子どもも猫もはつらつ|(有)イスト ロイヤルハウス那覇店[お住まい拝見]|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

お住まい拝見

お住まい拝見

2024年2月2日更新

子どもも猫もはつらつ|(有)イスト ロイヤルハウス那覇店[お住まい拝見]

[三角屋根の木造2階建て]
「自然のある地域に住みたい」と、八重瀬町に2階建ての木造住宅を建てた30代のHさん。吹き抜けの勾配天井が開放的なLDKで、愛猫たちも一緒に楽しく過ごす。

吹き抜けになった勾配天井で開放感を高めた1階のLDK。リビングの天井は木目模様の壁紙で仕上げた。キッチン周りは黒でまとめてシックに。階段も印象的だ


家でもアウトドアライフ

Hさん宅
 木造/自由設計/家族6人 

瓦ぶきの勾配屋根が青空に映える、2階建ての木造住宅。スロープにはミンサー柄、外灯には猫のモチーフと、外観から楽しい気持ちになる。

アパートに暮らしていた頃から4匹の猫と一緒で、新築を機に母親と同居することもあり、家づくりでは愛猫との暮らし、そして高齢期での過ごしやすさを重視した。1階にはLDKと寝室、母親の部屋、水回り、2階に子ども室がある。「自分たちの老後のことも考えて、母の部屋と寝室は1階にして、トイレと浴室の近くに配置。車イスになっても介助がしやすいよう、トイレの幅も広く取ってもらいました」とHさん。

LDKの壁には、愛猫のためのキャットウォークを設置。階段下を利用して猫専用のトイレも設けた。「実は、1階のトイレの壁紙は猫の手形の模様。長居する場所ではないけど癒やされます」と夫人。住み始めてから新たに一匹、愛猫が加わった。

敷地東側にある庭は、子どもたちの遊び場であり、格好のアウトドアスポット。夏場はプールを広げ、毎週末のようにバーベキュー。ゴールデンウイークには庭にテントを張り、子どもたちはキャンプを楽しんだ。Hさんは、「家に居ながら、大好きなアウトドアライフが楽しめるのがうれしい」と目を細める。
 


キッチンからリビングダインングを見る。天井高を変えることで開放感アップ。写真左手奥に見えるシューズクロークは夫人の希望でRの垂れ壁にし、空間のアクセントに
 

玄関。車イスでも出入りしやすいように設けたスロープは、ミンサー柄をアクセントに
 

南側からの外観。勾配屋根部分は白壁、陸屋根部分の外壁はグレーにしてアクセントをつけた。駐車場はなだらかな傾斜になっている



楽しみいろいろ

長男の小学校入学を見据え、土地探しを始めた。自然が好きで「家を建てるなら自然が豊かな地域。三角屋根の木造住宅を」と考えていた。見つけたのは将来、道路拡張で一部が収用される場所だったが、「広さは十分。正面が農振地域で、隣家が建つことがないのが決め手」となり購入。耐久性、デザイン性の高い木造住宅を手がける建築会社に設計を依頼した。「ふんわりとしていたやりたいことが、建築士さんの提案である程度イメージできるようになったのが、すごく良かった」と喜ぶ。

室内は風が通るため、リビングはエアコンなし。「シーリングファンと扇風機で十分」。第三子が生まれ、庭にはピザ窯も手作りする予定。「ピザパーティーをするのが待ち遠しい。楽しみがどんどん増えていく」と話した。
 


LDKのキャットウォーク。三日月形のくつろぎ場が取り付けられている壁を隔てて、猫専用トイレを配置。床面に設けた小窓が猫たちの出入り口。人は観音開きの扉から出入りでき、掃除も楽にできる
 


猫用トイレの内部。匂いがこもらないよう換気扇も設置されている

 

1階のトイレは、車イスでの介助も想定し広め。壁紙はよく見ると猫の手形模様になっている



オープンで広々とした洗面所。寝室と母親の部屋の間に設けられている。扉の奥がトイレになっている



ここがポイント
LDKに勾配天井の開放感

敷地は南北が道路に接し、西側に工場が近接している。南北で高低差が最大4メートル近くあり、南側の前面道路は将来、拡張される計画で、20坪ほど収用される予定。また前面道路は拡張時に、現在の路面よりも高い位置になることも、計画図から読み取れた。

以上の敷地条件を踏まえ、設計を手掛けた大城満昭さんは、「十分な駐車スペースを確保するため、建物を北側に寄せて配置。北側道路と拡張後の前面道路の高さを踏まえ、建物の地盤面を1・5メートル上げた位置に計画にしました」と説明する。南側に設けた駐車場に緩やかな勾配をつけることで、建物と駐車場の高低差を緩和している。

建物は、繰り返しの地震や火事にも強いAPS構法を採用。高齢での暮らしやすさを考慮し、1階にLDKと水回り、夫婦の寝室と母親の部屋、2階に子ども室を設けるプランを提案した。「1階部分も勾配天井にしたい」というHさん夫妻の希望があり、2階の配置を工夫。母親の部屋と水回りの範囲に収めることで、「LDKに吹き抜けの勾配天井を実現。LDKは、天井高最大3・2メートルの開放的な空間になりました」。

家事のしやすさと、非常時の生活にも配慮。キッチンの背後にパントリーと洗濯機を置く脱衣室を配置し、家事動線をコンパクトに。パントリーには、台風などでの停電に備えて蓄電池も設置した。「テレビ、リビング1カ所の照明とコンセントが使えます」。

屋根には、遮熱効果が高く、耐久性に優れた金属赤瓦を採用。重さが陶器瓦の8分の1と軽いため、地震の揺れ、倒壊のリスクを軽減できるのも利点だ。瓦は固定箇所を増やし、台風時の吹き上げへの耐性強化も図った。


[DATA]
家族構成:夫婦、子ども3人、母
敷地面積:313.71平方メートル(約94.89坪)
1階床面積:80.06平方メートル(約24.21坪)
2階床面積:27.32平方メートル(約8.26坪)
建ぺい率:28.67%(許容60%)
容積率:34.23%(許容200%)
用途地域:市街化調整区域
躯体構造:木造
設計:(有)イスト ロイヤルハウス那覇店 大城満昭
構造・施工・電気・水道:(有)イスト ロイヤルハウス那覇店


問い合わせ
 (有)イスト ロイヤルハウス那覇店
  電話=098・888・5883
 https://mokuzou.net/


撮影/比嘉秀明  文/比嘉千賀子(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1987号・2024年2月2日紙面から掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

これまでに書いた記事:2395

沖縄の住宅、建築、住まいのことを発信します。

TOPへ戻る