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2019年9月20日更新

[不動産の日特集|実家を生かす]①2世帯リノベサイト

地価や建築費の高騰から住宅や店舗など新たに不動産を取得するのが難しくなっている昨今、見直したいのが「実家の活用」だ。9月23日の不動産の日にちなみ、2世帯取得に役立つサイトや、店舗への改装事例、行事の際は帰省し普段は宿泊施設にすることで維持活用につなげた3手法を紹介。中古住宅の不動産動向も取り上げる。



 Case1 2世帯に ​


取得費の負担減 親も子も安心


佐平建設が設計・施工を手掛けたNさん宅。築42年の実家2階をリノベーションした。以前は浴室が無く、LDKが壁で分断されていた。リノベでは浴室を新設し壁を取り払い、明るいLDKに生まれ変わった

佐平建設の2世帯リノベサイト 「OTONA:Re(おとなり)」otona-re.com

建築費 新築の約7割​
昨年9月、那覇市の㈱佐平建設は2世帯住宅へのリノベーションに特化したサイト「OTONA:Re」を開設。事例やメリットなどを紹介している。同社の常務取締役・柿本洋さんは「ここ数年、実家を2世帯住宅にリノベしたいとの依頼が急増。窓口の必要性を感じて立ち上げた。特に、子世帯が積極的だ」と語る。背景には「建築費や地価の高騰で、新築のハードルが上がっている」という事情がある。

同サイトのシミュレーションによると、実家を2世帯住宅にリノベすれば同規模の新築の約7割の建築コストで済む=下表。「土地代を含めなくても、これだけ差が出る。工事内容によって価格は変動するが、躯体の修繕費を加味しても実家リノベの方が安く済む場合が多い」。
 
 2世帯住宅の建築費シミュレーション(OTONA:Reより)
25坪(3LDK)の家を新築した場合
建築費 25坪×90万円=2250万円
※鉄筋コンクリート造の建築単価90万円で計算。土地代や設計費用などは別途

★実家(25坪3LDK)を2世帯にリフォームした場合
改修費 スケルトンリフォーム=1500万円
※子世帯のみ。工事内容によって価格は変動する

依頼が多いのは築30年前後の物件だそう。「経験上、リノベができないほど躯体の状態が悪い物件は少ない。多くの物件が、修繕をすれば十分にリノベが可能」。

注意すべきは、「既存の広さで、必要な居室が確保できるのか」という点。法律上、床面積の増加が10平方㍍以上の増改築を行う場合、建築確認申請が必要になる。「古い建物の場合、確認申請を通すのがなかなか難しい。うちでは間取りをやりくりして希望の居室を確保するようにしている」。

また階で世帯を分け、玄関から別にした「完全分離型」が人気だが、その場合は外階段が必要。同社でリノベしたNさん宅も、外階段と2階玄関を新設した=下写真。「外階段を新設する場合、駐車場や庭が削られることを考慮しなくてはならない」と注意を促す。



▲リフォーム前(2階)
以前は室内が壁で分断されていた。構造上、取れない壁もあるが、Nさん宅では取れる壁を撤去し、LDKを広々と取った。子どもに目が届き子育てしやすいそう


費用以外も利点多い
実家を2世帯住宅にリフォームするメリットは建築費の面だけではない。

「共働き世帯が多い沖縄では、親と協力して子育てできる環境はありがたいし、親世帯にとっても、そばに頼れる家族がいることは安心感につながる」と柿本さん。

2世帯間だけでなく、空き家対策など社会的な意義も含め、「実家リノベは『ウィン-ウィン-ウィン』くらいの価値があると思う」と話した。

10月に開催する第33回県トータルリビングショウ(会場/沖縄コンベンションセンター)では、柿本さんによる講演「2世帯住宅リノベーションのススメ!」を行う予定。10月19日(土)午前10時30分~、無料(予約制)、定員200人。詳細は追って本紙、または沖縄タイムスで告知する。


Nさん宅は階で世帯を分ける「完全分離型」。駐車場側に外階を新設し、2階の玄関も新たに設けた。柿本さんは「2世帯へのリノベ依頼では完全分離型が最も多く、8割くらいに達する。完全同居型、部分共有型などに比べるとコストはかかるが、プライバシーが保ちやすいなどのメリットがある」と話す


他関連記事
Case01:2世帯リノベサイト
Case02:宿泊施設
Case03:店舗兼住居
中古住宅の動向

 

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1759号・2019年9月20日紙面から掲載

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スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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