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2022年11月25日更新

[沖縄・お住まい拝見]庭との一体感楽しむ|(株)アレックス

[見える収納ですっきりと]本島北部のSさん(46)宅は大開口の窓から庭に行き来できる一体感が特徴だ。内部は収納を「見える化」した機能性と、夫妻の好きな西海岸風のデザインを両立させた。

ウッドデッキでくつろぐSさん一家。テーブルやバーベキューコンロを出してフル活用。6月に5人に増えた家族と庭で過ごす時間を楽しんでいる
ウッドデッキでくつろぐSさん一家。テーブルやバーベキューコンロを出してフル活用。6月に5人に増えた家族と庭で過ごす時間を楽しんでいる


集う顔見えるLDK

Sさん宅
RC造/自由設計/家族5人

夫妻のアウトドア志向を反映した室内は木目調で統一されている。一方で、高い機能性も備える。

妻のIさんが望んだのは、6歳、4歳の子が自分で片付けられるよう導く動線だ。玄関からリビングに行く途中には「かばん」などとシールを貼った棚がある。扉を付けず「見える化」することで「自分の場所」という意識が芽生えているという。

道具を置くと、ダイニングテーブルで宿題。「宿題を見てやりながら学校の話を聞くのが好きな時間。家族みんなの顔が見える造りがいい」とIさん。キッチンの作業台は、料理好きなIさんのリクエスト。家族や客とお菓子づくりを楽しんだ後は、同じ幅のダイニングテーブルと一体化させて「大きな卓」を囲む。顔が見えるLDKの真骨頂だ。

ダイニングとキッチン。幅をそろえたテーブルと作業台は、ホームパーティーで重宝する。二つ並ぶ子ども部屋(写真中央奥)はここにつながり、自然と顔を合わせることになるダイニングとキッチン。幅をそろえたテーブルと作業台は、ホームパーティーで重宝する。二つ並ぶ子ども部屋(写真中央奥)はここにつながり、自然と顔を合わせることになる
 

写真右手の玄関から入ると、靴を棚に置き、右折して洗面台で手を洗い、道具を片付けるという動線が意識されている

写真右手の玄関から入ると、靴を棚に置き、右折して洗面台で手を洗い、道具を片付けるという動線が意識されている
 

学校の道具を片付ける棚学校の道具を片付ける棚

 

隣家に接したエントランスポーチは、ルーバーフェンスで視線を遮る。玄関に向かって左手のライトコートは花ブロックで仕切り、通気とプライバシーを確保する

隣家に接したエントランスポーチは、ルーバーフェンスで視線を遮る。玄関に向かって左手のライトコートは花ブロックで仕切り、通気とプライバシーを確保する
 

勝手口にはシャワーがあり、汚れを落として洗濯場に直行できる

勝手口にはシャワーがあり、汚れを落として洗濯場に直行できる

 

将来を見据えて

住宅の中央を東西に貫くLDKは床面積の4割を占め、子ども部屋など全ての部屋をつなぐ要になっている。夫のSさんは「人が集まるのが好き。親戚が集まる十分なスペースが欲しかった」と広々としたリビングを見渡した。ソファを置く予定だったが「子どもたちが走り回れる今のままがいいかな」と笑う。

6畳の和室はゲストルームとして使えるが、今は親子5人の寝室として使っている。布団を置いてある収納スペースは将来仏間になる。

市街地でのアパート暮らしを経て、出身地で新居を構えたSさんは「次の世代までつなぐ、長い時間を意識した」。

幼い子たちも自分の部屋で寝るようになるだろう。そのときもリビングが家族をつなぐ。夫妻のお気に入りがつまった家は、使い方を変えながら家族の歴史を刻んでいく。
 

窓を全開にできて庭と一体感を持たせることが夫妻の当初からの希望だった。和室ともフラットにつながる窓を全開にできて庭と一体感を持たせることが夫妻の当初からの希望だった。和室ともフラットにつながる
 

ヘリンボーンの壁の高い位置にある窓は、ガスオーブンの熱気を逃がす。シンク側の壁は磁石が付く。作業台は85センチ×150センチと広く作られているヘリンボーンの壁の高い位置にある窓は、ガスオーブンの熱気を逃がす。シンク側の壁は磁石が付く。作業台は85センチ×150センチと広く作られている
 

どの部屋からも見えるライトコート。やんばるらしい植物が育っているどの部屋からも見えるライトコート。やんばるらしい植物が育っている
 

壁紙がリゾートの雰囲気にあふれた子ども部屋。幼い今は家族5人そろって和室で寝起きしている

壁紙がリゾートの雰囲気にあふれた子ども部屋。幼い今は家族5人そろって和室で寝起きしている
 

道路側に面した洗濯物干し場は、背丈より少し高い花ブロックでプライバシーを確保道路側に面した洗濯物干し場は、背丈より少し高い花ブロックでプライバシーを確保



ここがポイント
室内で感じるやんばる

玄関を入ってすぐ目に入るライトコートは、建築士の高良正修さんの提案だ。Sさんが地元に根を下ろしたエコツーリズムを仕事にしていることから「やんばるの自然と一体になれる空間にしたい」と考えた。

ライトコートにはSさんがヒカゲヘゴ、ゲットウ、オオタニワタリ、ホウライカガミなどを植え、水槽ではメダカが泳ぐ。玄関、リビング、寝室がコートを囲む設計になっており、それぞれに光と風をもたらしている。

親族や友人を招きたいという夫妻のニーズを聞き取った高良さん。LDKをその実現の空間に設定した。Iさんの希望でシンクと調理器具を壁に沿ってL字に配置したキッチンは、中央の作業台が交流の場になる。

玄関から家屋中央にあるリビングに向かって天井高を徐々に高くし、「広がっていく感じ」を演出。大開口の窓から見通せる庭へと視線を導く。室内と庭を一体的に使いたいSさんの要望に応えたものだ。

リビングが子ども部屋、和室、寝室をつなぐ造りにし「家族が自然に顔を合わせて会話できるよう意識した」と高良さん。廊下を設けないことで空間を広く使えるようにした。

庭に向かって開けた東側に対して、道路に面した西側は窓を小さくし、ひさしのすぐ下となる高い場所に設けることで西日対策を施した。




[DATA]
家族構成:夫婦+子ども3人
敷地面積:375.86平方メートル(約113.69坪)
1階床面積:97.96平方メートル(約29.6坪)
建ぺい率:32.5%(指定なし)
容積率:26.0%(指定なし)
用途地域:なし
躯体構造:鉄筋コンクリート造
設計:(株)アレックス 高良正修
構造:(株)建造設計
施工:具志頭工務店
電気:合同会社明正電気工事社
水道:合同会社明正電気工事社

問い合わせ
(株)アレックス
 電話098・863・3155
 https://www.alex-okinawa.co.jp/


撮影/矢嶋健吾 取材/安里努(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1925号・2022年11月25日紙面から掲載

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週刊タイムス住宅新聞編集部

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