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2017年5月12日更新

森に開くテラスが魅力! 自然を感じる家|プラソ建築設計事務所

【同敷地に3世帯 程よい距離感】沖縄県那覇市の広い敷地にMさん宅、実家、妹世帯が建つ。3世帯がコの字に並び庭を共有する一方、Mさん宅の開口部は庭を背に、敷地の東端にある森を向く。外は「共」、内は「個」、程よい距離で暮らす。

Mさん宅
RC造/自由設計/家族4人


Mさん宅のLDKは、仕切らず段差でメリハリを付けている。左側はテラス。テラスの外(東側)には森がある。東側に大きく開いた造りで、外からの視線を気にせず景色を楽しめる

2階、ダイニングの東側には和室がある。紫色の壁は、外の緑に合う色を試行錯誤してたどり着いたそう。
 

1・2階 役割を逆転

Mさん(49)宅が建つ前、ここには祖母の家があった。当時から東側一面に木が茂り、夫人(39)は「1階のリビングやキッチンがとても暗かった」との印象があった。
そこで新居は1階と2階を逆転。1階に寝室や子ども室、浴室やトイレを配置し、人の集うLDKや和室、テラスは2階へ上げた。
祖母の家では光を遮っていた木々も、新居の2階から見下ろせば「癒やしの緑」。あえて森(東側)に向かって大きく開いて光と風を取り込み、景色も存分に楽しむ。
特にデッキテラスは、緑が目前に揺れる一等席だ。三方が壁で囲われたそこは「台風じゃない限り、雨は入ってこない」。絨毯(じゅうたん)を敷き、テーブルや棚を置いて居室のようにしている(下写真)。「朝起きて2階へ上がったら、まずはテラスでボーっとする」と夫人。
敷地内には実家や妹世帯も建つが、テラスは敷地の東端を向いており、他世帯から見えず、「気兼ねせずにくつろげる」。庭を共有しつつ、景色は専有。「つながりも、プライベートもしっかりある。心地よい距離感で暮らせている」と話す。


森の緑を目前に楽しめるテラス。三方を囲まれており、雨風が入りにくい。絨毯が敷かれ家具が置かれたそこは、もはや居室の一つ。夫人は「食事をするのはもちろん、ゆんたくしたり考え事をしたり、当たり前にここで過ごす」と話す
 

ゆるりとつながる

本土で暮らしていたが、夫人の母が体調を崩し、帰沖。実家のそばに家を建てようと、情報紙やインターネットで建築士を探して「感覚が近く、家族のつながりを大事にしてくれそうな」建築士に依頼した。
実家や妹世帯とは付かず離れず、家族はどこにいても気配が感じられる距離感を要望した。
2階は仕切らず段差でメリハリを付けたほか、家の中央には1・2階をつなぐ吹き抜けがあり、階が離れていてもなんとなく気配が伝わる。
建築士はMさん宅を「絆の家」と呼ぶ。それは干渉でも放任でもなく、ゆるりとつながれる住まいだった。


和室とダイニングの間にあるブロック壁の中は、1階から続く吹き抜け。キッチンで料理をしていても「下の子ども室の様子が分かる」と夫人/写真左。1階の子ども室は、スタディースペースとベッドルームに分かれている。姉弟が仲良く宿題をする/写真右

Mさん宅の外観。コンクリート打ちっぱなしでシンプルな造り。右側に見えるのが実家。中央の芝庭を三世帯で囲む。庭はMさん宅から見ると西にあるので、西日対策の意味でもあまり庭へは開かず、東側にある森に向かって開いている


ここがポイント

あえて庭背に開く 家中央に吹き抜け

すでに実家と妹世帯が建っている敷地で、どう程よい距離感を保つかがポイントとなった。
プラソ建築設計事務所の小林志弘さんは、Mさん宅を二つの世帯の間に配置。三つの世帯で庭を共有する一方で、開口部は庭と反対側の東側へ多く設けた。
外は「共」、室内は「個」という線引きができただけでなく、「東側には豊かな自然がある。これを生かさない手はない」との狙いもあった。
緑が最もよく見える場所にはテラスを設けた。開口を一方に絞って外からの視線を遮りつつ、緑を絵画のように切り取る。「外からのぞかれずに自然を楽しめるここが、家族のリラックスルームになるように」との思惑は見事に当たった。
また、1階に子ども室があり2階にLDKがあるMさん宅で、「階で気配を分断しない」ことも重要だった。
小林さんは大胆にも、家の中央に階をつなぐ吹き抜けを設ける提案をした=下断面図参考。
1階・子ども室のそばから2階・キッチンのわきへ続く吹き抜けは、親子をつなぐとともに、木々にふさがれ暗くなりがちな1階に光と風を届ける。和室に来客が泊まるときには、LDとの間で緩衝帯の役目も果たしている。



[DATA]
家族構成 :夫婦、子ども2人
敷地面積 :2876.1平方メートル(約870.20坪)
1階床面積:55.59平方メートル(約16.82坪)
2階床面積:58.21平方メートル(約17.61坪)
建ぺい率 :0.02%(許容50%)
容積率  :0.04%(許容100%)
用途地域 :第一種低層住居専用地域
躯体構造 :鉄筋コンクリート壁式構造
設  計 :プラソ建築設計事務所 小林志弘
構  造 :鈴江構造計画室
施  工 :(有)友建産業
電  気 :(株)大幸電設
水  道 :㈲共和設備
キッチン :(有)MOV


[問い合わせ先]
プラソ建築設計事務所
098-989-0222
http://plaso.jp/


写真/比嘉秀明 編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1636号・2017年5月12日紙面から掲載

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東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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