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2017年6月2日更新

木・風感じる片流れ屋根|木脇ホーム

[クーラーいらずの涼しさ]うるま市にある木造平屋建てのMさん宅は、中央にどんと構える大黒柱が印象的。ふんだんに使ったスギの香りが漂う室内は、ゆるやかな勾配の片流れ屋根で効率よく風が通り抜け、クーラー要らずの涼しさだ。

Mさん宅
木造/自由設計/家族2人


大黒柱と太鼓梁が目を引くLDK。左奥には寝室、右奥には洗面室があるが、天井近くには仕切りがなく、各居室がつながっているのが分かる

 

縁側が夫婦の憩いの場

柱や梁、室内外の壁、床など、あらゆる部分に無垢のスギ材が使われているMさん(62)宅。玄関に足を踏み入れた途端、ふんわりとした木の香りが訪問者を包み込む。
中でも目を引くのが、家の中央に位置する30センチ角の大黒柱だ。天井の最大高さは4.7メートル。太い太鼓梁が頭上を行き交うLDKの中で、ひときわ大きな存在感を放っている。木のあたたかみなどが好きだというMさんは「木目を見ていると、ゆったりした気持ちになる」と満足そう。
仕事が休みの日には、敷地の南にある約400坪の畑で一日を過ごすMさん。一息入れるときは、広いリビングで大きな布を広げてパッチワークを楽しむ夫人(62)に声をかける。二人で縁側に並んで座り、畑を眺めながら「今はパッションフルーツやゴーヤーが育ってきているよ」など会話も弾み、縁側が憩いの場となっているようだ。


掘りごたつのあるリビング。木目がきれいに見えるよう、壁面には基本的に何も飾らない。Mさんは「本当は時計も外したいぐらい」/写真左。縁側に座り、畑を眺めるMさん夫妻。畑の作物の話をしながら、ゆったりとした時間が流れていく/写真右

 

故郷に縁あり親近感

宮崎県出身のMさんは定年を前に家づくりを決意。「畑を楽しむため」の広い土地を、夫人の実家がある沖縄本島内で求めた。依頼先は、夫人の妹世帯が15年ほど前に建てた家の住み心地などを確認し、木造専門の同じ建築会社にした。「親会社が宮崎県にあったり、宮崎産のスギ材を使ったりと親しみも湧いた」。
勾配のゆるやかな片流れ屋根と、天井部分で各居室をつないだ造りによって、窓を開けると南から北へと爽やかな風が抜ける。湿気がこもらず、夫人は「以前住んでいた鉄筋コンクリート造の建物は、雨が降るとすぐにジメジメしてカビが生えていた。今は雨が降ってもサラサラする」と喜ぶ。クーラーも要らず、リビングの床に直接ごろんと寝転がると、眠ってしまうほど気持ちいいという。
造りつけの家具は床から浮いているので掃除もラク。片手に掃除機、もう片方の手にはモップを持ち、小まめに掃除するMさんは「住み始めて4年。経年変化で木に味わいが出てきた分、愛着も増してきた。大事に住み続けたい」と話した。


ここがポイント

風通しを効率良く
北に高くなる屋根

Mさん宅の特徴の一つが、南から北へと高くなる片流れの勾配屋根と北側の高窓によって得られる「風通しの良さ」だ。室内は天井をはらず、屋根材である野地板が直接見える造りとしたことで、南から入った風が野地板に沿って、上にたまった暖かい空気を効率よく押し出す。

木脇ホームの福森勇所長は「家全体を一つの大きな空間として捉え、各居室も天井部分でつないだので空気が滞留しない」と話す。家のカタチも、南北は短く東西に長くして、風が通りやすくした。涼しい風がよく通るため、Mさん宅ではクーラーを設置していない。

「夜寝るときに安心して窓を開け放てるようにできないか」というMさんの相談を受けた福森所長は、寝室や和室の窓にセットできる格子状の木枠をオリジナルで作成。サッシの溝にはめ込み、開いた窓が動かないよう固定できるので、防犯アイテムとして役立っているという。

部屋の配置は、南に開き、水回りが北西にある伝統的な沖縄の住まいを参考にしながら、シンプルな形にしてコストを抑えた。南側の屋根を約1.5メートル伸ばしたアマハジ空間や、玄関の外でヒンプンとなる壁も設けた。

そのほか、将来を見据え、バリアフリーを意識。フラットになるよう、引き戸は上からつり下げ、下のレールをなくした。


片流れの勾配屋根が特徴的な外観。風通しをよりスムーズにするため、一般的な屋根より緩やかな、3寸勾配にしている。手前には約400坪の畑が広がり、季節の野菜を育てている


南西角にある寝室。窓にはめ込んだ特製の木枠によって、夜でも安心して窓を開け放して眠れる/写真左。太い梁や板壁が畳とマッチする和室。Mさん夫妻の子や孫たちが遊びに来たときには、この部屋に泊まる/写真右


寝室にある欄間。火災などがないようにとの願いを込め、これまで何事もなかった、宮崎にあるMさんの実家から持ってきた​



[DATA]
家族構成 :夫婦
敷地面積 :386.46平方メートル(約116.90坪)
1階床面積:92.75平方メートル(約28.05坪)
建ぺい率 :27.97%(許容200%)
容 積 率:24%(許容60%)
用途地域 :無指定
躯体構造 :木造軸組み
設  計 :木脇ホーム 福森勇
施  工 :木脇ホーム


[問い合わせ先]
木脇ホーム
098-989-8991
http://kiwaki-okinawa.com
 


写真/高野生優(フォトアートたかの) 編集/出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1639号・2017年6月2日紙面から掲載

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「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。

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