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2016年11月25日更新

洗練された木造空間|(株)GOSiZE

沖縄本島中部の高台に建つUさん宅は、インテリアにこだわったスタイリッシュな木造住宅。2階のリビング・ダイニングの大開口から望む海と緑、吹き込む風に時間を忘れる空間だ。

海望む高台に大開口の家 インテリアの魅力存分に

Uさん宅 木造/自由設計

2階のリビング・ダイニングは、整然と並ぶ天井の化粧梁が印象的な洗練された空間。海を望む大開口を開けるとデッキテラスまで一体化。愛犬が元気に駆け回る


イタリア家具と調和
Uさんの住まいは、北側に海を望む高台の住宅地に建つ木造2階建て。1階に個室やウオークインクロゼット、浴室があり、眺めのいい2階にLDKと和室が配置されている。
外国での生活が長く、愛用しているイタリア家具はサイズが大きなものばかり。Uさんは、「家具が収まり良く調和する空間がほしかった。構造体も内装も自然素材のものでと決めていました」と話す。
家具ありきでプランした30畳のリビング・ダイニングは、柱のない広々とした空間。北側の幅8メートル弱の大開口からの眺めは、「毎日、毎時間、海の色が違うので、ずっと見ていても飽きないです」。
内装デザインやインテリアの色や質感も、家具との調和を重視して選んだ。壁はしっくい仕上げで、一部を石張りに。床にはイタリア製の大判タイルを敷いた。「床をタイル張りにした効果で、足音が1階に響かないですね」。
朝一番に窓を全開して風を通すのがUさんの日課。仕事柄、移動が多いこともあり、「家は気持ちを静め、リセットする場。景色を眺めながら犬たちとゆったり過ごすのが癒やしの時間です」。

沖縄の家相を重視
東日本大震災をきっかけに沖縄へ移住したUさん。「ロケーションの良さと静かさ、そして風水にもこだわって」探し、現在の敷地を購入した。
設計は、仕事で付き合いのあった知人の紹介で、大阪を拠点に全国各地で住宅や店舗、ホテル旅館などの設計を手掛ける建築士に依頼した。「インテリアにも強く、照明計画まで含めてトータルでコーディネートしてもらいました」。
家づくりでは、沖縄の伝統的な家相を重視。海外で暮らしていたときに沖縄の家相に関する書籍『カミングヮ』に触れ、感銘を受けた。「書籍を参考に沖縄の家相を踏まえ、玄関や水回りの配置など建築プランを構成しました」と建築士は話す。
細かな部分まで打ち合わせを徹底。建築中、Uさんは毎日のように現場に足を運び、職人にも細かく希望を伝えた。「建築士さん、職人さんが一緒になって、ほしい家を造り上げてくれた。好きなものに囲まれ、人も犬もストレスなく暮らせています」と満足そうにほほ笑んだ。


2階のリビング・ダイニングは、家具との調和を重視してデザイン。奥の石張りの壁は職人が1枚1枚手作業で仕上げた。照明も家具が美しく見えるように建築士がプラン。写真右手の引き戸の奥にはテレビが収まっている


敷地北側に設けた庭から見た外観。2階の大開口が目を引く。2階の庇(ひさし)とデッキテラスは奥行きが約1・8㍍あり、日差しや風雨を和らげる


ここがポイント
柱に頼らず大空間生む

Uさん宅の敷地は、前面道路のある南側に集合住宅、東西にも住宅が建つ。開けた北側の景色を存分に楽しめるよう、建築士の藤田豪さんは大きく北に開く設計を提案した。
最もダイナミックなのが2階のリビング・ダイニングで、開口部の幅は約8メートルある。室内には柱もないため、どこからも視界は良好だ。木造住宅で柱に頼らない大空間と、幅の広い開口部をつくるには、「フレームをしっかり組み、壁量(耐力壁の長さ)を十分に取ることがポイント」と藤田さん。
まず天井では、2本の大梁と90センチ間隔で入る垂木が屋根を支える。北面では開口部の両側に設けた幅約2・5メートル(東側)、約2・3メートル(西側)の壁に加え、開口部中央の約1・8メートルのはめ込み窓が支えとなり空間を構成、大開口が生まれた。北側の庇やテラスを約1・8メートルと深くし、室内に入る日差しや台風時の風の吹き上げを和らげる。
内装材もこだわったUさん。2階は床材を75センチ角の分厚いタイル張りにしたため、かなりの重量に。「床梁の間隔を通常よりも狭めることで、タイルの重さを支えています」。構造材などは、耐久性とシロアリへの強さを考慮。沖縄の気候風土をよく知る県内の施工会社や大工と相談し、ヒノキや赤身のスギを選んだ。藤田さんは「腕のいい沖縄の職人さんに出会え、沖縄になじむデザイン性の高い木造住宅づくりができた」と話す。


海をイメージして深みのあるブルーをインテリアに取り入れた1階の寝室。北側の掃き出し窓の外にはデッキテラスが続き、庭にも下りられる​


深い庇のある1階のデッキ。塩害を考慮し、外壁にはフッ素樹脂塗装を施した​

愛犬にも優しい工夫とデザイン

①玄関には、宮古上布を使った照明が。1階の床は、傷が付きにくく犬の足にも優しいタモ材。上がりかまちだけ名栗加工が施され、足触りの変化も楽しい


②1階のトイレは、愛犬が出入りしやすいようドアの下部は独立して開け閉めできる。Uさんの発案だ


③階段を華やげるレザーパネルは建築士の提案。壁に直接レザーを貼り、凹凸を調整して仕上げている


④2階のトイレは鮮やかな赤壁。家相の観点から壁付き、壁排水の便器を採用している


⑤タイル張りでモダンな雰囲気にした浴室

[DATA]
敷地面積:695.37㎡(約210坪)
1階床面積:128.56㎡(約40坪) 2階床面積:106.20㎡(約32坪)
建ぺい率:18.49%(許容60%) 容積率:30.54%(許容200%)
用途地域:未指定
躯体構造:木造
設 計:(株)GOSiZE 藤田豪
構 造:玉木構造事務所
施 工:佐藤建築
電 気:中本電気
水 道:(有)當山設備興業
造 園:艸木

[設計・問い合わせ先]
(株)GOSiZE
06-6372-2661
http://www.gosize.com
写真/高野生優 フォトアートたかの撮影  編集/比嘉千賀子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1612号・2016年11月25日紙面から掲載
 

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住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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