空間シンプルに 家中がリゾート|間+impression|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

お住まい拝見

お住まい拝見

2015年7月17日更新

空間シンプルに 家中がリゾート|間+impression

沖縄本島中部、北谷町の高台にあるIさん(35)宅は、鉄筋コンクリート造2階建て。1階は駐車場で、2階が居住空間になっている。室内は光と風が満ち、西海岸を望む眺めが心地よい。Iさんは「リゾート感のある雰囲気にしたかった。家で過ごす時間が長くなりました」と笑う。

お住まい拝見

タグから記事を探す

景色と涼風に癒やされ

Iさん宅(家族4人) 自由設計、RC造


2階の玄関。正面をフィックス(はめ込み)窓にすることで、その先に設けた坪庭の緑と、空が織り成す風景が癒やしに

子どもも伸び伸び
家を建てるにあたり、Iさん夫妻がイメージしたのは、開放的で品の良い「リゾートの雰囲気」。玄関ドアを開けた瞬間、正面にある坪庭の緑に癒やされる。
室内はキッチンを中心に、東側に水回り、北側にプライベートルームがまとまっている。夫人(34)が特に気に入っているのが水回りの動線。「来客時も気にせず使えるし、スムーズに動ける。生活感が出ないのもすごくいい」。
眺めの良い西側には、LDKとウッドデッキテラスが広がる。白が基調のLDKは、天井が高く開放的。吹き抜ける風も心地よい。深い軒がかかるテラスは、子どもたちの遊び場。長女(1)はデッキでハイハイし、長男(6)はハンモックで絵本を読む。夫人は「プール遊びや花火見物も楽しんでます」と、目を細める。
「子どもが楽しく動き回れるように」とIさんが希望したのが、段差を取り入れた造り。子ども室はLDKより半階下に設けた。キッチンからガラスの壁越しに見下ろせるため、「家事をしていても様子が分かるから安心」と夫人。

家族で楽しく飾る
建築関係の仕事に携わるIさん。以前は外国人住宅を借りて住んでいた。「息子も生まれ、家が必要だと夫婦で相談。35歳までには建てようと決め、頭金を貯めた」。
見晴らしの良さが気に入った土地を購入。リビングを2階に設け、海に沈む夕日が楽しめる家を思い描いた。Iさんは手書きのイメージ図を手に、ホームページで見た作品が気に入った建築士を訪ね、設計を依頼した。
建築中も足しげく現場に通ったIさん。「スキップフロアや深い軒など、難しい仕上げも多かったと思う。いい職人さんに恵まれた」と感謝する。
住んで1年余り。「好きだったリゾートホテルに出かけることも減り、人を招くことも増えました」と夫人。母親や妹が来ると、広々としたキッチンで一緒に料理を楽しむ。
「両親やきょうだいも植物などを持ち寄ってくれるので、家族みんなで家を楽しく飾っている感じ」とIさん。月日を追うごとに、家族の愛着と彩りが増す。


玄関側からLDKを見る。西側にはウッドデッキテラスが広がり、窓を開け放つと心地よい風が流れ込む


東から西に下がる天井の高さは、最高4メートル。明るく開放的な2階LDKは、家族の集いの場


深い軒がかかるウッドデッキテラスからは海も見え、子どもたちの遊び場としても活躍している


ここがポイント
眺め重視西に開く 高さ変えリズム感

Iさん宅の敷地は、北側に前面道路、南側に崖がある台形地。夫妻の希望を踏まえ、一級建築士の儀間徹さんは「眺めの良さ」「目線の届く範囲とスムーズな動線」「動きのある空間デザイン」を重視したプランを提案した。
住空間を2階にまとめ、LDKは眺めの良い西側に配置。幅約6メートルの大開口部を設けた。東から西に下る高い天井。東側に設けたハイサイドライトからも自然光を取り込む。西日を遮るため、LDKに続くウッドデッキテラスは、軒を最大3メートルと深く取った。儀間さんは「沖縄民家の雨端のようなイメージです」と話す。
家事動線は、来客の目線にも配慮。リビングから直接見えないキッチンの背後(東側)に水回りをまとめ、スッキリみせながらスムーズに家事ができる間取りを実現した。
空間にリズムを生んでいるのがスキップフロアだ。LDKのあるフロアから約1・5メートル下げて、子ども室(北側)を配置。「ダイニングやキッチンから目が届くよう、キッチン北側の壁はガラス張りにしました」。さらに、段差を利用して、子ども室上部にはロフトとルーフテラスを、ウオークインクロゼットの下部には大収納(倉)も設けた(下スケッチ)。
家族のつながりを大切にしながら、空間をリズミカルに無駄なく活用するアイデアが光っている。


儀間さんによるIさん宅のスケッチ


南側の外観。西海岸を望む眺めを生かすため、居住スペースを2階に置き、西側に大きな開口部を設けた


リビング向かいにある小上がりの和室は、天井高を210センチと低く抑え、落ち着いたたたずまい。下部収納は子どものおもちゃ入れに


浴室。バスコートを通して、柔らかな自然光と爽やかな風が届く


道路に面した北側は、花ブロックやすりガラスを取り入れたデザインになっている

[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:331㎡(約100坪)
1階床面積:93㎡(約28坪) 2階床面積:118㎡(約36坪)
建ぺい率:48%(許容60%) 容積率:51%(許容150%)
用途地域:第一種中高層住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート造ラーメン 構造
設 計:間+impression 儀間徹
構造設計:建築設計 庵
施 工:(有)開成建設産業
電 気:正祥電工
水 道:(有)當山設備興業
キッチン:LIXIL

[設計・問い合わせ先]
間+impression
098-892-3635
http://ma-impression.com/
写 真/高野生優・フォトアートたかの撮影
編 集/比嘉千賀子

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1541号・2015年7月17日紙面から掲載

お住まい拝見

タグから記事を探す

この記事のキュレーター

キュレーター
比嘉千賀子

これまでに書いた記事:153

編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

TOPへ戻る