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2015年7月10日更新

つながり緩やかに 39坪に豊かな空間|(有)空間計画アーティザン

小さい敷地でも、自分たちの暮らしに合った家を-。沖縄本島中部、古い住宅密集地に建つナザレノ・クリスさん(42)宅は、外観は2階建てに見えるが、内部は半階ずつずれた3層構成。39坪の敷地ながらも、スキップフロアを生かし、明るく、実際の床面積以上の広がりを得た。

明るく、面積以上の広がり

ナザレノ・クリスさん宅(家族5人) 自由設計、RC造


玄関から半階上がったフロアにあるダイニング・キッチン。右奥の色ガラスをはめ込んだ壁の下部にある小さい引き戸は、買い物の荷物を玄関やガレージから直接運び込むための窓 

DKが集いの中心
建物のほぼ中央にある階段を軸に、居室が左右に振り分けて配置されているナザレノさん宅。1階に駐車スペースとダイニング・キッチン(DK)や水回り、中2階に個室2室、2階に居間と個室2室、3階にはオープンテラスが続く。
「各居室が半階違いで緩やかにつながっていて、どこに居ても家族の様子が伝わる」とナザレノさん。適度なプライバシーを保ちながら、階段の手すりや踏み板のデザイン、開口部の工夫で、視線の抜けと採光が得られ、明るく落ち着いた雰囲気。
玄関から半階上がった右手にあるDKは、家族の集いや子どもたちの遊び場だ。「キッチンや浴室などをまとめて広めに取ってもらったので、子どもの様子を見ながら家事ができて便利。遊びに来た友人も、ここなら気兼ねせず過ごせるみたい」と夫人。
さらに階段を上がると、テラスや空へと視界が開ける居間が広がる。「DKとはあえて別の階に配置し、スタジオのような造りにしてもらった」とナザレノさん。好きな音楽や映画を心置きなく楽しめ、家族の大きな趣味室としても活躍している。

好きな色、趣味楽しむ
祖母が暮らしていた住宅の老朽化による建て直しが、家づくりのきっかけだった。「家族のつながりを重視しながらも、プライバシーも保てるように。好きなことが楽しめる家にしたい」と思い描いた夫妻。
DKと居間は分けて確保し、個室は4室。ガレージも…。希望を胸に建築会社を何社もあたるが、どこからも「無理」との答え。そこで「スキップフロアなど提案力がある建築士に頼むしかない」と、住宅情報紙で見つけた設計事務所に依頼することに。「思い切って相談したら、やってみましょうと言われて、すごくうれしかった」。
完成したのは、好きな色や趣味を多彩に盛り込んだ住まい。「周囲から『変わった造り』と言われますが、わたしたちにはとてもなじむ家」と夫妻。希望の内容はもちろん、「家事のしやすさや空間のつながりに配慮された細やかな工夫が、住みやすさにつながっています」と笑った。 


1階、キッチン側から階段を見る。壁の色や壁にはめ込んだガラス、キッチンもすべて夫妻がコーディネートした


夫妻の好きな色をあしらった外観。レモンイエローに赤色のアクセントが目を引く


「雨の日もぬれずに車に乗り降りでき、車の手入れも一日中楽しめる」というビルトイン・ガレージ。床下には車体下をメンテナンスするための空間も設けられている


ここがポイント
動線コンパクトに 細部で「抜け」確保

敷地の東側にアパート、南と西側には隣家が迫る環境。設計を担当した建築士は、規定の建ぺい率と容積率内に必要なスペースを収めるため、廊下は最小限で計画。さらに、各フロアへの動線となる階段を中央にコンパクトに設けて縦と横のつながり、広さを確保した。これにより、上下階の程よい距離感も保てる。
「敷地を1・5メートルほど高くし、隣家と直接視線が合わない位置に開口部を配置。プライバシーと通風や採光を両立しました」
圧迫感を解消するための配慮も随所に見られる。壁や階段の手すりを大きなアーチ型にすることで、鋭角な部分を減らして優しく仕切ったほか、階段の踏み板は薄く、手すりも極力細くして視線が抜けるよう仕上げた。趣味の音楽を鑑賞したり、楽器を練習する居間は、テラスを設けることで開放感たっぷり。
家事や子育ての場となるDKは、浴室や洗濯物干し場への動線をまとめて配置し、動線を短く。キッチンの壁の一部には小窓を設けて、ガレージからキッチンへ短い距離で荷物を運べるようにするなどの工夫で、家事や子育ても気持ちよくできる住まいになった。


2階にある居間兼オーディオ室。壁の素材感などを工夫してスタジオ風に。左の窓の先はオープンテラス


中2階にある子ども室(右)と居間の横にある子ども室(左)。それぞれ4畳と小さいながらも、プライバシーを保ちつつ、程よい距離感で居間とのつながりも


建物ほぼ中央に設けた階段から玄関、DKを見る。壁や手すりの形状、踏み板の厚さを工夫して、視線を優しく仕切りつつ、光が行き渡るよう工夫

[DATA]
家族構成:夫婦、子ども3人
敷地面積:130.60㎡(約39.51坪)
1階床面積:69.78㎡(約21.11坪) 2階床面積:64.38㎡(約19.47坪) 3階床面積:8.37㎡(約2.53坪)
建ぺい率:49.37%(許容50%) 容積率:93.94%(許容100%)
用途地域:第一種低層住居専用地域
躯体構造:壁式鉄筋コンクリート造
設 計:(有)空間計画アーティザン 津波光教、大城未希
構 造:ユーアン設計 當山 聖
施 工:(株)フレームワーク 大城 真
電 気:(株)ミシマ 大城達也
水 道:(有)名設 知名定武

[設計・問い合わせ先]
(有)空間計画アーティザン
098-958-5777
http:/www.e‐artisan.jp
写 真/高野生優・フォトアートたかの撮影
編 集/週刊タイムス住宅新聞編集部

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1540号・2015年7月10日紙面から掲載

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