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2023年9月8日更新

海との一体感を楽しむ|(株)NDアーキテクトン[お住まい拝見]

[最上階にプールのある家]
Kさんが家づくりで重視したのは、「海が見える絶景の立地」。最上階にはインフィニティプールがあり、海がより間近に感じられる。「室内と行き来しやすく、天気、季節を問わず使い勝手がいい」と笑顔。

海との境が曖昧で海との一体感を演出する4階のインフィニティプール。多目的室に隣接し、テラスのひさしが陰をもたらす。床には木目調のタイルを使用。プールの水をポンプで循環させて滝のように落とす仕掛けも楽しい(写真右側)。左側に見える建物はシャワー室
海との境が曖昧で海との一体感を演出する4階のインフィニティプール。多目的室に隣接し、テラスのひさしが陰をもたらす。床には木目調のタイルを使用。プールの水をポンプで循環させて滝のように落とす仕掛けも楽しい(写真右側)。左側に見える建物はシャワー室


自然を感じて

Kさん宅
 RC造/自由設計/家族5人 

読谷村の海沿いに建つKさん宅。「オーシャンフロントで、オーシャンビュー。美しい東シナ海が、間近に感じられる土地にこだわった」とKさん。

建物は4階建て。1階はガレージと玄関、2階にLDKがあり、3階に寝室と浴室がまとまっている。「お客さまを招く機会が多いので、プライバシーを重視。大人が夜遅くまでリビングでパーティーをしていても、子どもたちが落ち着いて眠れるよう、階を分けて寝室を設けました」。

4階には、多目的室とインフィニティプール! 普段、エクササイズスペースとして活用する多目的室は、ゲストの宿泊ルームに早変わり。「トイレもシャワーもあるので、家族を気にせずゆっくり過ごしてもらえます」

テラスではバーベキューはもちろん、冬場はテントサウナも楽しむ。「プールがちょうどいい水風呂に。部屋と行き来しやすいから、幅広い期間、プールが活躍します」

各階から望む海は、ソファや椅子に腰掛けて眺めると水平線が目線の高さに。「空よりも、海の面積のほうが広い。青のコントラストも美しいんです」。窓を閉めてもかすかに聞こえる波音も、耳に心地いい。

2階のLDK。床と、造作した建具やキッチンには天然木を使用。室内は白が基調。ダークグレーの左官塗料で凹凸のある風合いに仕上げた壁がアクセントとなり、温かさの中にモダンな雰囲気を感じられる空間になっている
2階のLDK。床と、造作した建具やキッチンには天然木を使用。室内は白が基調。ダークグレーの左官塗料で凹凸のある風合いに仕上げた壁がアクセントとなり、温かさの中にモダンな雰囲気を感じられる空間になっている

リビングは、海に面して開口部が設けられている。眺めを遮らないよう、バルコニーにはガラス手すりを用いたリビングは、海に面して開口部が設けられている。眺めを遮らないよう、バルコニーにはガラス手すりを用いた

道路側の外観。風景になじむよう、岩肌のような質感の左官材と色調で仕上げた(施主提供)
道路側の外観。風景になじむよう、岩肌のような質感の左官材と色調で仕上げた(施主提供)


天然素材×モダン

理想の土地を見つけ、知人の紹介で出合った建築士事務所に設計を依頼。「海が楽しめるのはもちろん、壁の仕上げ、キッチンやドアの造作と細部までこだわり、一つ一つ職人の手仕事で仕上げていただいたのがよかった」

室内は、無垢(むく)材の温かみを大事にしながら、黒と白をアクセントにモダンな雰囲気をプラス。アメリカンスタイルのキッチン、家具やインテリアも天然素材と上質感にこだわり、一つ一つ選んだ。Kさんは「ぬくもりが心地よく、家族も来客も気兼ねなく、絶景が楽しめる家になっています」と満足げに話した。

