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2017年8月4日更新

中心に池がある家|アトリエ・ダグ・アーキテクト

[お住まい拝見・離れを生み出す役目も]本島南部の区画整理地に建つHさん(42)宅は、中心に池がある鉄筋コンクリート造平屋建て。涼を招き、子どもたちが遊ぶ池は、隣り合う居室を「離れ」のように分離する。


天井の丸い穴から差し込んで反射する光が印象的な池。3メートル四方で、左にLDK、中央奥にデッキ、右に和室があり三方を囲まれている。季節や時間帯によって光の入り具合が異なり、天井でゆらめく表情を刻一刻と変化させる
 

隠れ家のようなデッキ

Hさん宅
RC造/自由設計/家族4人

Hさん宅で何よりも目を引くのは、水色のタイルが張られた四角い池。3方をLDKと和室、さらにその2室をつなぐ半屋外的なデッキに囲まれている。水面は見ているだけで涼やかな上、反射した陽光が天井でゆらめく様子がなんとも幻想的に感じる。
夏場は幼い娘たちのプールとして池を活用。元気な声が響く。しかし、もともとはHさんの趣味でコイを飼う予定だったという。Hさんは「娘たちがめちゃくちゃ喜んで遊ぶので、魚はすんなり諦められた」と頬を緩める。
LDKは南側の庭に面した大開口や、庭に向かって高くなる勾配天井により開放感がある。窓を開けると犬が喜び庭と室内を行き来し、ロフトの上ではネコがまったり過ごす。
LDKと和室を結ぶ廊下の隣、茶室の「にじり口」にも似た小さな木戸をくぐった先にあるデッキは、ほの暗い隠れ家のような雰囲気で、子どもたちの遊び場に。夫人(38)は、「ロフトやデッキなど、娘たちが好きな時に好きな場所で伸び伸び過ごしている気がする」とうれしそう。


勾配のある天井や床のチーク材で木のぬくもりを感じるLDK。右上部のロフトは、外からの明るさを制御し、落ち着いた雰囲気にするため設けたもの
 

庭設けて趣味が変化

以前はマンションで暮らしていたが、3年半前に次女が誕生。知り合いに土地を紹介してもらったこと、親戚に建築士がいたことなど「ご縁が重なり」、家づくりを開始。建築士と相談しながら「家族が楽しめる個性的な家」を目指し、池が中心となる家になった。
背が低めの夫人に合わせて、高さや奥行きをオーダーメードしたキッチンからは、家中が見渡せる。「家具を造り付けにしたので、部屋がスッキリして見通しがいい」と子どもたちを優しく見守る。
 庭を設けたことで、Hさんの興味は魚から植物に。中でも、枝ぶりが特徴的なモンパの木が好きで、屋根の上にも置いている。帰りが遅い日でも、水やりをするとリラックスできるという。露天風呂も欲しかったというHさんは「今度は庭に五右衛門風呂を置きたい」と新たな楽しみを計画している。


玄関とLDKを結ぶ廊下。廊下でも子どもたちが遊べるように、幅は約1.5メートルある/庭。屋根の上にもHさんの好きなモンパの木が置かれている

池のおかげで離れのようになった和室


ここがポイント

水面近付け涼しく 屋上断熱で節約も

「魚を飼いたいというHさんの要望に応えながら、夏に涼しさを感じられるよう、どこからでも眺められる場所に池を設けた」と話すのは設計した建築士の下地恒さん。少しでも居室と水場を近付けるため、周りを囲むLDKや和室、デッキの床は、水面との段差をできるだけ小さくした。
また、夫婦は将来、夫人の母との同居も考えていた。2階建ても候補に挙がったが、下地さんは「土地が広かったので、池を挟んだ離れをイメージ」して、東側の和室を客間や将来的な母の居室として提案。「子どもたちが成長し、部屋が必要になった際には、池を埋めたり、LDK西側のスペースを仕切って部屋にすることもできる」と、家族の変化に合わせて柔軟に対応できる造りとなっている。
暑さ対策として、Hさん宅の屋上には断熱ブロックが敷き詰められている。一般的な熱の緩衝帯となる屋根裏の空間が不要となり、階高が抑えられるため、コストダウンへとつながるという。ブロックなら、塗料の塗り替えのような手入れがいらないのも利点だ。さらに西日による光や熱を遮るため、西側の窓は小さくし、ウオークインクローゼットや収納を配置した。
そのほか、LDKの床や天井に張られたチーク材は、木本来の吸湿性を引き出すため、あえて塗装せずにオイルだけで仕上げた。「年月がたった時に研磨して再生もしやすい」と話した。


和室から見た池。屋根がついて半戸外になっているデッキとの段差は約10センチ、奥のLDKの床とは約20センチしかない。「デッキで焼き肉をすると、においや煙がこもらないのでいい」と夫人

LDK隣の空間は、子どもが成長した際に、本棚などで仕切って部屋にすることもできる

緑いっぱいの外観。植物は道路からの視線を緩やかに遮る


[DATA]
家族構成 :夫婦、子ども2人、犬2匹、猫2匹
敷地面積 :243平方メートル(約73.5坪)
1階床面積:106.31平方メートル(約32.16坪)
建ぺい率 :54.47%(許容60%)
容 積 率:43.75%(許容150%)
用途地域 :第一種低層住居専用地域
躯体構造 :鉄筋コンクリート造壁式構造
設  計 :アトリエ・ダグ・アーキテクト 下地恒
施  工 :與那城組
電  気 :シロマ電気
水  道 :国設備工業
キッチン :MOV



[問い合わせ]
アトリエ・ダグ・アーキテクト
098-836-8813
http://www5.plala.or.jp/dug/


写真/比嘉秀明 編集/出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1648号・2017年8月4日紙面から掲載

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「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。

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