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2017年2月24日更新

色が楽しい木造住宅|アトリエPAD 一級建築士事務所

沖縄本島中部のうるま市、海の見える高台に建つ宮里さん(37)宅。夫妻の好きな家具やインテリアが彩る洋風の木造平屋は、部屋ごとに違うカラフルな壁色が魅力。集う家族の笑顔があふれる。

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高台に建つ洋風の平屋

宮里さん宅  木造/自由設計/家族5人

天井高最大3・5メートル、吹き抜けになったリビング・ダイニング。ライトグリーンの壁色が爽やかな空間に、アメリカン家具と夫妻こだわりの照明が映える。左奥はキッチン


子育ても家事も充実
「家を建てるならモダンな打ち放しか洋風か、おもいきり個性的にしたかった」と話す宮里さん。海外生活が長い夫人(37)の希望も交えて選んだのは、洋風の木造住宅だった。「熱気がこもりにくく、夏も涼しく過ごせています」。
玄関を入ると鮮やかなオレンジの壁が目を引く。「壁にはいろいろな色を使いたかった。家に入った瞬間から癒やされます」と夫人。キッチンはビビッドなピンク、トイレはラベンダー、子ども室はさわやかな水色と、塗装仕上げのカラフルな壁色は目にも楽しい。宮里さんは、「ペンキは色数が豊富で塗り替えもしやすい。将来、子どもたちが壁色を変えたいと言えば一緒に塗りたい。家族の思い出にもなるので」とにっこり。
吹き抜けになったリビングダイニングは明るく開放的。一角に設けた小上がりの畳間は、「子育てに便利で、お客さまも腰掛けられる」と夫人が希望した。「長女(4)と長男(2)は、ステージのように使ってます。家中を走り回って遊ぶ子どもたちを見ているのが幸せ」と目を細める。

家具に合わせて
「いずれは家を建てたい」と、結婚当初から土地を探し、インテリア小物を集めていた。住んでいた借家を出ることになり、家づくりが本格化した。
見つかった土地は、互いの職場の中間で夫人の実家にも近い場所。設計は結婚前に新聞で見て以来、心に留めていた建築士に依頼した。「10社ほど回り、見学会にもいろいろ行きましたが、手掛けた住宅が妻のイメージにピッタリでお願いしました」と宮里さん。
照明器具はすべて夫妻で選んで購入。各部屋の広さや造りは、手持ちのソファやテーブル、ベッド、チェストに合わせてプランしてもらった。家事が効率的にでき、すっきり片付くよう屋内物干し場や食品庫も要望。「小屋裏収納も便利。詰め込まずにぜいたく使いしています」と夫人は笑う。
暮らして2年。次男(0)も生まれ、さらににぎやかに。「廊下の壁に子どもたちの写真を飾って、家族のギャラリーにしていきたい」と夫人。宮里さんは「庭づくりに取り組みたい」と、楽しみは増すばかりだ。


リビングからダイニングを見る。小上がりの畳間は子どもたちの遊び場に。黒色の畳で洋風の空間になじませた


夫人お気に入りのキッチン。レンジなどの調理家電は、オリジナルで作ってもらった扉付き収納に収めてスッキリ。窓際のカウンター下の引き出しには、旅行の際に買い集めていた取っ手を取り付けた


オレンジの壁色が鮮やかな玄関。正面には大容量のシューズクローゼットを設けた


ここがポイント
強風逃がす屋根勾配

北東側に海が見える風当たりの強い高台にある宮里さん宅の躯体構造は、木造軸組み工法。設計にあたり、建築士の饒平名知善さんが第一に配慮したのは風対策だ。まずは、風が当たる建物の面積を減らすため平屋建てに。東側から吹き上げてくる強風への備えとして、主屋根の勾配を東西につけることで屋根づたいに風が上空に逃げるようにした。
室内はリビングや各居室から海が眺められるよう、東側に子ども室や主寝室を配置。西側には水回りをまとめ、家事動線のコンパクト化を図った。またプライバシーにも配慮し、南北でパブリック空間とプライベート空間を明確にゾーニング。「夫や私に来客があっても、家族はゆっくりくつろげます」と夫人は喜ぶ。
宮里さん宅で印象的なのが、リビングの吹き抜け空間。「吹き抜け天井にしたいが、梁はできるだけ見せたくない」という夫妻の希望を受け、梁の設け方を工夫した。
通常は水平にわたす梁を、施工に携わった大工の提案で、屋根の小屋組みと兼用して斜めにかける登り梁に変更。梁の間隔も2メートルから1・5メートルに狭めた。饒平名さんは、「プレカット材だけではできない造り。大工さんに手組みをしてもらいました。勾配天井になることでより圧迫感なく、吹き抜け空間を大きく取ることができました」と説明する。


シックな雰囲気の主寝室。室内西側(写真奥)にはトイレとシャワールーム、ウオークインクローゼットが設けられている。天井の一部は小屋裏収納になっている


子ども室。出入り口と収納を二つ用意し、将来は仕切って2部屋にできるようになっている。「3人目が生まれたので、天井高を生かしてロフトを設けるのもいいかな」と宮里さん。


ラベンダー色の壁が目を引くトイレ。手洗いや鏡など、小物までこだわり、おしゃれな空間に


北側の外観。塀やアプローチには曲線を取り入れ、柔らかな印象に。屋根にはスペイン瓦を

[DATA]
家族構成:夫婦、子ども3人
敷地面積:295.12㎡(約89.27坪)
1階床面積:118.70㎡(約35.90坪)
建ぺい率:41.60%(許容60%)
容積率:40.22%(許容200%)
用途地域:未指定
躯体構造:木造軸組み工法
設計・構造:アトリエPAD 一級建築士 事務所 饒平名知善
施 工:琉球ストーク(株)
電 気:南電設
水 道:宮尚設備
キッチン:TOTO
造作家具:Spool
[設計・問い合わせ先]
アトリエPAD 一級建築士事務所
098-934-3235
http://pad-cy.sakura.ne.jp
写真/比嘉秀明 撮影  編集/比嘉千賀子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1625号・2017年2月24日紙面から掲載

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比嘉千賀子

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編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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