4階シャワー室からプールと多目的室を見る。「部屋からひと続きになっているので使い勝手がいい。4階だから虫もほとんどいないし落ち葉もない。管理もしやすい」とKさん。プール内の階段は、安全面でも腰掛けるにもグッド
4階シャワー室からプールと多目的室を見る。「部屋からひと続きになっているので使い勝手がいい。4階だから虫もほとんどいないし落ち葉もない。管理もしやすい」とKさん。プール内の階段は、安全面でも腰掛けるにもグッド
 

テラスからプール向かってジャンプ。まるで海に飛び込んでいるよう(施主提供)

テラスからプール向かってジャンプ。まるで海に飛び込んでいるよう(施主提供)



ここがポイント
階層で用途分け景色と調和

敷地は海岸沿いで、海から11メートルほど高い位置にある。その好条件を最大限に生かし、建築士の比嘉義国さんは、「自然と溶け込む」をコンセプトに、海を感じるライフスタイルとプライバシーの確保を両立する住まいを実現した。

建物最大のこだわりは、最上階(4階)にインフィニティプールを設置したこと。「プールの水面が水平線と曖昧になり、どこまでも海が続くような不思議な感覚になります」と比嘉さん。

気になる耐荷重については、「地盤が石灰岩層で硬く、ベタ基礎で荷重を十分支えられるだけの強度がありました。さらに壁式鉄筋コンクリート造にすることで、建物の安定性を確保しました」と説明する。また、プールは3階の寝室の上部に位置するため、下地に無機質浸透防水、保護コンクリート、防水シート2枚重ね、断熱材で漏水と結露の対策を講じた。

プライバシー確保のポイントは、階ごとに部屋の用途を分けたこと。1階はガレージ、2階にLDK、3階は家族のプライベートルーム、4階にゲストルームを兼ねた多目的室とプールを配置。「ゲストを招いた時も、やりたいことに応じて居場所を選べ、お互い気兼ねなく過ごせます」。

2階のLDKと3階の主寝室は海に向けて配置し、掃き出し窓で絶景を取り込んだ。また、メインの居住空間となる2階と3階は、広さを確保するためキャンティレバー(片持ち式構造)を採用。全面道路がある南側へ3メートルほど張り出させ、2階はダイニングとキッチンを配置。張り出した部分を支える梁(はり)を生かして両側に1メートル弱の壁を設けることで、デザインとして見せつつ空間を緩やかに仕切れるよう工夫した。

淡いグリーンの壁が爽やかな3階の主寝室。掃き出し窓からは海が見える。シャワールームもあり、夫人のお気に入り
淡いグリーンの壁が爽やかな3階の主寝室。掃き出し窓からは海が見える。シャワールームもあり、夫人のお気に入り
 

1階の玄関。写真右側のドアの奥に、ガレージから出入りできる倉庫がある

1階の玄関。写真右側のドアの奥に、ガレージから出入りできる倉庫がある
 

2階の浴室。窓から海を眺めながら、のんびり入浴できる




[DATA]
家族構成:夫婦+子ども3人
敷地面積:143.79平方メートル(43坪)
1階床面積:82.94平方メートル(25坪)
2階床面積:89.36平方メートル(27坪)
3階床面積:89.36平方メートル(27坪)
4階床面積:36.1平方メートル(11坪)
建ぺい率:59.39%(許容60%)
容積率:168%(許容200%)
用途地域:未指定地域
躯体構造:壁式鉄筋コンクリート造
設計:(株)NDアーキテクトン
構造:(株)濱川構造設計
施工:(有)大洋建設
電気:(有)開成電設
水道:三建設備(株)


問い合わせ
(株)NDアーキテクトン
電話=098・958・3522
https://www.nd-arkhitekton.com/


撮影/泉公(ララフィルム) 文・比嘉千賀子(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1966号・2023年9月8日紙面から掲載

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週刊タイムス住宅新聞編集部

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