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2018年9月21日更新
[不動産の日特集]沖縄県宅地建物取引業協会に聞く 昨今の賃貸動向
昨今の賃貸動向
需給あるが地域差も
おきぎん経済研究所の調査によると、2013~17年の賃貸物件の稼働率は80~90%台で推移している=上グラフ。建築単価の高騰などを背景に、持ち家を建てるよりも賃貸を選ぶ世帯が増えているのが理由だ(南西地域産業活性化センター調べ)。とは言え、地域差はあるよう。(公社)県宅地建物取引業協会の知念聡会長らは「現在、東海岸や那覇から離れた郊外でアパートなどの建設が盛んだが、需要と供給のバランスに地域差がある」と話す。
那覇周辺では稼働率が高いものの、中部や南部では供給過多気味で、「沖縄市の空室率は15~17%」。さらに糸満市などでは「次の借り手が決まるまで半年以上かかる場合もある」。比較的土地が入手しやすい郊外では賃貸物件が増えている一方で、スーパーや病院が少ないなど、周辺の整備が十分でなく需要が低いよう。
価格や間取りでも差があり、「月5万円程度の部屋は常に満室。県民所得からみて高めの家賃や3LDKなどの広過ぎる間取り、築年が古い物件などは借り手が付きにくい」。また、駐車場が確保できるかも課題だという。
40年には賃貸物件の空き家率が31%(南西地域産業活性化センター調べ)になるとも言われ、中古物件の空室対策は必至だ。築年数がたった物件や空室が続く物件では、防水・配管設備などを修繕し、ニーズに合わせて和室を洋室に変えたり、クロスを張り替えたりして、稼働率を改善できる。改修にコストがかけられなくても、県が推進する住宅確保要配慮者用の物件登録や「賃料を安くし、借り手がDIYで自由に作り替えられるといった手法も考えられる」と協会はアドバイスした。
右から渡久地政彦副会長、知念会長、宮城康副会長、上地隆常務理事
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1707号・2018年9月21日紙面から掲載