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2020年1月3日更新

[特集]せっかく家を建てるなら楽しい家がいい!|趣味

 建築費や地価が高騰しているからこそ、せっかく家を建てるなら思いっきり楽しい家にしたい! 週刊タイムス住宅新聞の巻頭コーナー「お住まい拝見」や「こだわリノベ」に登場する家にもそんな傾向が見られる。
そこで過去3年間(2017年1月~2019年12月)に登場したお宅の中から、えりすぐりの楽しい家を紹介する。
 焼き物やバイク、庭、DIY、パン作りなど、人はそれぞれ趣味を持つ。コレクションを眺める場として、作業場として、趣味をとことん追究できる6件を取り上げる。

せっかく家を建てるなら趣味を楽しみたい!

焼き物コレクション
▼2018年12月7日発行号(1718号)掲載 設計/アトリエ・ダグ・アーキテクト

キッチン背面を利用した収納=正面=など、焼き物を飾るスペースがたくさんある

打ち放しのコンクリートに、木製の建具や造作家具で落ち着いた雰囲気のIさん宅。家中のあちらこちらに、県内で活躍する作家の焼き物が並ぶ様子は、さながら焼き物のギャラリーだ。

これらは焼き物好きな夫婦が、長年かけて集めてきたもの。「これは息子が焼き物を割ってしまったのが縁で知り合った作家の作品でね…」など、一つ一つに思い出が詰まっている。

設計時、夫婦の「陶器がしっくりなじむような空間にしたい」という話を聞いた建築士の下地恒さんは、キッチンカウンターの背面をオープン収納にしたほか、玄関やリビングなど随所に飾り棚を設置。夫婦は朝、それらに並んだコレクションの中から、「今日は運気を上げるために赤いものを使おうかな」など、気分に合わせて器を選び、コーヒーを楽しんでいるという。


天井近くに飾り棚のあるリビング。写真右手のキッチンからは、その棚に並んだ焼き物と、その下の大きな窓の外にある庭が一緒に見える

 
ガレージ兼アトリエ
▼2019年5月17日発行号(1597号)掲載 設計/Arms DESIGN

1階のガレージ兼アトリエ。引き戸の取っ手はオートバイのハンドルを再利用。入り口土間には神谷さんが絵を描き、自分好みに

古い物やモノづくりが好きな神谷さん宅で真っ先に目に付くのは、夫婦の趣味であるバイクのガレージ兼アトリエだ。築20年余の中古住宅を購入し、リノベーション。ガレージ兼アトリエがあるのは1階ピロティだ。外階段の壁で3方を囲まれた部分に、木扉を設けて作った。

仲間が集まると、ここでバーベキューをしたり、バイク談議に花を咲かせたり。「建築士と施工業者も同じバイク乗りで感覚が近く、イメージを共有できた。仕上がりは最高!」と神谷さん。室内は、夫妻好みのアメリカンカジュアルなインテリアや使い込まれた古いイスなどがセンス良く配置されている。既存を生かすことでコストバランスを図り、家族や仲間と伸び伸び暮らせる家を手に入れた。


右手にある飾り棚にはビンテージカップがズラリ。水回りの目隠し壁にもなっている

 
ガーデニング
▼2017年4月21日発行号(1633号)掲載 設計/(有)K・でざいん

和室からテラス越しに見た庭。外塀にスリットを入れ、アイアンのフェンスを組み合わせたことで奥行きを演出。日当たりや風通しが良くなる効果も

築41年の2世帯を建て替えたAさん宅は、植物が大好きな夫人のため庭を広く取った家。建築士の金城傑さんは、前面道路のある南に庭を設け、その庭に向けてLDKと和室を配置。どこにいても庭が眺められる、明るく開放的な住まいを作り上げた。

