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2018年2月2日更新

今日から始める相続計画「将来の資産価値も見据えて」

[Vol.11]文・亀島淳一|(株)シナジープラス代表 幸せ相続計画推進協会代表理事

人口減少で進む「不動産価値の二極化」

2015年4月に開始した当連載3年間の締めくくりとして、相続で家族がもめない、財産を減らさないための大事なポイントを、2回に分けてお伝えします。実際にさまざまなご相談をいただいている中での実感も込めて説明しますので、参考にしてください。



重要なのは分け方

相続でもめないために一番大事なことは「分け方」だと、繰り返しお伝えしてきました。相続で家族をもめさせないためには、財産を渡す親(被相続人)が適切な分け方を考えて書面(公正証書遺言)に残すことが大切です。
分け方を考える際には、相続財産の流動性と収益性、相続評価額に対する収益率等をもとにすべての財産を四つの分類(守る、運用する、備える、整理する)に分けます。その上で四つの分類からバランスよく家族それぞれへの分け方を決めていきましょう。


財産価値の将来予測を

これからの相続計画においては、人口減少や少子高齢化など、財産価値を著しく下げる可能性のある大きな外的要因の存在にも目を向けねばなりません。そういったリスクを見越した上で分け方を考えなければ、財産を守ることができずに親子三代で財産が無くなってしまうご家庭も増えていくことでしょう。
相続は1回だけではありません。10年、20年、30年…。次の世代へと財産を守り引き継いでいくために、できるだけ細かく将来予測を立てた上で財産の価値を分析しておきましょう。
沖縄は、全体では人口が増えていますが、地域を絞っていくと減っているエリアもあります。私たちは相続計画を立てる際に字単位で分析を行っていきます。昨年、相談にいらした方々の保有不動産のうち約4割が人口減少や少子高齢化、単身化が進んできているエリアにありました。沖縄でも人口が減少に転じると予測されている2025年くらいからは、不動産の二極化(価値の上がるものと下がるもの)が一気に進んでいくことが考えられます。現状で既に資産価値の減少が見られる地域は特に注意が必要です。
そのようなエリアに保有する不動産は、現状ではある程度の価値を感じていたとしても、近い将来「整理する財産」になりかねません。資産の組み替えや財産価値を向上させる戦略など、財産を渡す人(被相続人)が主体となって早めに取り組んでいく必要があるでしょう。
注意を払っていなければ知らないうちに財産の価値がどんどん下がっていくような時代が来ます。心構えをしておきましょう。


遺言や家族信託 見直しも

「公正証書遺言」や、最近よく耳にするようになった「家族信託」に取り組んでいたとしても、前述したような相続財産の将来性まで分析して準備したものでなければ意味のないものになりかねません。
私たちは日々、さまざまなご相談をいただいていますが、公正証書遺言や家族信託をすでに作ってある方から相談を受けて内容を確認してみると、現状分析や将来予測が甘く、将来のトラブルの元になりそうな公正証書遺言や家族信託が実に8~9割にも上ると実感しています。
でも、安心してください。財産を渡す親(被相続人)が元気であれば、見直しをして作り替えることができます。公正証書遺言や家族信託をすでに作られている方も、子や孫の代まで相続でもめずに財産価値を上手に向上させながら引き継いでいける内容になっているかどうか、改めて確認してみてください。それらを作る際に力を借りた専門家に、財産価値の将来性予測が十分になされた内容になっているかどうか尋ねてみましょう。
もし不十分であれば、早いうちにより良い形に作り直してもらいましょう。財産を引き継ぐ子どもたちが困らないように、ぜひ定期的に見直しをしていただきたいと思います。


①財産の立地分析(市場分析)の例


②活用分析の例


③投資分析の例DSCR



相続計画を立てる時には

不動産の相続計画を依頼されたら、まず私たちは①「財産の立地分析(市場分析)」を行います。例えば所有する土地の人口動向、世帯や世代、昼間の人口、家賃相場などを綿密に分析します。
活用の必要性が考えられる場合には、さらに②「活用分析」を行い活用方法を比較検討します。店舗にするのか、アパートにするのか、駐車場にするのか、それとも何もしない方が良いのかなどと検討します。この時に、単純な収支だけでなく相続税がどれくらいかかるかを加味して分析することが大切です。
そして③「投資分析」をして、投資にどれだけリスクがあるのか、どうしたら最大の収益を上げられるのかを検討します。




2月に亀島淳一さんセミナー
「相続の基本と家族信託」


執筆者の亀島さんによるセミナー「相続の基本と、今注目の家族信託」(主催・タイムス住宅新聞社)」を2月24日(土)、南風原町立中央公民館で開催します。今回も紹介した「家族信託」について詳しく知るチャンスです。 

  • 日時/2月24日(土)午後2時~同4時(受け付けは午後1時30分~)
  • 場所/南風原町立中央公民館(南風原町字喜屋武236)
  • 料金/2000円(資料代込み)
  • 定員/20人

※事前に電話予約をお願いします。
タイムス住宅新聞社 企画開発部
098-862-1155
受け付けは平日午前10時~午後5時



文・亀島淳一
(株)シナジープラス代表
幸せ相続計画推進協会代表理事

かめしま・じゅんいち/身内の相続トラブルを機に相続を学ぶ。相続の幅広い専門知識と豊富な実務経験をもとに、行政やメディアなどの依頼による講演も行っている。上級相続アドバイザー、全米不動産経営管理士(CPM)、全米不動産投資顧問(CCIM)などの資格も持つ。
電話/098-963-9266
http://www.synergy-plus.co.jp/



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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1674号・2018年2月2日紙面から掲載

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スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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