相続
2025年6月6日更新
ワンストップ相談 スムーズ解決へ|どうするその空き家⑮
文/屋部 憲史朗(全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部支部長)

文/屋部 憲史朗
(全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部支部長)
全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部による空き家問題の背景や現状などを解説する。今月は同支部の屋部憲史朗支部長が、支部に寄せられた相談や対応した経緯について紹介する。
ワンストップ相談
スムーズ解決へ
スムーズ解決へ
今月と来月は、山入端事務局長に代わり、支部長を務めさせていただいている株式会社ハートボイルドの屋部が執筆いたします。
全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部が立ち上がって1年半、これまで30件を超えるご相談がありました。
その中から、ご相談者からうれしいお言葉をいただいた事例を紹介させていただきます。
Bさんは、お亡くなりになった父親の相続の件でご相談がありました。相続対象になったのは、仏壇のあるご実家とお墓です。
オンライン相談
3点の課題判明
Bさんは仕事の終わる時間が遅く、子育て真っ最中なので相談の時間を確保するのが難しいとの事でしたので、オンラインでご意向をうかがいました。
支部からは、宅建士である私とメンバーの司法書士とお墓や仏壇の専門家の3者が、Bさんに家族構成やご親族の事、実家やお墓の現状のほか、どのようにしていきたいか、意向を聞き取り、浮かび上がってきた三つの課題をまとめました。
まず、Bさんの意向としては、将来にわたって実家の利用予定がなく管理が難しいので売却し、得た資金でお墓じまいなどの費用に充てたい、とのことでした。
そのうえで、課題として①長年住んでいなかった実家の老朽化が進んでおり、更地にして売却しないと価格がつかない、②実家は祖父(Bさんの父親の父親)からの相続がまだ、なされておらず実家の土地建物の名義は祖父のまま、③祖父の相続人がBさんの父親以外に県外に3人いて相続に無関心で費用負担はしないが、売却により利益が出た場合は要求が出てこないか-の3点が浮き彫りになりました。
物件売却の収支
工程をリスト化
1回目の相談はこれで終了し、支部で内容を共有し、不動産売却から墓じまいまでの収入や支出、工程をまとめました。
まず、収入は建物の売却益です。一方、かかる費用としては、建物解体、測量、仲介手数料、遺産分割協議、相続登記、お墓じまい、仏壇じまい、永代供養があります。
これからやらないといけない事や準備する事をリストにし、お金の流れをご家族で共有してもらうため、意思決定や遺産分割や相続の協議、実家売り出し開始、不動産売買契約、測量、実家売却、収入から全ての費用を精算-などの作業手順を資料にまとめて、2回目のオンラインによる話し合いで、提案させてもらいました。

それに対しBさん含め、ご家族から「とてもわかりやすく、一番心配だったお金の流れが分かり安心した。何より今まで何から手をつければいいのか悩んでいたが最後まで理解することができた。本当にうれしい」との言葉を頂き、対応した私どももうれしく思いました。
この後は、懸念していた親族との話し合いもスムーズに行き、無事に相続から売却まで終える事ができ解決する事ができました。
本来、今回のようなケースは相談者本人がさまざまな業者や専門家と個別に相談を重ねて進めていくことが多く、ゴールが見えづらいものになりがちです。
複雑な問題が絡み合うことで悩みや負担が増していき、かなりの時間を費やしたり、途中で断念したりするケースが多々あります。
しかし、私たちの支部では、空き家の課題解決に必要な専門家がそろっておりワンストップで相談が可能です。今回のケースも、物件売却や親族間の調整など、最初から最後まで効率よく分かりやすく提案できたと思っております。
一見すると難しい相続となる空き家課題ですが、無料でご相談を受け付けしておりますので、まずはお気軽にご相談にいらしてください。

やぶ・けんしろう
1982年生まれ、名護市在住。2024年、(一社)全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部を設立し支部長就任。(株)ハートボイルド代表取締役社長。北部地区宅建業者会理事。名護市観光協会青年部部長
全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部
電話=0980・43・1613
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2057号・2025年06月06日紙面から掲載
第2057号・2025年06月06日紙面から掲載