カスミソウにマーガレット、アネモネ、キンギョソウなど、色とりどりの季節の花々がアプローチや庭先で来客を出迎える。「こんなに広く取れるとおもっていなかったから、うれしくて。草むしりも楽しいから、5、6時間はあっという間」と夫人。その様子にAさんも「建てたかいがあった」とうなずく。そんな花いっぱいの庭に合わせて、外観はスペイン瓦や外壁のアーチ、アイアンのフェンスなど夫人憧れの南欧風を演出。「子ども連れのお母さんがお花を見たいと訪ねてきたこともあるの」と交流の輪も広がっている。


外観。玄関先や塀からのぞく草花が、道行く人の目を楽しませる

 
夫婦それぞれ手作りに没頭
▼2019年1月11日発行号(1723号)掲載 設計/(株)琉球住樂

1階LDK。間仕切りの障子は開け放ち、機織り機のある洋室まで一体的に使用。風通しもいい

退職後に建てた廣瀬さん夫妻の終(つい)のすみかは、19坪の木造平屋。「マンション住まいだった以前は、私が好きな機織りも夫のDIYも音が響くからできなくて。気兼ねなく好きなことができる家がほしい」と依頼。建築士の伊良皆盛栄さんは「バリアフリー、広い水回り、変化に対応しやすい造り」に気を配りつつ、趣味も思う存分楽しめる家を作り上げた。

室内では夫人が機織り。仕切り戸を開ければ部屋がすべてつながるため、普段は開け放して使用。「建材が天然素材で、家の中に湿気もたまらないから、ほこりアレルギーの私も気持ちよく暮らせる」と廣瀬さんも喜ぶ。廣瀬さんがDIYや読書を楽しむのはアマハジに設けたポーチ。キャスター付きのデスクやイスは廣瀬さんの手作りだ=下。 


軒の深いポーチは廣瀬さんがDIYや読書を楽しむ場。道具類や水栓も用意

 
DIYで手加え暮らす
▼2019年2月1日発行号(1726号)掲載 設計/(株)山口瞬太郎建築設計事務所

吹き抜けで開放的なLDK。RC造ながらも、木をふんだんに使い、あたたかみを感じる

建て替えを機に二世帯住宅となったTさん宅。設計時、趣味でDIYを楽しむTさんが求めたのは、「壁に気軽にクギを打てるような木造」。しかし、夫人の母の要望は「安心感のある鉄筋コンクリート(RC)造」だった。

そこで、設計を手がけた山口瞬太郎さんは、コンクリートで枠をつくり、そこに木ブロック(角材)をはめ込む工法を提案。木が持つ断熱・調湿効果を生かせるほか、木ブロックは外壁・内装の役割も兼ねており、万一、不具合が出てもすぐに分かるのでメンテナンスもしやすいという。

住み始めてからTさんはベッドや棚、テラスのテーブル・ベンチ、キャットウォークを自作するなど、自分好みに手を加えられる住まいを満喫している。


Tさん手作りのベッドが置かれた寝室。壁面にはめ込まれた木材は、外壁と内装の二役を兼ねている

 
パン教室スペースも
▼2018年2月2日発行号(1674号)掲載 設計/ファイブディメンジョン一級建築士事務所

パン作りを楽しむスペース。夫人は「毎日のようにパンを作っています。ここ数年は市販のパンを買っておらず、朝食は自分で作ったパンしか食べていない」とうれしそう

限られたスペースに空間的な広がりを持たせるため、1階の玄関から、2階の生活空間まで、細い路地のような長い動線が続くMさん宅。その一角にあるのは、パン作りが趣味で、「将来的に教室も開きたい」という夫人のための、キッチンとは別に設けられたスペースだ。広い作業台に、お気に入りのメーカーのオーブン、隣には材料を広げられる和室があったりと、パン作りをとことん楽しめる環境が整っている。

さらに、建築士の大嶺亮さんは「パンの販売もできるように」と、専用の出入り口を設けたり、工房と客スペースの間に仕切りを取り付けて、保健所の認可が取れるようにした。


パン作りを楽しむ部屋に隣接する和室。材料を広げたり、ゲストルームとして使っている


 
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1774号・2020年1月3日紙面から掲載



 

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