)全国幸せ相続計画ネットワーク
共同代表・亀島淳一
士業(税理士、司法書士、弁護士)を中心に全国の相続の専門家が集う組織。「相続で家族をもめさせない」「相続で優良財産を減らさない」「子や孫を将来お金で困らせない」という信念を持ち、「相続計画」という新しい考え方の普及・啓蒙活動を行っている。
相続相談窓口=050・1809・0106
(受付は平日午前9時30分〜午後5時)
https://souzoku-planning.org/
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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2056号・2025年5月30日掲載
第2056号・2025年5月30日掲載