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2025年9月19日更新

[不動産の日2025]家の省エネ性と不動産価値 守る|住宅の省エネ性能 星で「見える化」

今年4月から新築建物は原則、省エネ基準適合が義務化された。その性能を一目で伝えるのが「省エネ性能ラベル」だ。省エネ性能を星で表し、断熱性能や目安光熱費なども「見える化」。一級建築士の村山創さんに同ラベルの見方や省エネ基準の動向などを聞いた。「性能を高めることは、上質な空間と資産価値を保つことにつながる」と話す。

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創環境Design
村山創さん(一級建築士)が解説

 
 誰でも一目で把握  資産価値にも影響 



 住 宅を見ただけで、省エネ性能を判断するのはプロでも容易ではありません。一般の方ならなおのこと」と創環境Designの建築士・村山創さんは話す。省エネ性能を、誰でも一目で分かるのが「省エネ性能表示制度」だ。

同制度の発行物は「省エネ性能ラベル」=下図=と「エネルギー消費性能の評価書」で、一戸建てや共同住宅の省エネ性能を星の数で表す。


ラベル表示は努力義務

ラベルは建売住宅などの広告に掲載され、省エネ性能を証明するものだ。しかし、「ラベル表示は事業者の努力義務なので、必ず掲載されているわけではありません。住宅購入時には事業者に確認して、ラベルを比較しながら選ぶことをおすすめします」と村山さん。

国策として省エネ基準は現行の「一つ星・断熱性能4」から、30年に「三つ星・断熱性能5」へ変更予定。「法的に高い省エネ性が求められ、低い性能の物件は、不動産の資産価値が下がる可能性があります」。  


目安光熱費に注目

ラベルで、特に注目してほしいのが「目安光熱費」。想定される年間の光熱費が数値化されているため、「一般の人でも省エネを直感的に理解しやすい」。目安光熱費が安ければ、それだけ高い省エネ住宅ということだ。「ローンの借入年数を掛け合わせると、不要な支出の把握にもなります」。  


性能評価は二通り

また、誰が評価したのかも確認。専門の評価機関による「第三者評価」と、建築士らによる「自己評価」とがある。村山さんは「計算プログラムは同じなので、『自己評価の精度が第三者評価よりも低い』というわけでは決してない」と説明した。
 
 「省エネ性能ラベル」の見方を知ろう 
※出展:国土交通省「建築物省エネ法に基づく省エネ性能表示制度事業者向け概要資料」と「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度ガイドライン」。図などは一部加工・作成し使用している
 














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Question
そもそも「ZEH」って?

ZEH(ゼッチ)とは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称で、住宅の断熱性を高め、太陽光発電などの再生可能エネルギー設備を導入。年間の一次エネルギー消費量の「実質ゼロ以下」を目指す。つまり、「断熱」、「省エネ」、「創エネ」に配慮した住宅のことだ。  

混同しやすい言葉として、「ZEH水準」がある。ZEHとの違いの一つが、創エネ。再エネ設備は取り付けられていない。

また、「ZEH+」はより高性能にした住宅のことで、ZEH住宅には種類がある。

Question
エネ性能の評価書とは?

「エネルギー消費性能の評価書」例2023年9月時点


「エネルギー消費性能の評価書」は「省エネ性能ラベル」の内容をより詳細に記したもの。ラベル同様、第三者評価と自己評価の二通りで発行できる。

ちなみに、省エネ基準とは「エネルギー消費量」と「断熱性能(外皮性能)」の項目に細分化されている。


Question
光熱費はどれくらい変わる?

村山さんは二つの物件で、35年間の光熱費をシミュレーション=上図。物件Aは「住戸、星4、断熱性能6、再エネ設備なし」で、物件Bは「住戸、星6、断熱性能6、再エネ設備あり」。計算結果は物件Bが物件Aより、約570万円ほど光熱費が安くなることが分かった。

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2072号・2024年09月19日紙面から掲載

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