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2015年11月6日更新

開放感そのまま|(有)アトレ設計

Nさん(67)宅は築22年。沖縄県那覇市小禄の区画整理地に建つ。高い天井と換気塔からの光で開放感いっぱいのLDKは、今も家族のお気に入り。パソコンコーナーを増築して、使いやすく。外壁も2度塗装し、大切に住んでいる。

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LDK 天井高く

Nさん宅(第494号・1995年2月24日掲載)築22年

 


2階LDK。高い天井と換気塔からの光で開放感いっぱい。天井高は3・2メートル、ダイニング上の換気塔まで含むと、5メートル近くにもなる。キッチン側の壁にはめ込まれた緑の琉球ガラスが彩りを添える


Nさん宅は2階建て。1階に母親、2階にNさん夫妻と長男(29)の3人が暮らす二世帯住宅だ。
Nさん世帯へは、建物西側の外階段から入る。
玄関ドアを開け、室内に入ると、LDKの高い天井と、換気塔からの光に目を奪われる。夫人(57)は「家族みんなのお気に入りの場所。建築士に強く要望した場所だから」と目を細める。ソファでは、Nさんや長男がテレビを見ながらくつろぎ、県外から帰省した長女(25)も自然とリラックスするという。
北側の壁際にあるキッチンは、夫人が家族の気配を感じる場所。「リビングに居る家族はもちろん、以前ベランダで飼っていた犬の様子まで分かるほど」と夫人。キッチンの隣、小上がりになった廊下の一角にはパソコンコーナー。家で仕事をすることが多い夫人の要望で15年前に造ってもらった。
母親(82)はNさん家族とユンタクをしに、内階段から2階へ上がってくる。「私たちもご飯を届けに1階に行くので、互いによく行き来しています」。母親のために手すりも設置。新築からこれまで、防水塗装を2回した。

周辺環境が大変化
実家の敷地の一部が区画整理事業の道路用地に掛かったのを機に、Nさん夫妻は換地した土地に母親らとの二世帯住宅を建てることにした。設計は、夫妻の知り合いで人柄も作風も知っていた建築士に頼んだ。
それから22年。周辺環境は新築当時と大きく変わった。マンションなどが建ち並び、車の往来も増えた。夫人は「風通しの良さからジャロジー窓にしましたが、当時の製品は気密性が不十分。隣家の室外機が近くて開けられないし、雨も吹き込む。寝室や浴室などは取り替えました」と苦笑い。
現在は2階で暮らすNさん夫妻だが、母親のために生活の場を1階に移すことを考えている。「今が暮らし方の変わり目。これからもさらに変わるのでしょうが、より良く暮らしたい」と話した。


廊下から見たダイニング・キッチン。「ワンルームだから、カウンター収納を置いても圧迫感が出ないのがいい」と夫人。ダイニングテーブルは、新婚以来30年使い続けている一品


パソコンコーナー。キッチン隣にある造り付けの机が手狭になり、15年ほど前、廊下の途中に増築して造った


リビングから見たテラス。デッキも外壁の塗り替えと共に張り替えた。「これからはバーベキューを楽しみたい」と夫人

空間にメリハリ
Nさん宅を印象付ける高い天井の2階LDK。LDKの真下に駐車場を置いて駐車場の天井高を抑えることで、2階は開放的な空間を実現。LDKと主寝室や子ども室側の床高を変え、オープンな造りのまま、公私の空間の違いが感じられる造りに。空間にメリハリを生んでいる。


敷地北側の前面道路から見た外観。ライトグリーンとクリーム色の組み合わせが優しい印象。ことし9月に2度目の防水塗装をした
 

設計者・親泊仲真さんに聞く
上下階の配置を検討

「LDKは開放感いっぱいに」。Nさん夫妻の強い要望でした。二世帯住宅だったこともあり、1階に住む母親世帯の快適さをどう確保するかも、設計のポイントになりました。
そこで2階LDKの下を車庫に充て、車庫の天井高を2.4メートルと低くする代わりに、LDKの天井高を3.2メートルと高くしました。そこ以外は1階2階とも天井高は同じ2.5メートルになっています。
そのため、2階の廊下や主寝室、子ども室は、LDKよりも70センチほど床が高くなっています。その段差が、仕切らずとも公私の空間の違いを感じられる効果も生んでいます。廊下に本棚を造り付けて書庫の機能もプラス。限られた空間を有効利用しました。
ダイニング上の換気塔は、室内の熱をスムーズに外に逃がすために設置。高窓からふんだんな光をもたらし、LDKの天井高を一層強調してくれます。
Nさん宅の敷地は、東西に長い平行四辺形に似た形。北側に道路、南東側に河川、東・西・南側に建物ができる可能性がありました。それらを踏まえて、南東側に庭を置いて隣家との距離を取り、南からの風を取り込みやすくしました。
できて22年がたちますが、外壁を防水塗装したり、使いやすいように改装したりと、夫妻が大切に使ってくださっているようで何よりです。


[DATA]
家族構成:夫婦、子ども1人、母親
敷地面積:397.32㎡(約120.4坪)
1階床面積:152.58㎡(約46.2坪) 2階床面積:126.61㎡(約38.4坪)
建ぺい率:50%(許容60%) 容積率:79%(許容100%)
用途地域:第1種住居専用地域(建築当時)
躯体構造:鉄筋コンクリート造ラーメン構造
設 計:(有)アトレ設計 親泊仲真
完成時期:1993年12月

[設計・問い合わせ先]
(有)アトレ設計
098-834-7430
写 真/比嘉秀明撮影
編 集/週刊タイムス住宅新聞編集部

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1557号・2015年11月6日紙面から掲載

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