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2017年10月6日更新

大パノラマで広がる海を一望する家|(有)門一級建築士事務所

[お住まい拝見・「閉鎖」「開放」でメリハリ]1階は閉鎖的な別荘、2階は海を望む開放的な住居として、各階が完全に分離している鉄筋コンクリート造2階建てのKさん(49)宅。メリハリある空間で家族4人が暮らす。

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1階LDK。モノトーンの空間に、明るい色のソファやカーペットが際立つ。奥のスイムスパ、左のテラスとは、大きなガラスで仕切られており、全て一つの空間にあるように感じる
 

住居と別荘 上下に重ね

Kさん宅
RC造/自由設計/家族4人

本島南部、海を望む高台にある「白い箱」。Kさん宅は1階と2階の玄関が別で、それぞれ独立しているのが特徴だ。
南側の玄関から入る1階は、黒いタイルや白い壁など落ち着いたモノトーンの空間に、スイムスパを設けた別荘風。人を招くことが多く、週に2度ほどの来客時にLDKで食事を楽しんだり、県外の友人が2週間、ゲストルームに泊まることもある。
ガラス張りのスイムスパでは、健康を気遣うKさんが毎朝体を動かす。「血流が良くなり体の調子が整う」と1日のスイッチが入るよう。幼い子どもらの遊び場にもなっている。
一度外に出て、北側から階段を上った先にある2階は、家族が普段の生活をする居住スペース。夫人(41)は「完全に別なので、1階にお客さんがいても、2階は静か。子どもたちをぐっすり寝かせられる」。
2階のLDKと浴室を配した南側一面の窓の外には、空や海の青、木々の緑が大パノラマで広がり、白を基調とした室内に映える。「掃除の後、キッチンで一息つきながら眺める海が好き」と夫人。風景をより気持ちよく見るため、物も出しっぱなしにしなくなった。


高さ2.4メートル、幅4.2メートルの大きな窓から、太平洋が一望できる2階浴室。隣のリビングとの間仕切りがガラスなので、リビングの幅4.5メートルの窓からの景色も見え、奥行きを感じる空間になっている

2階LDK。タイル張りの床は「スチームモップだけできれいになるので、掃除が楽」と夫人

2階寝室。「寝室は暗い方がいい」というKさんは、窓を額入りの絵で隠している

 

生活スタイルに変化

もともとマンションに住んでおり、「海が見える別荘」を建てる予定だった夫妻。外観は、窓の格子など生活感を出さないよう、シンプルな「白い箱」をイメージしていた。
気に入った土地を見つけた近くに、イメージ通りの外観をした住宅があり、そこを設計した事務所に依頼することに。
雑誌の切り抜きなどを使い、好みや取り入れたいことを建築士と話していく中で、「1階と2階を分離させたプランも面白い」と思い、別荘兼住宅を建てて住み替えることにした。
仕事で家にいないことが多いKさんだったが、新たな住まいになってからは、週に一度は休みを取るようになった。「くつろげる理想の空間ができた。毎日、家に帰るのが楽しみで仕方ない」と生活スタイルにも変化をもたらした。



ここがポイント
家で楽しむ異空間
外階段で完全分離


住まいに対する思いが強く、一度は大幅に予算をオーバーしたKさん夫妻。1年かけて条件に合うよう整理した後も、こだわり続けたのが1階と2階を完全に分離するプラン。「家にいながら違った雰囲気を楽しみたかった」とKさんは振り返る。
そのための工夫の一つが外階段。建築士の金城司さんは「一度外に出ることで、気持ちの切り替えができる」と話す。
各階の印象を変えてメリハリも付けた。例えば、モノトーンで統一された1階は、南面の窓の外に壁に囲まれたテラスがあり、プライベートな空間になっている。一方、白を基調とした2階からは、太平洋の見える景色が一面に広がり、開放的だ。
また、両階とも南にパブリック、北にプライベート空間を配置。気分を変えるようなメリハリが、上下だけでなく、同じフロアでも味わえる。
タイルやガラスで囲まれた硬い印象を和らげるため、1階ゲストルームの机や収納、2階キッチンカウンターなど随所に軟らかい米杉を使用。金城さんは「手触りなど無意識に感じる部分で、リラックスできるようにした」。
部屋にこもらないよう、あえて小さくした子ども室は、隣の坪庭から風や光を取り入れられる。さらに、壁で囲まれて外からは見えないため、窓を開けたまま眠っても心配が少ない。坪庭はエアコンの室外機置き場にもなっており、「生活感を出したくない」というKさんの要望にも応える形になった。


南に面した4カ所の大きな強化ガラスが目を引くテラス。水盤では2歳の娘やその友だちがプールとして遊ぶ

東側から見た外観は、南面とは対照に閉鎖的。窓がなく、文字通り「白い箱」に見える

1階スイムスパ。室内にあるため、3カ月に1度程度の手入れでもきれいに保てる

大人数でも作業できるよう広くした1階キッチン。左の壁面は収納になっており、中に家電などが入っている

1階玄関。Kさんが「下からの照明」「ライトの間隔」などにこだわり、来客時は必ず説明するほどお気に入り


[DATA]
家族構成 :夫婦、子ども2人
敷地面積 :387.58平方メートル(約117坪)
1階床面積:138.75平方メートル(約41.97坪)
2階床面積:120.56平方メートル(約36.47坪)
建ぺい率 :37.73%(許容60%)
容 積 率:66.9%(許容200%)
用途地域 :未線引き
躯体構造 :鉄筋コンクリート造壁式構造
設  計 :(有)門一級建築士事務所 金城司、與儀拓也
構  造 :建築設計 明
施  工 :(有)友建産業
電  気 :(株)大幸電設
水  道 :(有)共和設備



[問い合わせ]
(有)門一級建築士事務所
098-888-2401
http://www.jo1q.com


写真/矢嶋健吾 編集/出嶋佳祐・川本莉菜子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1656号・2017年10月6日紙面から掲載

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出嶋佳祐

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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。

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