築50年を建て替え|沖縄家作人(やーつくやー)ネット|一級建築士事務所FAD|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

お住まい拝見

お住まい拝見

2018年5月4日更新

築50年を建て替え|沖縄家作人(やーつくやー)ネット|一級建築士事務所FAD

[お住まい拝見・3世代が仲良く同居]築50年近くの住まいを建て替えたNさん(59)。空間を有効活用し多くの収納を設けた鉄筋コンクリート造2階建てで、大きなテレビの前に集う義母とNさん、子どもたち3人の3世代が仲良く暮らす。

家族そろって映画鑑賞

Nさん宅
RC造/自由設計/家族5人

外観。2階の外壁などに使われているベージュ色は、「天気や時間帯によってピンク色に見えることもある」とNさん。2階手前の大きな開口部からは、夏場に花火が見えるという

花が飾られた華やかな玄関を抜けるとすぐにあるのが、生活の中心になっているLDK。幅3.6メートルの大きな開口部から、たっぷりと入ってくる光と風が心地良い。天井と壁は境目が分からないほど真っ白で、そのあやふやさが14畳の空間をより広く感じさせる。さらに隣の和室の戸を開け放てば、LDKと和室が一体化。Nさんは「法事など、人が集まるときに重宝します」。

昼間、義母(84)がスポーツ観戦をする大型テレビの前には、夜になると家族がそろい、共通の趣味であるDVDの映画鑑賞を楽しむ。「みんなLDKで過ごすことが増え、今まで以上に仲良くなった気がする」。

バリアフリーに配慮された1階には、玄関や廊下などに手すりがあるほか、対面キッチンの縁も手すり代わりになる。「トレーニングも兼ねて、義母はできるだけ使わないようにしているが、いざというときに安心です」。



1階LDK。天井と壁を仕切る「廻り縁(まわりぶち)」がないため、それぞれの境界があいまいで、天井はより高く、奥行きもより遠くまであるように感じる


広々した玄関。花や小物で彩られた飾り棚は長女と次女によるもの。建て替えてから飾り始めるようになったという。暮らしを楽しむ様子が伝わってくる


外観に一目ぼれ
1968年に完成した鉄筋コンクリート造2階建て。それが以前のNさん宅だ。義母は「当時はまだ2階建ての住宅が珍しかったので、近所の人がたくさん見学に来たよ」。

それから数十年がたち、スラブのコンクリートがはがれ天井裏に落ちるなど危険な状態だったため、2年ほど前から建て替えを検討。県内の住宅関連会社が集まるトータルリビングショウで、コンペ方式で家づくりを提案する団体に出合い、設計事務所を選んだ。Nさんは「バリアフリーや対面キッチンなど要望を全て取り入れてくれた。四隅がカーブした外観に、長女が一目ぼれしたのが決め手」と話す。

それから建築士と連絡を密に取りながら、Nさんは積極的に家づくりに参加。床の間の裏側などのスペースを有効活用した収納など、主婦目線でのアイデアを設計に反映してもらった。「洗面室と脱衣室の仕切りなど、前の家で不便に感じていた部分は全部改善されました」とNさん。

「またいろんな人が見に来そうだね」。うれしそうに義母は話した。


ここがポイント
主婦目線の収納場所 先見据えワンルーム

Nさん宅の土地は、2本の道路に挟まれた場所にあり、両隣には2階建ての住宅が建つ。そこで建築士の古堅健一さんはまず、接道している2カ所に駐車場を配置し、家族が使う4台分以上のスペースを確保。残りの部分で建物を計画していった。

各部屋は、「日差しの当たる南側にLDKや居室、陰になる北側に水回りという具合に、環境に合わせた形で素直に配置した」と古堅さん。道路を挟んだ北側に建つ5階建てアパートからの視線を気にしないで済むことにもつながった。

また南側の開口部は大きくし光と風を取り込みやすくしたほか、「全居室に2カ所ずつ窓を設け、居室の扉を閉めていても風の流れを作れるようにした」。

収納は主婦であるNさんのアイデアを取り入れながら計画。仏壇の裏や、階段の下、床の間の後ろなど、デッドスペースになりがちな部分を隅々まで活用した。

2階は家具で仕切ることを想定し、ワンルームに。「コストを抑えるとともに、柔軟性も持たせた」。Nさんは「今は自分と娘2人の部屋として使っているけれど、将来、娘2人が嫁いだり、家庭を持った長男が一緒に暮らすことになっても対応しやすい」。

バリアフリーについては、床をフラットにし、随所に手すりを設けたほか、将来、車いすでも暮らせるようにと玄関や廊下の幅も広くした。

防犯にも配慮。北側の犬走りには、音が響きやすい砂利を敷いた。2階のルーフテラスはぐるりと壁で囲んでプライバシーを守りつつ、南東側だけ大きく開いて遠くに見える山の景色を楽しめるようにした。



床の間の奥は収納になっており、扇風機など普段あまり使わないものが収められている



1階和室。造りつけの仏壇の背後にある空間は、靴箱としてスペースを活用=上断面図。デッドスペースになりがちな部分を無駄なく使っている


洗面室と脱衣室の間には引き戸を設置。「誰かがお風呂に入っていても、気兼ねなく洗面室を使える」とNさん


物干し場。ポリカーボネイト板で覆われた天井に、Nさんは「雨の予報でも安心」。写真右側の低めの位置にある物干し台は、義母が自分で洗濯物を干せるように設けられたもので、「義母も使いやすそうです」


[DATA]
家族構成 :Nさん、子ども3人、義母
敷地面積 :219.73平方メートル(約66.46坪)
1階床面積:78.08平方メートル(約23.61坪)
2階床面積:33.48平方メートル(約10.12坪)
建ぺい率 :37.11%(許容60%)
容 積 率:50.78%(許容200%)
用途地域 :第1種住居地域
躯体構造 :鉄筋コンクリート造壁式構造
設  計 :一級建築士事務所FAD 古堅健一
構  造 :建築設計・明 玉城明美
施  工 :(有)國真住建
電  気 :(株)大幸電設
水  道 :(有)丸栄電気水道工業



[設計・問い合わせ先]
沖縄家作人(やーつくやー)ネット
本部:098-869-3313
http://www.8298net.jp
一級建築士事務所FAD
098-874-8066
http://www2.odn.ne.jp/fad


撮影/比嘉秀明 編集/出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1687号・2018年5月4日紙面から掲載

お住まい拝見

タグから記事を探す

この記事のキュレーター

スタッフ
出嶋佳祐

これまでに書いた記事:110

編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。

TOPへ戻る